アイデア発想の記事

玩具市場のトレンドと商品開発のヒント|おもちゃ業界の現在地

こんにちは、アイデア総研の大澤です。

「おもちゃ業界って今どうなっているんだろう?」「玩具市場のトレンドをつかんで商品開発に活かしたい」——そんな思いをお持ちの方は多いのではないでしょうか。

実は、玩具市場は今まさに大きな転換期を迎えています。デジタルとアナログの融合、体験型おもちゃの台頭、大人向けおもちゃ市場の拡大、そして環境意識の高まりによる素材・設計の変化など、さまざまなトレンドが同時進行しています。

この記事では、玩具市場のトレンドを整理しながら、そこから商品開発のヒントを引き出す視点を、私自身のおもちゃ開発の経験を交えてお伝えします。ぜひ最後までお読みください。

玩具市場トレンドのイメージ

玩具市場の現在地:規模とトレンドの全体像

グローバル玩具市場の規模と成長

グローバルの玩具市場は年々拡大を続けており、数千億ドル規模の巨大市場です。特にアジア太平洋地域の成長が著しく、中国・インド・東南アジアなどの新興市場が市場拡大を牽引しています。

日本国内の玩具市場も、一時の縮小傾向から回復し、新たな需要層の開拓によって活性化しています。特に大人向け玩具(いわゆる「大人買い」文化)や、知育玩具・STEM教育系おもちゃの需要が増加しています。

玩具市場のトレンドを理解する上で重要なのは、単純な市場規模だけでなく、どのカテゴリが成長しているかを見ることです。市場全体の動向と個別カテゴリのトレンドを組み合わせることで、商品開発の方向性が見えてきます。

デジタル化がもたらした玩具業界の変革

スマートフォンやタブレットの普及、ゲーム産業の成長は、玩具業界に大きな影響を与えました。一時は「子どもがスマホに夢中でおもちゃが売れない」という危機感が業界全体に漂いました。

しかし、そのデジタル化の波が逆に新しいカテゴリを生み出しました。ARやVRを活用したインタラクティブ玩具、アプリと連携して遊ぶスマートトイ、NFTやデジタルコレクティブルと連動したフィジカルトイなど、デジタルとフィジカルを融合させた新しい玩具のカテゴリが続々と生まれています。

玩具市場のトレンドとして、「フィジタル(フィジカル+デジタル)」という概念が商品開発の重要なキーワードになっています。デジタルネイティブ世代の子どもたちへのアプローチとして、この融合は今後も続くでしょう。

少子化と「購買者の変化」がもたらす新市場

日本では少子化が続いていますが、玩具市場が縮小していないのは、購買者の構造が変化しているからです。かつておもちゃは「子どもが使い、親が買う」ものでした。しかし現在は、大人自身が楽しむために買う「大人向け玩具」市場が急成長しています。

ガンプラや鉄道模型、ハイエンドフィギュア、アダルト向けボードゲームなど、大人の趣味・コレクション需要に応える商品カテゴリが市場を牽引しています。また、祖父母が孫のために購入するという購買パターンも増加しており、一人の子どもへの投資額が増えているという側面もあります。

玩具市場のトレンドにおいて、ターゲットを「子ども」だけに限定しない発想が、商品開発の新たな可能性を開きます。

注目すべき玩具市場の主要トレンド

現在の玩具市場を形成している主要なトレンドを深掘りします。これらのトレンドを理解することで、商品開発のヒントが見えてきます。

STEM・STEAM教育玩具の急成長

科学・技術・工学・数学(STEM)、さらに芸術(Art)を加えたSTEAM教育への関心が世界的に高まる中、それに対応した教育玩具市場が急成長しています。プログラミングを学べるロボット玩具、電子工作キット、サイエンス実験セットなど、「遊びながら学べる」商品が親からの支持を得ています。

日本でも2020年のプログラミング教育必修化以降、この分野への需要が加速しています。玩具市場のトレンドとして、教育的価値と遊びの楽しさを両立させた商品設計が求められています。

商品開発のヒントとしては、「子どもが楽しんでいたら、いつの間にか学んでいた」という体験設計が重要です。学習感を前面に出しすぎると子どもが拒否反応を示すことがありますが、遊びの中に自然に学習要素を組み込むことで、親も子どもも満足できる商品になります。

サステナビリティへの対応:エコフレンドリー玩具

環境問題への意識が高まる中、玩具業界でも持続可能性への対応が急務になっています。プラスチック使用量の削減、再生素材の活用、長く使えるデザイン設計、修理・交換パーツの提供など、環境負荷を低減した「エコフレンドリー玩具」への需要が高まっています。

特にヨーロッパ市場では、環境への配慮が購買決定に大きく影響するようになっており、日本市場でもその傾向が広がりつつあります。玩具市場のトレンドとして、「長く使える・環境に優しい」という価値訴求が今後ますます重要になるでしょう。

商品開発においては、素材の変更だけでなく、「このおもちゃが環境にどう貢献しているか」を顧客にわかりやすく伝えるコミュニケーション設計も重要です。

体験型・ソーシャル玩具の台頭

個人でスマホゲームに没頭するよりも、「人と一緒に遊ぶ体験」への回帰傾向が見られます。コロナ禍以降、家族や友人と一緒に楽しめるボードゲーム・カードゲーム・パーティーゲームの需要が急増しました。

この「ソーシャル玩具」のトレンドは、人と人をつなぐことへの渇望から生まれています。玩具市場のトレンドとして、「遊びを通じたコミュニケーション」という価値は今後も重要であり続けるでしょう。

商品開発のヒントとしては、「複数人で遊ぶほど盛り上がる」「世代を超えて一緒に楽しめる」という設計思想が重要です。家族の絆を深める体験を提供できる玩具は、プレゼント需要も高く、市場での競争優位性を持てます。

玩具市場トレンドのイメージ

ベイブレードに学ぶ「時代を超えるヒット商品」の設計

ここで、私自身の開発経験からお話しさせてください。玩具市場のトレンドを追いかけるだけでは生まれない、時代を超えて売れ続ける商品の設計思想についてです。

「すげゴマ」→「バトルトップ」→「ベイブレード」:失敗から生まれた傑作

ベイブレードの開発は、決して一発でのヒットではありませんでした。最初の「すげゴマ」が売れず、改良した「バトルトップ」も「1種類しかないから2個目を買う理由がない」という問題で壁にぶつかりました。

この失敗から私たちが導き出した仮説が、「バトルできる」と「改造できる」の2要素を組み合わせることでした。コレクション性・対戦性・カスタマイズ性という3つの要素が揃うことで、子どもたちが自然と複数購買したくなる仕組みが生まれたのです。

玩具市場のトレンドを追うだけでなく、「なぜ子どもはこれで遊び続けるのか」「なぜ次も買いたくなるのか」という本質的な問いを持ち続けることが、ロングセラー商品を生む鍵です。

大ヒット玩具に共通する「続ける理由」の設計

世界累計5億個以上を売り上げたベイブレードが長年支持され続ける理由は、「終わりがない楽しさ」の設計にあります。新しいパーツが出るたびに「試してみたい」という欲求が生まれ、対戦を通じて「もっと強くなりたい」というモチベーションが持続します。

この「続ける理由の設計」は、玩具に限らずあらゆる商品・サービスに応用できる考え方です。顧客が一度購入して終わりではなく、継続的に関わり続けたくなる仕組みを設計することが、玩具市場のトレンドを超えて時代を生き残る商品の条件です。

商品開発のヒント:トレンドをどう活かすか

トレンドは「乗る」のではなく「解釈する」もの

玩具市場のトレンドを把握することは重要ですが、トレンドに乗るだけでは成功しません。「STEM教育が流行っているからSTEM玩具を作る」という発想では、競合との差別化ができず、価格競争に巻き込まれます。

重要なのは、トレンドの背後にある「顧客の本質的なニーズ」を理解することです。STEM玩具が売れているのは「プログラミングを学ばせたい」という表面的なニーズの奥に、「子どもに将来役立つ力をつけてあげたい」という親の深いニーズがあるからです。

この本質的なニーズに応える商品設計こそが、玩具市場のトレンドを活かした差別化商品開発の核心です。

「市場の隙間」に眠るヒット商品のタネ

トレンドを分析することで、まだ誰も取り組んでいない「市場の隙間」が見つかることがあります。大きなトレンドに目が向きがちですが、ニッチな需要の中にこそ、強力な競合のいないブルーオーシャンが存在します。

「シニア向けの知育玩具」「一人でじっくり楽しめる大人向けパズル」「発達障害の子どもに特化した感覚統合玩具」など、大手が手を出しにくいニッチな市場に特化することで、中小企業でも勝てる領域を見つけることができます。

玩具市場のトレンドを俯瞰しながら、自社が勝てる隙間を見つける視点が、商品開発の成功確率を高めます。

ユーザーと共に作る「共創型」商品開発

現代の商品開発で重要性を増しているのが、顧客や熱狂的なファンと一緒に商品を作る「共創」のアプローチです。SNSを通じて開発過程を公開し、ユーザーのフィードバックを取り入れながら商品を改善していく方法は、玩具業界でも広がっています。

クラウドファンディングで先行予約を受け付けながら開発費を確保し、支援者のフィードバックで商品を磨いていくアプローチも有効です。共創によって生まれた商品は、ユーザーに「自分が作った」という当事者意識を持ってもらえるため、熱狂的なファンが生まれやすい傾向があります。

玩具業界で商品開発者が意識すべき視点

「誰が、いつ、どこで、どんな気持ちで使うか」を徹底的に想像する

玩具市場のトレンドを把握した上で、実際の商品開発に移る際に最も重要なのが、「ユーザーの使用シーンを徹底的に想像すること」です。子どもがどんな表情でこの玩具を手に取るか、どんな状況でこれを欲しいと思うか、親はどんな理由でこれを買うと判断するか——こうした具体的なシーンを想像することで、機能や素材・価格の設計が変わります。

「クリスマスのプレゼントとして親が購入し、子どもが一人で遊ぶシーン」と「友達の家に持っていって一緒に遊ぶシーン」では、求められる商品特性が異なります。玩具市場のトレンドが「体験型・ソーシャル」であれば、後者のシーンを中心に設計することで、トレンドに沿った商品が生まれます。

玩具市場のトレンドを商品に落とし込む際、抽象的なトレンドを具体的なユーザーシーンに変換するプロセスが、ヒット商品開発の核心です。

「飽きない仕組み」を設計に組み込む

おもちゃが子どもに飽きられる最大の理由は、「もうやることがない」という状態になることです。どんなに素晴らしい玩具でも、遊びの選択肢が有限であれば、いつか飽きる時が来ます。

ロングセラー商品に共通するのは、「飽きない仕組み」が設計されていることです。レゴのように自由な組み合わせが無限にある設計、ベイブレードのようにカスタマイズと対戦が継続的なモチベーションを生む設計——これらは偶然ではなく、意図的に設計された「飽きない仕組み」です。

玩具市場のトレンドがどれほど変わっても、「飽きない仕組みを持つ商品」は強い競争力を持ちます。開発段階で「半年後もこれで遊んでいるか」を想像しながら設計することが大切です。

パッケージと「手に取る理由」の設計

玩具の商品開発において、製品本体の品質と同様に重要なのが「パッケージと売り場での訴求力」です。どれだけ良い商品でも、店頭で手に取ってもらえなければ購入につながりません。

子どもが「これ欲しい!」と思う視覚的インパクト、親が「良さそう」と判断するための情報設計、プレゼントとして選ばれる包装の工夫——これらを一体的に考えることが、商品開発の重要な要素です。

玩具市場のトレンドを理解した上で、「この商品はどんな文脈で選ばれるか」を想定したパッケージ設計をすることで、売り場での競争力が大きく変わります。商品と体験の一体設計が、現代の玩具商品開発の要諦です。

玩具市場の今後の展望と開発者へのメッセージ

AI・ロボティクスとおもちゃの融合が加速する

技術革新の波は玩具市場にも押し寄せています。AIを搭載したインタラクティブ玩具、子どもの発話に反応して会話するロボット玩具、学習履歴に応じて難易度が変わる教育玩具——これらは既に市場に登場しており、今後さらに普及することが予測されます。

玩具市場のトレンドとして、AIとロボティクスの活用は避けて通れないテーマになるでしょう。ただし、技術を使うことが目的になってはいけません。「子どもの笑顔と成長のために技術を使う」という本質を忘れない開発姿勢が、良い商品を生み出します。

「遊び」の本質は変わらない——だからこそヒットは生まれる

玩具市場のトレンドがどれだけ変化しても、「遊び」の本質は変わりません。子どもは笑いたい、驚きたい、友達と一緒に楽しみたい、自分が成長するのを感じたい——これらの根本的な欲求は、時代を超えて変わらないものです。

トレンドに敏感であることと、本質を忘れないこと。この2つのバランスを保ちながら商品を開発することが、玩具市場で長く生き残るための知恵です。私がベイブレードの開発を通じて学んだのも、まさにこの「本質への回帰」でした。

失敗を恐れず、子どもの笑顔を想像し、仮説を立てて試し続ける。玩具市場のトレンドを理解した上で、本質的な価値を届ける商品を作ること——それが、おもちゃ開発者としての醍醐味であり、使命だと私は考えています。

国内外の玩具メーカーの動向と競争環境

グローバル大手メーカーの戦略変化

レゴ、マテル、ハズブロなどのグローバル玩具大手は、近年デジタルトランスフォーメーションを積極的に推進しています。レゴは「レゴマリオ」のようにデジタルゲームとフィジカルブロックを融合させた商品を展開し、若い世代の取り込みに成功しています。マテルはバービーのIPを映画化してブランド価値を再構築しました。

こうしたグローバル大手の動向は、玩具市場のトレンドを先取りする形で進んでおり、中小メーカーや新興企業にとっての参考になります。ただし、大手がやっていることを真似するだけでは太刀打ちできません。玩具市場のトレンドを読みながら、大手が手を出せないニッチ領域に特化する戦略が中小企業の生きる道です。

日本のおもちゃメーカーの強みと課題

日本のおもちゃメーカーは、「品質の高さ」「細部へのこだわり」「キャラクタービジネスとの連携」という強みを持っています。特にアニメ・マンガとの連携によるキャラクター玩具は、日本が世界に誇る強みです。

一方で、課題としてグローバル展開の遅さ、デジタル対応の遅れ、少子化による国内市場の縮小があります。玩具市場のトレンドを理解した上で、日本の強みをどう活かしてグローバル市場に打って出るかが、今後の競争力を左右します。

玩具市場のトレンドへの対応と日本固有の強みの融合が、日本の玩具業界が世界で勝ち続けるための鍵となるでしょう。

クラウドファンディングが生んだ新しいおもちゃメーカーの形

Kickstarterなどのクラウドファンディングプラットフォームの普及により、少資本でもユニークな玩具を市場に投入できる環境が整いました。個人や小チームが設計したボードゲームや特殊な玩具が、クラウドファンディングで数千万円を調達して商品化に成功する事例が増えています。

この流れは、既存の大手メーカーには作れないニッチな需要に応える商品が市場に生まれるという、玩具市場の多様化を促進しています。玩具市場のトレンドとして、「クラウドファンディングを活用したスモールスタートの商品開発」は、特に個人クリエイターや中小企業にとって重要な選択肢です。

玩具市場トレンドのイメージ

まとめ

いかがでしたか。玩具市場のトレンドと商品開発のヒントについて、市場全体の動向からSTEM・サステナビリティ・体験型という主要トレンド、そして実際の開発経験を交えて解説してきました。

玩具市場のトレンドを追いかけながらも、その背後にある顧客の本質的なニーズを読み解くこと。失敗を分析し、仮説を立て、改善し続けること。時代を超えて愛される商品には、「続ける理由の設計」がある。これらの視点を商品開発に活かすことで、変化する市場の中でも生き残る商品を生み出すことができるでしょう。

玩具市場のトレンドを深く理解し、そこから本質的な価値を提供する商品開発に、ぜひ取り組んでみてください。

アイデア総研について

アイデア総研の研修風景
実際の研修・ワークショップの様子

アイデア総研は、玩具市場のトレンドを踏まえた商品企画から、アイデア発想・プロトタイプ開発まで、実践的なプログラムを提供する研修機関です。代表の大澤は、ベイブレード(世界累計5億個)・人生銀行・夢見工房の開発者であり、5,000人以上への講義実績を持ちます。大阪公立大学・千葉大学・筑波大学・法政大学での講義も行い、著書に『おもちゃ流企画術』(実業之日本社)があります。対面・オンライン・ハイブリッドに対応し、全国どこでも、1時間から6時間まで柔軟にご対応いたします。

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