研修担当者様へ

フィードバック研修とは|部下が成長するSBIモデルの教え方

こんにちは、アイデア総研の大澤です。

「部下にフィードバックしても、なかなか行動が変わらない」「どう伝えれば部下が素直に受け取ってくれるのか」「フィードバック研修を導入したいけれど、どんな内容を選べばいいのかわからない」――そんなお悩みを持つ管理職・研修担当者の方は多いのではないでしょうか。

部下の成長を促すフィードバックには技術があります。感情的になってしまったり、曖昧な言葉で終わってしまったりしては、部下に届くフィードバックはできません。その技術を体系的に学べるのがフィードバック研修であり、近年注目されているのが「SBIモデル」です。

この記事では、SBIモデルの概要から、フィードバック研修の設計ポイント、外部講師の選び方まで、研修担当者として押さえておきたい情報を整理しました。ぜひ参考にしてください。

フィードバック研修のイメージ

フィードバックとは何か

なぜフィードバックが難しいのか

フィードバックとは、相手の行動や言動に対して、改善や成長につながる情報を伝えることです。しかし「フィードバックが苦手」「部下が傷つきそうで言い出せない」という管理職は非常に多く、せっかくの成長機会が失われてしまっているケースが多々あります。

フィードバックが難しい理由のひとつは、「批判」と混同されやすいことです。「あなたのやり方はダメだ」という批判と、「あの場面でのあの判断が、チームの結果にどう影響したかを一緒に考えたい」というフィードバックは、まったく異なるアプローチです。この違いを理解し、実践できるようになることがフィードバック研修の第一の目標です。

もうひとつの難しさは、「何を・どこまで伝えるか」という判断です。相手の性格・状況・関係性によって、適切なフィードバックの内容と強度は変わります。一律のやり方では機能しないため、状況に応じた柔軟な対応力が必要です。「厳しく言ったほうがいいのか」「優しく包み込むように言ったほうがいいのか」という判断力も、フィードバック研修を通じて磨かれる重要なスキルのひとつです。

フィードバックが組織に与える効果

適切なフィードバックができる管理職が増えることで、組織にはさまざまな好影響があります。まず、部下の成長スピードが上がります。自分の行動がどんな結果をもたらしているかを定期的にフィードバックされることで、部下は試行錯誤を繰り返しながら急速に成長できます。

次に、心理的安全性が高まります。「正直に言っても大丈夫」という信頼関係がチームに生まれると、部下からも上司へのフィードバックが活発になり、組織全体の情報共有と課題解決の速度が上がります。そして、離職防止にもつながります。「自分が成長できている」と感じられる職場環境は、優秀な人材が長く活躍し続けるための重要な条件のひとつです。さらに、適切なフィードバックを受け続けた部下は、やがて自分自身もフィードバックを上手く伝えられるようになります。フィードバックが連鎖していくことで、組織全体のコミュニケーション品質が向上し、学習する組織へと変化していきます。

ポジティブフィードバックとギャップフィードバック

フィードバックには大きく2種類があります。ひとつは「ポジティブフィードバック」、もうひとつは「ギャップフィードバック(改善を促すフィードバック)」です。

多くの管理職は「褒める」ことは積極的にやるものの、改善を促すフィードバックを躊躇しがちです。しかし、部下が真に成長するためには両方のフィードバックが必要です。フィードバック研修では、この2種類のフィードバックをバランスよく行う技術を学びます。ポジティブフィードバックは「よかった」という感情的な表現ではなく、具体的な行動を観察したうえで伝えることが重要です。

SBIモデルとは何か

SBIモデルの3つの要素

SBIモデル研修で学ぶ「SBIモデル」とは、効果的なフィードバックを行うためのフレームワークです。SBIはそれぞれ「Situation(状況)」「Behavior(行動)」「Impact(影響)」の頭文字を取ったものです。シンプルな構造でありながら、フィードバックに必要な要素を過不足なく含んでいるため、初めてフィードバック研修を受ける方でも比較的早く使いこなせます。

Situation(状況):「いつ・どこで・どんな場面での話か」を具体的に伝えます。「先週の月曜日のA社との打ち合わせで」のように、フィードバックする行動が起きた場面を明確にします。状況を具体的にすることで、相手が「あの場面か」と思い出しやすくなり、フィードバックの受け取りやすさが増します。

Behavior(行動):「どんな行動・言動があったか」を客観的に伝えます。「資料が準備されていなかった」「お客様への返答が曖昧だった」のように、事実に基づいて具体的に記述します。ここでは「あなたの態度が悪い」という解釈ではなく、「こういう行動があった」という観察を伝えることが重要です。

Impact(影響):「その行動がどんな影響をもたらしたか」を伝えます。「お客様から信頼を失うリスクがあると感じた」「チームの士気に影響した」のように、その行動の結果として生まれた影響を具体的に共有します。

SBIモデルを使う際のポイント

SBIモデルを使う際に大切なのは、「B(行動)」の部分を感情や評価でなく「観察した事実」として伝えることです。「あなたのプレゼンは最悪だった」という評価ではなく、「プレゼンの冒頭で資料の準備が整っていなかったため、最初の5分間を待機時間として使うことになった」という観察として伝えます。

また、「I(影響)」の部分では、組織やチームへの影響だけでなく、「自分がどう感じたか」という主観的な視点を加えることも効果的です。「私はその場面を見て、事前準備の重要性を再認識してほしいと感じた」というように、自分の視点から伝えることで、相手が受け取りやすくなります。SBIモデル研修では、このような細かい表現の工夫まで実践を通じて習得します。SBIモデルは一度理解すると汎用性が非常に高く、部下へのフィードバックだけでなく、同僚や上司へのフィードバックにも応用できます。職場全体でSBIモデルを共有することで、フィードバックが当たり前に行われる文化の醸成につながります。

SBIモデルの限界と補完

SBIモデルは非常に有効なフレームワークですが、万能ではありません。相手の状態(疲弊している・感情的になっている)によっては、SBIモデルの構造通りに伝えるよりも、まず「どんなことが辛かったか」を聴くところから始めたほうがよい場面もあります。

また、SBIモデルはフィードバックを「伝える」ための構造ですが、相手に「気づいてもらう」という視点も大切です。フィードバックを一方的に伝えるだけでなく、コーチング的な問いかけを組み合わせることで、部下自身が気づき、行動を変えていく力が生まれます。フィードバック研修では、SBIモデルとコーチングの組み合わせを学ぶことで、より深い部下育成が可能になります。

フィードバック研修の設計ポイント

知識より実践を重視した設計

フィードバック研修を設計・選定する際に最も重視してほしいのは、「実践の機会が豊富にあるか」という点です。SBIモデルの概念を知っているだけでは、フィードバックスキルは身につきません。実際に人に向かって言葉を発し、相手の反応を受けて改善する体験が必要です。

研修の中でロールプレイを積極的に行い、参加者同士でフィードバックし合う時間が確保されているかどうかを確認してください。「研修で一番緊張した」「うまくできなくて恥ずかしかった」という体験が、実は最大の学びになります。安全な環境で「失敗できる」研修が、本物のスキル習得につながります。また、ロールプレイを終えた後に観察者として他の人のフィードバックを見ることも非常に有益です。「ああいう言い方があるのか」という気づきが、自分のレパートリーを一気に広げてくれます。研修の中で「観察する」「実践する」「フィードバックを受ける」という3つの役割をすべて経験できる設計が理想的です。

受け取る側のトレーニングも忘れずに

フィードバックは「伝える側」だけでなく、「受け取る側」のスキルも重要です。フィードバックを受けたときに防衛反応が出てしまう(言い訳をする・落ち込む・反発する)という状態では、せっかくのフィードバックが活かされません。

良いフィードバック研修では、受け取る側のスキルも合わせて学びます。「ありがとうございます。少し考えさせてください」という受け答えの基本から、フィードバックを自分の成長に活かすための内省の方法まで、受け取り側のトレーニングも充実した研修を選んでください。受け取り上手な人が増えると、職場全体でフィードバックを交わしやすい空気が生まれます。「フィードバックを言ってもムダ」という諦めの文化を崩すためにも、送る側と受け取る側、両方のスキルを組織的に育てることが大切です。

継続的なフィードバック文化の醸成

研修を1回実施しただけでは、フィードバックが当たり前の文化になるわけではありません。日常の中でフィードバックが自然に交わされる文化をつくるためには、継続的なトレーニングと組織の仕組みづくりが必要です。

たとえば、毎週のチームミーティングに「1週間の良かった点・改善点の共有」の時間を設ける、1on1の中にフィードバックのセクションを設ける、など日常的にフィードバックが行われる仕組みを整えることが大切です。フィードバック研修はその出発点に過ぎず、継続的な変化を支える仕組みをセットで考えることが重要です。フィードバックが日常的に交わされる組織では、問題が早期に発見されて改善されるサイクルが速くなります。それは結果として、業績の向上や離職率の低下にも直結します。研修と仕組みを両輪で回すことが、フィードバック文化を根付かせる最短ルートです。

フィードバック研修のイメージ

外部講師を選ぶ際のチェックポイント

講師自身のフィードバック経験

フィードバック研修の外部講師を選ぶ際は、「講師自身が豊富なフィードバックの経験を持っているか」を確認しましょう。コーチングや組織開発の経験が豊富な講師は、フィードバックの理論だけでなく、現場のリアルな難しさを知っています。

私はおもちゃ開発の仕事を通じて、「なぜこのおもちゃは売れなかったのか」を何度もチームで振り返ってきました。ベイブレードの前身である「すげゴマ」が思うような結果を出せず、「バトルトップ」も「1種類しかないから2個目を買う理由がない」という問題で苦戦した経験があります。失敗を分析し「バトルできる」「改造できる」という2要素を組み合わせてベイブレードが生まれたプロセスは、まさにフィードバックをもとに仮説を立てて改善するサイクルの実践でした。現場での試行錯誤の経験がある講師は、研修の中でリアルな事例を交えて話せるため、参加者の腹落ちが深まります。

ロールプレイの設計を確認する

フィードバック研修の質を左右するのは、ロールプレイの設計です。単に「AさんとBさんでロールプレイしてください」という指示だけでは、学びが浅くなります。優れた研修では、ロールプレイ前に「何に注目して観察するか」を明確にし、ロールプレイ後に「何がうまくできたか・何を改善するか」を丁寧に振り返る時間が設けられています。

また、ロールプレイの難易度設計も重要です。最初は簡単な場面から始めて、徐々に難しい場面(怒っている部下・落ち込んでいる部下・実績がいい部下へのギャップフィードバック)に挑戦できる設計が、スキルの段階的な定着につながります。「こんな難しいシチュエーションでもフィードバックできた」という自信の積み重ねが、研修後の実践意欲を高めます。難しい場面を安全な研修の場でこそ、積極的に経験してほしいと思います。研修の場では「失敗してもいい」という心理的安全性があるため、思い切った実践が可能です。その体験こそが、現場での自信につながります。

研修後の実践支援を確認する

フィードバックスキルは、研修後の実践と振り返りを通じて定着します。研修後に「実際に部下にフィードバックしてみた結果」を共有し、うまくいかなかった点をサポートしてもらえる仕組みがあるかどうかを確認してください。

オンラインコミュニティでの実践報告、個別相談の機会の提供、フォローアップ研修の実施など、研修後の継続的なサポートが充実している会社を選ぶことが、長期的な効果を生み出します。「研修を受けたのに何も変わらなかった」という状況を避けるためにも、SBIモデル研修を選ぶ際は、研修後の実践支援まで含めてトータルで評価することをお勧めします。

アイデア総研のフィードバック研修

SBIモデルを実践で習得するプログラム

アイデア総研のフィードバック研修では、SBIモデルの理解から実践まで、一連のプロセスを体験できるプログラムを提供しています。SBIモデルの概念説明にとどまらず、参加者が実際にSBIモデルを使ってフィードバックの言葉を組み立て、ロールプレイで試し、フィードバックを受け取る体験を繰り返します。

特に「ギャップフィードバック(改善を促す伝え方)」に苦手意識を持つ管理職が多いため、研修の中で複数のシナリオを使って集中的にトレーニングします。「伝えた後に部下との関係がより深まった」という体験を研修中に生み出すことを、最も大切にしています。「フィードバックを伝えることは相手を傷つけること」という誤解を解き、「フィードバックは最高の贈り物だ」という感覚を全員に持ち帰っていただけるよう工夫しています。

コーチングと組み合わせた独自設計

アイデア総研のフィードバック研修の特徴は、コーチングのアプローチと組み合わせた独自設計にあります。一方的にフィードバックを伝えるのではなく、フィードバックのあとに「あなたはどう思う?」と問いかけるコーチング的な対話を取り入れることで、部下が自発的に気づき、自分で行動変容を決意するプロセスを生み出します。

5,000人以上への講義経験を通じて積み重ねた「どのように伝えれば、相手の心に届くか」という知見を、研修設計に存分に反映しています。大阪公立大学・千葉大学・筑波大学・法政大学での講義経験も持ち、理論的な裏付けのある実践的なプログラムを提供しています。「フィードバックをもらって嬉しかった」という感覚を研修の中で体験してもらうことで、フィードバックに対するポジティブなイメージを参加者全員に持ち帰っていただけます。

全国・オンライン・ハイブリッド対応

アイデア総研では、対面・オンライン・ハイブリッドすべての形式に対応しています。全国どこでも出張対応が可能で、研修時間は1時間から6時間まで柔軟に設計できます。「まず管理職に短時間で体験してもらいたい」というご要望から、「じっくり1日かけて習得したい」というご要望まで対応しています。また著書『おもちゃ流企画術』(実業之日本社)でも、アイデアを生み出すプロセスとフィードバックの関係について触れており、研修の考え方の背景を深く理解したい方にもお勧めです。フィードバック研修SBIモデル研修に関心をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

フィードバック研修のイメージ

まとめ

いかがでしたか。フィードバックは、部下の成長を加速させる最も有効なアプローチのひとつです。SBIモデルを使った構造化されたフィードバックは、感情的な批判や曖昧な指導に終わらせず、相手が受け取りやすい形で成長の機会を届けます。「言いたいことを正しく伝える」技術は、マネジャーとして最も大切なスキルのひとつと言っても過言ではないでしょう。

フィードバック研修SBIモデル研修を選ぶ際は、「実践の機会が豊富にあるか」「受け取る側のトレーニングも含まれているか」「研修後のフォロー体制があるか」の3点を中心に評価することをお勧めします。フィードバックが当たり前に行われる組織文化は、一夜にして生まれるものではありません。研修を起点に、継続的な取り組みを積み重ねていきましょう。部下の成長が組織の成長につながると信じて、一歩ずつ前進していきましょう。

アイデア総研について

アイデア総研の研修風景
実際の研修・ワークショップの様子

アイデア総研は、フィードバックをはじめとしたコミュニケーション・マネジメント研修を幅広く提供しています。代表の大澤は、世界累計5億個のベイブレード・人生銀行・夢見工房の開発者であり、5,000人以上への講義実績を持ちます。大阪公立大学・千葉大学・筑波大学・法政大学での講義経験を持ち、著書『おもちゃ流企画術』(実業之日本社)も好評発売中です。対面・オンライン・ハイブリッドに対応し、全国どこでも1時間〜6時間のプログラムをご提供します。フィードバック研修の導入をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。