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企画力がない会社の共通点と改善策|経営者向け処方箋

こんにちは、アイデア総研の大澤です。

「うちの会社、なんで企画力がないんだろう」──そう感じたことはありませんか?

会議を開いても沈黙。「何かいいアイデアはないか?」と聞いても、社員の表情がなんとも言えない感じに固まる。あの空気、経営者にとっては地味につらいものです。

企画力がない会社というのは、残念ながらある日突然そうなったわけではありません。じわじわと積み重なった「文化」と「仕組み」の問題が根っこにあります。そしてその問題は、正しいアプローチで必ず改善できます。

この記事では、企画力がない会社に共通する特徴を整理し、その原因と具体的な改善策をお伝えします。長年おもちゃ開発に携わり、5,000人以上に企画力の講義をしてきた経験から、現場目線でお伝えしていきます。

「企画力がない」とはどういう状態か?まず整理しよう

企画力とは「課題を解決するアイデアを形にする力」

「企画力」という言葉、実はかなり広い意味で使われています。人によっては「クリエイティブな発想力」と捉え、また別の人は「プレゼン力」と混同していることもあります。

しかし、ビジネスにおける企画力とは、課題や目的に対して解決策を考え、それを実行可能な形にまとめ上げる力のことです。「アイデアを出す」だけでなく、「形にする」「動かす」ところまでが企画力の射程です。

だから「アイデアマンはいるけど企画が通らない」という会社も、広い意味では企画力がない会社の一形態と言えます。アイデアを形にして動かすまでのプロセス全体を見直すことが必要です。

「アイデアが出ない」と「企画力がない」は似て非なる問題

企画力がないと感じている経営者の多くは、「アイデアが出てこない」という現象に直面しています。しかし、問題の本質は「アイデアの量」ではなく、アイデアを出せる環境や仕組みが整っていないことにある場合がほとんどです。

企画力は才能ではありません。これは私が長年おもちゃ開発の現場で実感してきたことです。適切な場と方法があれば、誰でもアイデアは出てきます。逆に、いくら優秀な人材を集めても、環境が整っていなければアイデアは生まれません。「人材のせい」にする前に、まず環境を見直すことが重要です。

経営者が「うちには企画力がない」と気づくタイミング

企画力がないと気づく瞬間は、たいていの場合こんな場面です。競合他社が新しいサービスや商品をリリースしたとき、「なんでうちはあれを先にやれなかったんだ」と悔しくなる。あるいは、新規事業の検討会議を開いたとき、「この会議、毎回同じ結論で終わるな」と気づく。

こういった瞬間に初めて、企画力の欠如が経営上のリスクであるということが腑に落ちるのです。大切なのは、気づいたその瞬間から動き始めることです。

企画力がない会社の7つの共通点

これまで数多くの企業で研修や講義を行ってきた経験から、企画力がない会社にはいくつかの共通したパターンがあると感じています。「うちのことかも」とドキッとするものがあれば、ぜひ改善のヒントにしてください。

共通点①:失敗を責める文化がある

企画力がない会社で最も多く見られるのが、この「失敗を責める文化」です。新しいことにチャレンジして失敗した社員が責められる環境では、誰も新しい提案をしなくなります。当然です。リスクを取るメリットがなく、リスクを取った結果の失敗だけが重く罰せられるなら、無難な「現状維持」を選ぶのが合理的な判断になってしまいます。

失敗を責める文化は企画力の芽を根から摘み取ります。「挑戦した結果の失敗」と「準備不足の失敗」を分けて評価することが大切です。失敗を責める会社に企画力は育ちません。これは断言できます。

共通点②:会議でしかアイデアを求めない

「企画会議」という場を設けているのに、アイデアが出てこない。そういう会社は、会議の場でしかアイデアを求めていないことが多いです。実は、良いアイデアは会議室の外で生まれることが多いのです。シャワーを浴びているとき、通勤電車の中、ランチの後。人間の脳は、ある程度リラックスした状態や、全く別のことを考えているときにこそ、新しい発想を生み出しやすくなります。

会議の場だけでアイデアを求めるのは、「お腹が空いていないときに無理やり食事させる」ようなもの。企画力がない会社の典型的な特徴の一つです。普段からアイデアをメモする習慣を組織に根付かせることが先決です。

共通点③:「前例」が絶対基準になっている

「前例がないから」「過去にやって失敗したから」「うちの業界ではそういうものだから」──これらの言葉が会議でよく出てくる会社は要注意です。前例主義は組織の安定をもたらす一方で、企画力を根本から阻害します。

企画の本質は今まで存在しなかったものを生み出すことですから、前例がないのは当たり前。それを理由に却下していたら、永遠に新しいものは生まれません。「前例がない」を理由に却下するのではなく、「どうすれば実現できるか」を問う文化に変えていくことが重要です。

共通点④:インプットの機会が少ない

企画力がない会社のもう一つの特徴が、社員のインプット機会の少なさです。セミナーへの参加費が出ない、本を買うための書籍代がない、異業種の人と交流する機会が設けられていない。こういった環境では、企画力は育ちようがありません。

アイデアはゼロから生まれるわけではありません。既存の情報や体験が組み合わさることで新しいアイデアになります。インプットが少なければ、アウトプットも必然的に乏しくなります。企画力を高めたければ、まずインプットに投資することが大前提です。

共通点⑤:評価基準が「すぐに売れるか」だけ

アイデアを評価する際に、「これは売れるの?」「費用対効果は?」という判断を最初にしてしまう会社があります。もちろん、最終的にはビジネスとして成立するかどうかを考えることは重要です。しかし、アイデアの発散段階でこの評価をしてしまうと、誰も面白いアイデアを出さなくなります。

発散と収束のフェーズを明確に分けることが、企画力を育てる上で非常に重要です。まずは「面白いかどうか」「ワクワクするかどうか」を基準にアイデアを広げ、その後に実現可能性を検討するプロセスを確立しましょう。

共通点⑥:アイデアを出す「練習の場」がない

スポーツに例えると分かりやすいですが、試合だけやって練習をしない選手は強くなれません。同じように、企画の練習の場がない会社では、企画力はなかなか育ちません。日常業務の中で「企画を考える練習」ができる場を作ることが、企画力のある組織を育てる第一歩です。

毎週5分だけアイデアを出す時間を設ける、月に一度ミニ企画コンペを開催するなど、負担の少ない形で始めることが長続きのコツです。企画力は日常的なトレーニングで必ず伸びます。

共通点⑦:経営者自身が「答え」を先に言ってしまう

これは意外と多いパターンです。経営者が最初から「こうしたい」「こういうのが欲しい」と言ってしまうと、社員は「では、それを実現する方法を考えるだけ」という状態になります。これは企画ではなく、「作業の指示」です。

企画力を育てたいなら、経営者が問いを立てて、社員に考える余地を与えることが必要です。「何が課題か」「どうすれば解決できるか」を社員自身が考えるプロセスこそが、組織の企画力を本当の意味で育てる道筋です。経営者が「聞く側」に回ることが、組織の企画力を引き出す最初の一手です。

なぜ企画力がない会社が生まれるのか?3つの根本原因

共通点を見てきましたが、では、なぜそういった状態に陥るのでしょうか。根本原因を掘り下げてみましょう。

原因①:「企画力は才能」という思い込みが蔓延している

「うちの社員はクリエイティブじゃないから」「生まれつきアイデアマンじゃないと無理」──そういった思い込みが組織の中に根付いてしまっている場合があります。しかし、これは大きな誤解です。

企画力は、適切な方法と環境があれば、誰でも伸ばすことができます。私がさまざまな大学や企業で講義をしてきた経験から断言できますが、企画力は才能ではなく習得可能なスキルです。「才能がない」と決めつけた瞬間に、成長の可能性を自ら閉じてしまっていることになります。

原因②:仕組みではなく「気合い」に頼っている

「もっと積極的に提案してほしい」「企画力のある人材になってくれ」──こういったメッセージを出すだけで、具体的な仕組みを作らない会社は少なくありません。企画力は「気合い」や「モチベーション」だけで育つものではありません。

アイデアを出す習慣、評価するプロセス、実行に移す仕組み──これらが揃って初めて、組織としての企画力が育ちます。企画力が育たないのは、仕組みがないからです。気合いに頼るのをやめ、仕組みを作ることに注力しましょう。

原因③:短期成果への圧力が強すぎる

目の前の売上や利益に追われ、長期的な視点で新しいことを考える余裕がない。これも企画力がない会社に共通する環境要因です。企画は基本的に「今すぐ成果が出るもの」ではありません。アイデアを出し、検討し、実験し、改善する──このサイクルには時間がかかります。

短期成果への圧力が強い環境では、このサイクルを回す余裕が生まれません。企画力への投資を「コスト」ではなく「未来への種まき」として捉える経営視点が求められます。

ベイブレード5億個の裏側──「企画力は仕組みで育つ」という確信

ここで少し、私自身の体験をお話しさせてください。私は長年おもちゃ開発の現場に携わり、世界累計5億個以上を売り上げたベイブレードや、人気商品の人生銀行、夢見工房などの商品開発に関わってきました。

「自分には企画力がない」と思っていた時期

実は、私自身もかつて「企画力がない」と感じていた時期があります。何を出してもうまくいかない、会議でアイデアを出しても反応が薄い。そんな状況が続き、「自分には企画の才能がないのかもしれない」と思ったこともありました。

しかし、そこで気づいたのは、問題は才能ではなく「方法」と「環境」にあったということです。アイデアを出すための正しいプロセスを学び、実践するうちに、企画力は確実に伸びていきました。この体験が、今の活動の原点になっています。

ベイブレードと人生銀行が生まれた背景

ベイブレードのヒットには、「失敗を恐れずにアイデアを出し続けた現場の文化」が大きく関わっていました。「こんなアイデア、馬鹿げてるかな」と思うようなアイデアこそが、実は世界中の子どもたちを熱狂させる商品の種になったのです。

人生銀行の開発でも、初期の段階では「お金をテーマにした貯金箱なんて売れるの?」という疑問の声がありました。それでも「面白いかどうか」を基準にアイデアを育てていくことで、大ヒット商品が生まれました。企画力とは、ときに周囲の疑問を押し切る「信じる力」でもあります。

企画力は「個人の才能」ではなく「チームの仕組み」

おもちゃ開発の現場で痛感したのは、企画力は個人の才能に依存するものではないということです。チームとして企画を出し合い、磨き合う仕組みが整っていれば、どんな組織でも企画力は育ちます。

企画力は仕組みで育てることができます。これは私が5,000人以上に講義をしてきた中で、繰り返し確認してきた事実です。「うちの会社には企画力がない」とあきらめる前に、まず仕組みを見直すことをお勧めします。

企画力がない会社を変える5つの改善策

では、具体的にどうすれば企画力のある組織に変わることができるのでしょうか。実践的な改善策を5つご紹介します。どれも明日から始められる内容ですので、ぜひ参考にしてみてください。

改善策①:「ばかアイデア会議」を定例化する

まず試してほしいのが、評価なしでアイデアを出す場を作ることです。私は「ばかアイデア会議」と呼んでいますが、要は「実現できるかどうかは一旦無視して、面白そうなアイデアを出しまくる」場です。ルールはシンプルです。他人のアイデアを否定しない。数を出すことを目的にする。品質よりも量を重視する。

このルールを守るだけで、多くの会社でアイデアの量が劇的に増えます。バカなアイデアの中にこそイノベーションの種が眠っています。ベイブレードも、人生銀行も、最初はそんな「バカなアイデア」から始まったのですから。

改善策②:アイデアを「量」で評価するフェーズを設ける

企画力を育てるためには、アイデアの「質」ではなく「量」を評価するフェーズを明確に設けることが重要です。例えば、「1週間で10個のアイデアを出す」という目標を設定する。その際、アイデアの良し悪しは評価しない。ただ量を出すことを奨励する。これだけで、社員のアイデアを出す習慣が大きく変わります。

量を出す練習をすることで、脳のアイデアを生み出す回路が活性化されます。企画力は筋力と同じで、使えば使うほど強くなります。最初は10個が難しくても、続けるうちに30個、50個と出てくるようになります。

改善策③:異業種・異分野のインプットを意図的に増やす

自分の業界の常識だけを知っている人には、その業界を超えた発想は生まれにくいものです。意図的に異業種・異分野のインプットを増やすことが、企画力向上には欠かせません。

具体的には、異業種交流会への参加を奨励する、社外セミナーへの参加費を会社が負担する、異業種の成功事例を社内で共有する勉強会を開く、などが有効です。他の業界の当たり前が、自分の業界のイノベーションになることはよくあります。「これ、うちの業界でもできないか?」という視点が企画力を育てます。

改善策④:小さな提案を実行する「実験文化」を作る

企画力がない会社の多くは、「大きな提案しか評価しない」という雰囲気があります。逆に、小さなアイデアでも実行できる環境を作ることが、企画力向上への近道です。

例えば、低コストで試せる提案は「まず試してみる」を基本方針にする。「失敗しても学びがある」という姿勢を経営者が率先して示す。小さな実験を繰り返す文化が、やがて大きな企画力を育てます。経営者が最初に「バカなことを試してみる」姿を見せることが、最も効果的な組織へのメッセージになります。

改善策⑤:外部の専門家を活用して仕組みを短期間で導入する

自社だけで企画力を育てようとすると、どうしても「自社の常識」の中でしか動けなくなります。外部の専門家を活用することで、自社では気づけなかった問題点が見えてきたり、効果的な仕組みを短期間で導入できたりします。

企画力は仕組みで育てられます。専門的なプログラムを通じて組織全体の企画力を底上げすることは、今や多くの企業が取り組んでいる戦略の一つです。自社内の取り組みと外部の知見を組み合わせることで、より早く、より確実に成果を出すことができます。

アイデア総研について

アイデア総研の研修風景
実際の研修・ワークショップの様子

アイデア総研は、世界累計5億個以上を売り上げたベイブレード、人気商品の人生銀行夢見工房などの開発に携わった大澤が主宰する、企画力・アイデア力育成の専門機関です。

これまでに5,000人以上への講義・研修を実施。大阪公立大学・千葉大学・筑波大学・法政大学などの大学でも講義を行い、学生から経営者まで幅広い層に企画力向上のメソッドをお伝えしてきました。

著書『おもちゃ流企画術』(実業之日本社)では、おもちゃ開発の現場で磨かれた企画の思考法を体系化。「企画力は誰でも育てられる」というメッセージを、具体的な方法論とともにお伝えしています。

研修・ワークショップは、対面・オンライン・ハイブリッドのすべての形式に対応。全国どこでもお伺いでき、1時間の短時間プログラムから6時間の集中プログラムまで、貴社のニーズに合わせてカスタマイズが可能です。

「企画力がない会社をどう変えればいいか」でお悩みの経営者・事業部長の方は、ぜひ一度ご相談ください。

まとめ

いかがでしたか。

企画力がない会社には、共通した特徴とパターンがあることをお伝えしてきました。失敗を責める文化、会議でしかアイデアを求めない環境、前例主義、インプットの少なさ──これらは一朝一夕には変わりませんが、正しい方法と仕組みを導入することで、確実に改善することができます。

最も重要なのは、「企画力は才能ではなく、仕組みで育てられる」という認識を経営者が持つことです。この認識が変わるだけで、組織への関わり方が変わり、社員への働きかけが変わり、やがて組織全体の企画力が変わっていきます。

「うちの会社にも企画力を根付かせたい」と感じていただけたなら、まずは小さな一歩から始めてみてください。アイデアを出す練習の場を作る、失敗を責めない姿勢を示す、そして必要であれば外部の専門家の力を借りる。企画力のある組織への道のりは、一歩一歩の積み重ねです。

企画力のある組織は、必ず変わることができます。「企画力がない」を理由に新しいことを諦めるのではなく、企画力を育てる仕組みを作ることに今日から投資してみてください。その第一歩が、会社の未来を大きく変えます。