研修担当者様へ

研修プログラムの作り方|人事担当者が最初に知るべき設計の基本

こんにちは、アイデア総研の大澤です。

「研修プログラムを作ることになったけど、何から始めればいいかわからない」「毎年同じような研修を繰り返しているが、効果が出ているのか不安」——人事担当者の方から、こんなお悩みをよくお聞きします。研修プログラムの作り方は、実は設計段階での考え方が大きく結果を左右します。

今回は、人事担当者の方が最初に知っておくべき研修プログラムの設計の基本から、実践的な作り方まで体系的にご紹介します。はじめて研修設計に取り組む方も、ベテランの方もきっとヒントが見つかると思います。ぜひ最後までお付き合いください。

研修プログラムの作り方のイメージ

研修プログラムとは何か

研修と研修プログラムの違い

「研修」と「研修プログラム」は混同されがちですが、実は大きな違いがあります。

「研修」は特定の学びのイベントや活動そのものを指します。一方、「研修プログラム」は、目標達成のために複数の研修や学習活動を体系的に組み合わせたものです。研修プログラムには、事前学習・本研修・フォローアップ・評価のサイクルが含まれ、継続的な成長を支援する設計が必要です。

たとえば、「新入社員向け研修プログラム」であれば、入社前のオリエンテーションから始まり、ビジネスマナー研修、業務スキル研修、OJT、3ヵ月後のフォロー面談まで、一連の流れがプログラムとして設計されます。単発のイベントではなく、目的に向かった「学びの旅」を設計することが、研修プログラムの作り方の核心です。

なぜ研修プログラムの設計が重要なのか

多くの企業で「研修をやったけど、現場に戻ったら何も変わらなかった」という経験をしているのではないでしょうか。これは研修の内容の問題ではなく、プログラム設計の問題であることがほとんどです。

研修プログラムの設計が不十分な場合に起きがちな問題があります。まず「何のためにやるのかわからない研修」が行われてしまうこと。受講者も講師も目的が曖昧なまま進むため、学びが定着しません。次に「現場と研修の乖離」。研修で学んだことが現場で活かせない、という状況は設計段階で現場との連携が不足していると起きます。

研修プログラムの作り方を体系的に学ぶことで、研修への投資効果(ROI)を大きく改善できます。人材育成はコストではなく投資です。設計をしっかり行うことで、確実にリターンを生む投資にすることができます。

研修プログラムの作り方:設計の基本ステップ

研修ニーズの把握

研修プログラムの作り方の第一ステップは、「研修ニーズを正確に把握すること」です。ここを怠ると、どれだけ内容が充実していても効果が出ません。

研修ニーズの把握には、複数の視点からの情報収集が必要です。まず「経営視点」——会社が今後どこへ向かおうとしているか、そのために必要な人材像は何か。次に「現場視点」——現場で今どんな課題が起きているか、どんなスキルが不足しているか。そして「個人視点」——受講者自身がどんな課題を感じているか、何を学びたいと思っているか。

これらの視点をアンケート・インタビュー・パフォーマンスデータなどから収集し、「現状のスキルレベル」と「目指すべきスキルレベル」のギャップを明確にします。このギャップこそが、研修プログラムで埋めるべき課題です。

ニーズ把握の際に注意すべきことは、「症状」と「原因」を混同しないことです。「コミュニケーションが苦手」という症状に対して、コミュニケーション研修を当てはめるのは短絡的すぎます。なぜコミュニケーションが苦手なのか、根本的な原因を探ることで、より効果的な研修プログラムの設計ができます。

ニーズ把握にかける時間を惜しむ企業は多いですが、ここに時間をかけることが後の研修効果を何倍にも高めます。「研修を依頼されたからとりあえず作る」のではなく、「本当に何が必要かを徹底的に考えてから作る」という姿勢が、研修プログラムの作り方において最も重要な第一歩です。

目標設定(ゴールを明確にする)

ニーズが把握できたら、次は「研修の目標を明確に設定すること」です。これが曖昧だと、プログラム設計も評価もすべて曖昧になります。

研修目標は「SMARTの法則」に沿って設定することが効果的です。Specific(具体的)・Measurable(測定可能)・Achievable(達成可能)・Relevant(関連性がある)・Time-bound(期限がある)という5つの観点から目標を設定します。

たとえば「プレゼン力を高める」という目標は曖昧です。SMART目標に直すと「3ヶ月後に10分間のプレゼンを資料なしで構造的に話せるようになる(上司の評価で4/5点以上)」となります。このように具体的で測定可能な目標を設定することが、研修プログラムの作り方において非常に重要です。

また、目標には「知識」「スキル」「行動」の3層を意識することが大切です。知識が増えただけでは現場は変わりません。スキルが身についても行動に移らなければ意味がありません。研修プログラムは、受講者の「行動変容」を最終的なゴールと捉えて設計しましょう。

プログラム構成の設計

目標が決まったら、いよいよプログラムの構成を設計します。研修プログラムの作り方において、構成設計は最も創造的なプロセスです。

構成設計では、以下の要素を検討します。まず「学習内容の選定」——目標達成に必要な知識・スキルを洗い出し、優先順位をつけます。次に「学習の順序」——簡単なものから難しいものへ、基礎から応用へという流れが基本です。そして「学習方法の選択」——講義・ワークショップ・ケーススタディ・ロールプレイ・OJTなど、内容に合った方法を選びます。

研修プログラムの構成において、「インプットとアウトプットのバランス」を意識することが大切です。知識のインプットだけでなく、その知識を実際に使ってみるアウトプットの機会を設けることで、学びが定着します。「聞くだけの研修」にしないための工夫が、プログラム構成の要です。

効果的な研修プログラムの作り方のポイント

インプットとアウトプットのバランス

効果的な研修プログラムの作り方において、最も大切なのが「インプットとアウトプットのバランス」です。人間は「やってみることで学ぶ」生き物です。

「学習の錐」(エドガー・デールが提唱したモデル)によると、「読む・聞く」だけでは学習定着率が低く、「実際にやってみる・教える」ことで定着率が大幅に高まります。この原理を研修プログラムに活かすことが、研修プログラムの作り方の重要なポイントです。

具体的には、1時間の講義に対して30分以上のワーク・演習・ディスカッションを設ける、というバランスが目安です。また、研修後に「学んだことを誰かに教える機会」を設けることも非常に効果的です。人に教えることで、自分の理解が深まるとともに、定着率が格段に上がります。

参加者の主体性を引き出す仕掛け

研修を「やらされるもの」ではなく「自分から学ぶもの」にするために、参加者の主体性を引き出す仕掛けを研修プログラムに組み込むことが重要です。

効果的な仕掛けのひとつが「ゴールの自己設定」です。研修の冒頭で受講者自身に「この研修で自分が達成したいこと」を書かせることで、受動的な受け手から能動的な学び手に変わります。また、「グループ対話」を取り入れることで、他者の視点に触れて気づきが深まります。

さらに、「現場の課題を持ち込む」アプローチも効果的です。研修の中で受講者それぞれが抱える現場の実際の課題を素材にして考えることで、研修の学びがそのまま現場に直結します。抽象的な事例ではなく、自分事として考えられる環境を作ることが、主体的な学びの鍵です。

振り返り(リフレクション)の設計

研修プログラムの作り方で見落とされがちなのが、「振り返り(リフレクション)の設計」です。学びを行動に変えるためには、定期的な振り返りの機会が不可欠です。

振り返りには「研修中の振り返り」と「研修後の振り返り」の2種類があります。研修中は、セッションの終わりに「今日学んだことで明日から実践できることは何か?」を一人ひとりが書き出す時間を設けます。研修後は、1週間後・1ヶ月後などに振り返りシートや面談を行い、「学びが現場で活かせているか」を確認します。

振り返りをプログラムに組み込むことで、研修が「点」ではなく「線」になります。学びを継続的な成長へとつなげることが、効果的な研修プログラムの作り方の真髄です。

研修プログラムの作り方のイメージ

社内研修プログラムを内製化するメリットと注意点

研修を内製化するメリット

近年、外部講師による研修から社内で研修プログラムを作り・実施する「内製化」へシフトする企業が増えています。研修プログラムを内製化するメリットは大きく3つあります。

まず「コスト削減」。外部研修に毎年多額の費用をかけるより、内製化することで長期的にはコストを抑えられます。次に「自社文化に合った内容の設計」。自社の事業・文化・課題に直結した内容を組み込めるため、研修の実効性が高まります。そして「ナレッジの蓄積」。研修プログラムを内製化することで、組織の知識・ノウハウが体系化され、蓄積されていきます。

内製化を進めるためには、まず社内にファシリテーターや講師となれる人材を育てることが必要です。外部の研修会社に依頼するのではなく、自社の優秀な社員が研修を行う文化をつくることで、教える側も学びながら成長できる好循環が生まれます。

内製化の落とし穴

一方で、研修プログラムの内製化にはいくつかの落とし穴もあります。知っておくことで事前に対策を取れます。

最も多い落とし穴が「講師の属人化」です。特定の社員が研修を担当し続けると、その人が異動・退職した際に研修が続けられなくなります。これを防ぐために、研修プログラムをしっかりとドキュメント化し、誰でも実施できるようにしておくことが重要です。

また、「内部の視点だけに偏ること」も課題です。内製化が進むと、外部の新しい知見が入りにくくなります。定期的に外部の専門家を招いたり、外部研修に参加したりして、新鮮な視点を取り込む工夫が必要です。内製化と外部活用のハイブリッドが、研修プログラムの作り方の理想形とも言えます。

アイデア発想系研修プログラムの設計実例

おもちゃ開発の体験から学んだ研修設計

私がアイデア発想系の研修プログラムを作る際に意識しているのは、「実体験から学ぶこと」の重要性です。これは私自身のおもちゃ開発の経験から得た確信です。

ベイブレードを開発する過程で、「すげゴマ」→「バトルトップ」→「ベイブレード」という3段階の失敗と改善を経験しました。この過程で学んだのは、どれだけ理論を学んでも、実際に「考えて、作って、試す」というサイクルを経験しなければ本当の学びにはならないということです。

この経験を研修プログラムに活かし、アイデア発想の研修では必ず「実際に何かを作って発表する」ワークを組み込むようにしています。たとえば「新しいおもちゃのアイデアを考えて、紙でプロトタイプを作り、チームにプレゼンする」という体験型ワークは、アイデアの発想から伝え方まで一気に学べる非常に効果的なプログラムです。

実践を中心とした研修の効果

実践を中心とした研修プログラムの作り方は、一見「遊んでいるだけ」に見えることもあります。しかし、そこには深い学びが詰まっています。

おもちゃのアイデアを考えながら、実は「ユーザーニーズの把握」「コンセプト設計」「差別化戦略」「プレゼンテーション」というビジネスの基本的な思考プロセスをすべて経験しています。楽しみながら本質を学べること——これが体験型研修プログラムの最大の強みです。

私が5,000人以上に講義をしてきた中でわかったことは、「楽しかった研修」こそが定着率が高いということです。受講者が「またやりたい!」と感じるような研修プログラムを作ることが、人事担当者としての最大のゴールだと私は思っています。そして「楽しい」と「学べる」は決して矛盾しません。むしろ、楽しいからこそ深く学べる——この原則を大切にした研修プログラムの作り方を、ぜひ実践してみてください。

研修プログラムの効果測定と改善

カークパトリックモデル

研修プログラムの効果を測定するために広く使われているのが、「カークパトリックモデル」です。4つのレベルで研修の効果を評価します。

レベル1「反応」——受講者は研修に満足したか?(アンケートで測定)レベル2「学習」——受講者は何を学んだか?(テストや課題で測定)レベル3「行動」——受講者は現場で行動が変わったか?(上司の観察・面談で測定)レベル4「成果」——研修は組織の業績に貢献したか?(売上・生産性などで測定)

多くの企業ではレベル1(満足度アンケート)だけで終わってしまっていますが、本当に重要なのはレベル3・4です。研修プログラムの作り方として、どのレベルの効果を測定するかを設計段階から決めておくことが、評価を機能させる鍵になります。

受講者アンケートの活用

研修後アンケートは、研修プログラムを改善するための宝の山です。しかし、アンケートの設計が悪いと有用なデータが得られません。

効果的なアンケートには「満足度(5段階評価)」に加えて、「研修で最も役立った内容は何か」「現場で実践したいことを一つ挙げてください」「次回の研修に向けて改善してほしい点は何か」といった自由記述欄を設けることが重要です。

アンケートの結果を次のプログラム設計にフィードバックするサイクルを作ることが、研修プログラムの継続的な改善につながります。「やりっぱなし」にせず、データをもとに改善を続けることが、長期的に効果の高い研修プログラムを育てる秘訣です。また、アンケートの結果を受講者にフィードバックすることも重要です。「皆さんのご意見をもとに次回はこう改善します」と伝えることで、受講者の次回研修への参加意欲も自然と高まります。

PDCAを回し続ける

研修プログラムは一度作ったら終わりではありません。PDCAを回し続けることが、研修プログラムの作り方において最も重要な習慣です。

Plan(計画)→Do(実施)→Check(評価)→Action(改善)のサイクルを毎回の研修で回すことで、プログラムの質が着実に向上します。特に「Check」の段階では、アンケート・インタビュー・現場の変化の観察など、複数の視点から効果を確認しましょう。

研修プログラムの改善は、「大きな変更」よりも「小さな改善の積み重ね」が有効です。「この演習の時間が少し長すぎた」「このスライドの説明がわかりにくかった」といった小さな気づきを毎回蓄積し、次回に活かすことで、年々洗練されたプログラムになっていきます。

PDCAを回し続けるためには、研修の記録を残すことも大切です。どんな内容を・どんな方法で・どんな参加者に実施して・どんな反応だったかを記録しておくことで、プログラム設計の精度が上がります。研修プログラムは「生き物」であり、組織の変化・社会の変化とともに進化させ続けることが、人材育成担当者としての重要な役割です。

研修プログラムの作り方のイメージ

まとめ

いかがでしたか。研修プログラムの作り方は、ニーズの把握から目標設定・構成設計・効果測定・改善まで、体系的なプロセスが必要です。しかし、最初から完璧なプログラムを目指す必要はありません。今回ご紹介したポイントをおさらいしましょう。

  • 研修プログラムとは、目標達成のために学習活動を体系化したもの
  • 研修ニーズを多角的に把握し、「症状」ではなく「原因」に対処する
  • SMARTの法則でゴールを明確に設定する
  • インプットとアウトプットのバランスを意識した構成設計
  • 参加者の主体性を引き出す仕掛けと振り返りの設計
  • 内製化にはメリットと落とし穴の両方を理解する
  • カークパトリックモデルで効果測定し、PDCAで改善を繰り返す

人が育つことで組織が強くなります。研修プログラムの作り方を学び、自社の人材育成に活かしてください。まずは小さなプログラムから始めて、継続的に改善していくことが成功への近道です。焦らず一歩一歩積み重ねていけば、必ず成果につながる研修プログラムができあがります。人事担当者の皆さまの地道な取り組みが、組織の未来を着実に変えていくと信じています。

アイデア総研について

アイデア総研の研修風景
実際の研修・ワークショップの様子

研修プログラムの設計でお困りの人事担当者様には、アイデア総研の企業研修サービスをご活用ください。代表の大澤は、ベイブレード(世界累計5億個)・人生銀行・夢見工房の開発者として、実際の商品開発経験をもとにしたアイデア発想・企画力強化の研修を提供しています。5,000人以上への講義実績を持ち、大阪公立大学・千葉大学・筑波大学・法政大学でも登壇。著書『おもちゃ流企画術』(実業之日本社)も好評発売中です。対面・オンライン・ハイブリッドに対応、全国可、1時間〜6時間とご要望に応じたプログラムをご提供します。