こんにちは、アイデア総研の大澤です。
みなさんが普段何気なく見かけている、超高速で走行する新幹線。走行中にそのパンタグラフから出る騒音を約30%削減させたアイデアが、羽音を立てずに飛ぶフクロウの風切り羽根から着想を得ていることをご存知でしょうか。
また、トンネルに入る時の風圧で起きる音や揺れを軽減させるために、新幹線の先頭車両はカワセミのくちばしの形状を模して作られています。
ほかにもヤモリの吸盤やハスの葉の撥水効果など、動物の生体を模倣した技術開発「バイオミメティックス」が多様な分野で機能的に活用されています。このように、多くの発明・発見は、実在する動物などから連想し、ヒントを得ています。
今回は、このような連想の力に注目したアイデア発想法をご紹介したいと思います。
生活の中からアイデア発想「エクスカーション法」
みなさんもアイデアの発想で煮詰まってしまったことや、ユニークなアイデアが出ず頭を抱えたことが何度もあるのではないでしょうか。
そんな時におすすめな発想法が、今回ご紹介する「エクスカーション法」です。
エクスカーション法は、動物や人物・場所などの特徴からヒントをもらい、意外性のあるアイデアをたくさん得ることができる手法です。見た目や知っている情報から連想してアイデアを出すので、準備なしですぐに作業に取りかかれることがメリットです。
ではさっそく、「エクスカーション法」の具体的なやり方についてご説明したいと思います。
エクスカーション法をやってみよう
たくさんのアイデアを出すには、とにかくたくさんのアイデアの種を集めることが重要です。今回は「新商品のドリンクカップの企画」を例にエクスカーション法を説明します。
1.アイデア出しの準備
エクスカーションは、大学ノートやレポート用紙のように罫線のひいてある紙を用いて行います。

まずは図のようにタテ2列のフレームを作ります。フレームの上段には左側に「特徴・連想」、右側に「アイデア」、その下の段の左に「動物:」、右側に「テーマ:」と書き入れます。「人物:」と「場所:」も同じ表に書き込みましたが、たくさん出したい場合はそれぞれ別の表に分けて作ってください。
2.アイデア出しを出すためのトリガーワードを入れる

今回のテーマは新商品のドリンクカップのアイデア出しなので、図のようにアイデアの項目に、新商品『ドリンクカップ』と記入しましょう。次に、「特徴・連想」の項目に、アイデアの引き金になるキーワード、トリガーワードを記入します。
参考のトリガーワードはフクロウにしましたが、馴染みのある犬や猫などの身近な動物や自身が飼っているペットの名前を記入することで、より特徴や連想のイメージがしやすくなるでしょう。以下、同様に人物と場所にもトリガーワードを入れてください。特にルールはありませんので、思いついた人物や人物像を記入してみましょう。
具体的なターゲットがいればその人物像に見合う実在の人名でもよいですし、コンビニ店員や主婦など職業を人物として設定してもよいです。歴史上の人物やアニメ・マンガなどの架空の人物を書き入れるのも面白いでしょう。場所についても同様に思いついたトリガーワードを記入しますが、自身がよく知る場所だけでなく販売場所を想定して設定するとアイデアにつなげやすくなるかもしれません。
3.キーワードの特徴と連想したイメージを記入する

トリガーワードから思いついた動物の特徴や連想されるイメージを記入します。これがアイデアの種になります。イメージですので正確な情報でなくても問題ありませんが、アイデアの種をたくさん作りたい場合はインターネットの検索や図鑑で情報を増やしてみるのもいいでしょう。

同様に「人物」と「場所」にも特徴や連想した事柄を記入します。イメージですので正確さは必要ありません。作業に時間をかけずインスピレーションで進めてください。思いつくままに特徴や連想を書き込んだらアイデア出しに移ります。
4.キーワードの特徴からテーマのアイデアを作る

先に書き込んだフクロウの特徴と連想を参考に、新商品のドリンクカップにつながるアイデアを記入していきます。ここではフクロウが「ホーホー」と鳴く特徴から「フーッ、フーッ。」と熱い飲み物を冷ましたり、「ハァ~。」と息を吹きかけ冷たい手を温めたりする様子を連想しました。
保温能力の高いドリンクボトルに熱い飲み物を入れ、すぐに飲もうと思うと口をつけると熱すぎて飲めないことがあります。このことから「ドリンクボトルに熱い飲み物を入れるとすぐに飲み頃の温度に調整して、最後まで飲み頃の温度を保てるドリンクボトル」というアイデアができました。
同じように「人物」と「場所」のアイデアも記入します。少し考えてもアイデアが思いつかない場合はパスします。

こうして完成したものがこちらのエクスカーションになります。極めて短時間で、ブレインストーミングではなかなか得られないようなユニークなアイデアが得られるのがわかるかと思います。
なお、思いついたアイデアが「費用がかかりすぎる」「非現実的で実行できない」と感じても書き留めておきましょう。今は実現不可能でも、将来的な技術の進化によって商品開発が実現できることがあります。また、他のアイデアとの組み合わせることで、より完成度の高い商品開発になりうる可能性を秘めています。
5.アイデアを絞り込む
最後に、ここで得られた多くのアイデアを、KJ法などの収束技法で絞り込みましょう。エクスカーション法で得られたアイデアを収束する際は、充分に企画のコンセプトを理解する必要があります。
企業の新商品開発の場であれば、予算や時間などの制限に合わせて収束させていく必要があります。発散と収束を繰り返し、最終的にテーマに沿った最善のアイデアを導き出しましょう。
エクスカーション法を使いこなすためのポイント
エクスカーション法をより効果的に活用するために、以下のポイントを意識してみましょう。
- トリガーワードは多様に選ぶ:動物・人物・場所のそれぞれでジャンルを変えると連想の幅が広がります
- 判断を後回しにする:アイデア出しの段階では「実現可能かどうか」を問わず、思いついたことをすべて書き出しましょう
- グループで行う:複数人でエクスカーションを行うことで、個人では出ないアイデアが生まれやすくなります
- 時間を区切る:1テーマ10〜15分を目安に素早くアイデアを出すことで、思考のブレーキを外しやすくなります
- 定期的に練習する:日常のちょっとしたテーマでも練習を続けることで、本番でのアイデア量が格段に増えます
まとめ
いかがでしたか。
エクスカーションは一人でも複数人でもできる手軽な発想法です。まずは簡単なテーマを設定して、練習を兼ねたワークショップをしてみてはいかがでしょうか。
時間をかけず、動物だけ・場所だけ試しても十分に面白いアイデアを思いつくことができます。アイデア出しに悩んだときは、ぜひエクスカーション法にチャレンジしてみましょう。
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