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組織の企画力を高める方法|経営者が仕組みで変える5つのアプローチ

こんにちは、アイデア総研の大澤です。

「うちの社員はなかなかアイデアを出してくれない」「企画会議で毎回同じメンバーが発言するだけ」「競合他社に比べて商品の企画力が劣っている気がする」――そんな悩みを抱える経営者・事業部長の方は多いのではないでしょうか。

実は、組織の企画力を高める方法は、特定の「天才社員」を採用することではありません。仕組みを変えることで、組織全体のアイデア創出力を底上げすることが可能です。

私はベイブレード(世界累計5億個)・人生銀行など数多くのヒット商品開発に携わり、その後5,000人以上のビジネスパーソンに企画力とアイデア発想の研修を提供してきました。その経験から、「企画力は個人の才能より組織の仕組みに依存する」という確信を持っています。

この記事では、組織の企画力を高めるための5つのアプローチを、経営者の視点から具体的に解説します。ぜひ参考にしてください。

組織の企画力

組織の企画力とは何か?個人の才能ではなく「仕組み」の問題

まず「組織の企画力」とは何かを整理しておきましょう。企画力とは単に「アイデアを出す力」だけではありません。課題を発見し、解決策を考え、実現可能な形に落とし込み、組織として実行に移す――この一連のプロセスを組織全体でスムーズに行える力のことです。

企画力の定義と組織における役割

企画力は大きく3つの要素で構成されています。「発散力(アイデアを多く出す力)」「収束力(アイデアを選び形にする力)」「実行力(企画を現実に動かす力)」です。

多くの組織で課題になるのは「発散力」です。会議でなかなかアイデアが出ない、出ても同じような発想しか出てこない――この「発散力の弱さ」が、組織全体の企画力の低下につながっています。

一方、「収束力」と「実行力」は多くの日本企業が得意とするところです。出たアイデアを丁寧に磨き上げ、計画を立てて実行することは、比較的うまくできる組織が多い。つまり、組織の企画力を高める上で最も投資すべきは「発散力の強化」なのです。

「企画力がある組織」と「ない組織」の違い

企画力がある組織とない組織の最大の違いは、「アイデアが出やすい空気があるかどうか」です。これは個々の社員の能力の問題ではなく、組織文化と制度の問題です。

企画力がある組織では、「どんなアイデアでも一旦受け止める文化」「アイデアを出すことを評価する仕組み」「失敗を責めない環境」が整っています。反対に、企画力がない組織では「発言すると批判される」「アイデアを出しても握りつぶされる」「失敗すると責任を問われる」というパターンが根付いています。

つまり、組織の企画力を高めるためにまず変えるべきは、制度よりも文化です。文化を変えるためには、経営者・リーダーの姿勢と日常の行動が最も大きな影響を持ちます。

なぜ組織の企画力は自然には高まらないのか

放置していても組織の企画力が自然に高まることは、ほとんどありません。なぜなら、日常業務をこなすことと企画力を磨くことは、全く異なる行動を必要とするからです。

日常業務は「決まったことを正確に早くこなす」ことが求められますが、企画力は「まだ決まっていないことを考え、形にする」ことが求められます。この2つは、使う思考の筋肉が全く違います。意識的にトレーニングしなければ、企画力の筋肉は育ちません。経営者が「仕組み」を用意し、意図的に組織の企画力を育てる必要があるのです。

アプローチ1:心理的安全性を確保する環境づくり

組織の企画力を高めるための最初のアプローチは、「心理的安全性を確保すること」です。心理的安全性とは「発言しても批判されない・失敗しても責められない」という安心感のことで、Googleの研究でも「チームの成果を左右する最大の要因」として挙げられています。

発言を否定しない文化の確立

「そのアイデアは無理だ」「コストがかかりすぎる」「前にも試して失敗した」――こうした否定の言葉が会議で飛び交うとき、そのチームのアイデア創出力は著しく低下します。

否定の言葉を封じるために有効なのが、ブレインストーミングのルールを明示的に設けることです。「この時間は批判なし」「量を優先する」「どんなアイデアも一旦受け入れる」というルールを会議の冒頭に宣言するだけで、発言量は増えます。組織の企画力を高めるためにまず変えるべきは、会議のルールです。

リーダーが率先して「変なアイデア」を出す

上司が真剣な顔で「ちゃんとしたアイデアを出してください」と言うほど、部下はアイデアを出しにくくなります。逆に、上司が率先して「突拍子もないアイデア」を楽しそうに出すと、部下も「このくらいなら言っていいんだ」と感じ、発言しやすくなります。

私が企業研修でワークショップを行うとき、必ず最初に「一番ヘンなアイデア」を出すワークを設けます。「ありえないアイデアを出すことが正解」という雰囲気を最初に作ることで、参加者全員がリラックスして発想できるようになります。リーダーの振る舞いが、チームの発言量を決めると言っても過言ではありません。

「失敗を称える」仕組みを作る

アイデアを形にする過程では、必ず失敗が伴います。失敗を責める組織では、社員はリスクを取らなくなります。逆に、「面白い失敗・挑戦した失敗」を称える文化がある組織では、社員がリスクを取りやすくなります。

「最も失敗から学んだ人を称える表彰制度」「失敗事例を共有する月次の振り返り会議」「失敗してもチームで支え合うことを明示するチームルール」――こうした仕組みが、組織の企画力を継続的に高める文化の基盤を作ります。

アプローチ2:アイデア創出の場を制度化する

「必要なときだけアイデアを考える」では、組織の企画力は育ちません。定期的にアイデアを出す「場」を制度として設けることが、組織全体の発想力を継続的に高める鍵です。

定期的なアイデア会議の設置と運営

月に1回でも「アイデア出しのための会議」を定例化するだけで、組織の企画力は変わります。通常の業務会議とは異なり、「アイデアを出すためだけの時間」を明確に確保することが重要です。

アイデア会議を効果的に運営するポイントは、「テーマを1週間前に共有する」「参加者全員がアイデアを1枚の付箋に書いてから会議に臨む」「ファシリテーターが評価・批判を止める」の3つです。この3つを守るだけで、会議の質は大きく変わります。

異部門横断チームの組成でアイデアの多様性を高める

同じ部門の人ばかりで集まると、発想が同質化してしまいます。組織の企画力を高めるためには、異なる部門・職種・経験を持つメンバーを意図的に混ぜることが重要です。

私がおもちゃ開発に携わっていた頃、最もユニークな商品が生まれたのは、エンジニア・デザイナー・マーケター・子どもの遊びを観察する専門家が一堂に集まったときでした。それぞれの「当たり前」が異なるからこそ、掛け合わせから新しいアイデアが生まれるのです。定期的に「混合チーム」でアイデアを出す場を作ることが、組織全体の発想力を底上げします。

外部の刺激を組織に持ち込む仕組みを作る

同じメンバーで同じ環境にいると、発想はどうしても同質化します。外部の刺激――異業種の講師によるワークショップ・社外見学・展示会参加・異業種交流会――を定期的に組織に取り入れることで、社内では生まれにくい新しい視点がもたらされます。

「外部講師を呼んでのアイデア発想研修」は、こうした「外部刺激」を組織に取り込む最も効率的な方法のひとつです。社内だけでは気づかない思考の盲点を外部の視点で照らし出すことが、組織の企画力を高めるきっかけになります。

アプローチ3:アイデア発想のスキルを研修で底上げする

「なんとなく考えよう」では、組織全体の企画力は高まりません。アイデア発想のための「スキル」を全員が習得することで、組織の企画力は格段に底上げされます。

フレームワークを組織の共通言語にする

ブレインストーミング・SCAMPER法・マンダラート・KJ法・オズボーンのチェックリスト――アイデア発想には多くのフレームワークが存在します。これらをひとつでも「組織の共通言語」にすることが、企画会議の質を高めます。

例えば「今日の会議はSCAMPERでいこう」「まずKJ法でアイデアを整理しよう」という言葉が通じる組織では、企画のプロセスがスムーズに進みます。フレームワークの共有は、個人の企画力を高めると同時に、チームの協働を効率化します。

ワークショップ形式で実践的に学ぶ

知識として「ブレインストーミングのやり方」を学んでも、実践できなければ意味がありません。ワークショップ形式で「実際にアイデアを出す体験」をすることが、スキルの定着に不可欠です。

私がこれまでに提供してきた企画力研修では、「知識のインプット:実践のアウトプット = 3:7」の比率を意識しています。座学より実践を重視することで、研修後すぐに職場で使えるスキルが身につきます。特に、自社の実際のテーマでワークショップを行うことで、研修の学びが日常業務に直結します。

研修後のフォローアップを設計する

研修は「受けて終わり」では効果が持続しません。研修後に学んだフレームワークを実際に職場で使う機会を設け、その結果を振り返るフォローアップの仕組みが重要です。

「研修から1カ月後にアイデア会議を実施して研修の成果を確認する」「学んだフレームワークを使って実際の課題に取り組むアクションプランを研修当日に作る」――こうしたフォローアップ設計が、研修効果を3倍にも5倍にもします。組織の企画力を高めるための研修は、「イベント」ではなく「プロセスの一部」として設計することが重要です。

組織の企画力

アプローチ4:アイデアを評価・採用する仕組みを作る

アイデアを出す場を作っても、出たアイデアが「どこかに消えてしまう」という経験をしている組織は多いです。アイデアが評価され、実際に採用・実行される仕組みがなければ、社員は「どうせ言っても意味がない」と感じてしまいます。

アイデアを蓄積・可視化するツールの導入

出たアイデアを記録・蓄積・共有するツールを導入することで、アイデアが「消えない」仕組みを作ります。社内のコミュニケーションツール(SlackやNotionなど)の専用チャンネル・アイデアボックス・ナレッジ管理ツールなど、組織の規模や文化に合ったツールを選びましょう。

重要なのは「誰でもアイデアを投稿できる」「投稿したアイデアが可視化される」「定期的にアイデアをレビューする機会がある」という3点です。アイデアが見える化されることで、社員の「出してみよう」という意欲が高まります。

アイデア評価の基準とプロセスを明確化する

出たアイデアをどう評価し、どれを採用するかの基準とプロセスが曖昧だと、「声の大きい人の意見が通る」という不公平が生まれます。評価基準を明確にすることで、公平で合理的なアイデア採用が実現します。

評価軸の例として、「インパクトの大きさ(効果)」「実現可能性(コスト・技術・時間)」「戦略との整合性(経営方針との一致度)」の3軸でスコアリングする方法があります。組織の企画力を高めるためには、アイデアを出す仕組みと同時に、評価する仕組みを整備することが不可欠です。

採用されたアイデアの実行と成果を組織全体に共有する

アイデアが採用され、実際に商品・サービス・施策として実現したとき、その成果をアイデアを出したメンバーとともに称え、組織全体で共有することが重要です。「あのアイデアがこんな成果につながった」という事例が積み重なることで、「アイデアを出すことに意味がある」という文化が育まれます。

アプローチ5:企画力を組織に根付かせる継続的な仕組みづくり

単発の取り組みで終わっては、組織の企画力は一時的にしか高まりません。企画力を組織に根付かせるためには、継続的な仕組みづくりが必要です。

企画力を人事評価に組み込む

「アイデアを出すこと」「企画を提案すること」が人事評価の対象になると、社員の行動は確実に変わります。評価されないことに時間と労力を使う人はいません。「アイデアの提案数」「企画の実現率」「新しい取り組みへの貢献度」といった指標を人事評価に組み込むことで、企画力を高めることが組織全員の目標になります。

「企画力ロールモデル」を組織内で育てる

組織の中に「あの人のように企画できるようになりたい」と思われる「企画力ロールモデル」を育て、その人の考え方や行動を組織全体に共有することが重要です。研修・メンタリング・社内勉強会を通じて、企画力に優れた人材を育て、その人を中心に企画力の輪を広げていきましょう。

長期的な視点で組織の企画力を評価し続ける

組織の企画力を高める取り組みは、短期間で成果が出るものではありません。1〜2年のスパンで取り組みを継続し、定期的に「企画力がどう変わったか」を評価することが重要です。

評価指標の例として、「アイデア会議でのアイデア提案数の変化」「新規プロジェクト提案数の変化」「社員のエンゲージメントスコアの変化」などが使いやすいです。数値で見える化することで、経営者・リーダーが取り組みの効果を客観的に判断し、改善を続けることができます。

「企画力の高い組織」になるまでに必要な時間と覚悟

組織の文化を変えることは、決して簡単ではありません。「会議のルールを変えたのに全然アイデアが出ない」「研修をしたのに翌月には元通り」という声をよく聞きます。これは取り組みが間違っているのではなく、「変化に必要な時間が足りていない」ことがほとんどです。

組織の企画力が目に見えて変わるには、最低でも3〜6カ月の継続的な取り組みが必要です。最初の1カ月は環境の変化に社員が戸惑います。2〜3カ月目になると「少しずつ発言しやすくなってきた」という声が出始めます。半年以上継続すると、「アイデアを出すことが普通」という文化が根付いてきます。

経営者・リーダーが「あきらめない」という覚悟を持ち、継続的に投資し続けることが、組織の企画力を本当の意味で高めるための最大の条件です。短期的な成果を求めすぎず、長い目で組織の変化を見守ることが大切です。

企画力向上の取り組みを経営戦略と連動させる

組織の企画力を高める取り組みは、経営戦略と切り離して行うと効果が半減します。「なぜ今、企画力を高めなければならないのか」「企画力が高まることで、どんな経営目標の達成に貢献するのか」を明確にし、社員全員に共有することが重要です。

例えば「3年後に新規事業を立ち上げるために、今から組織の企画力を高める」という文脈で取り組みを展開すると、社員の参加意欲が高まります。企画力向上は「研修部門のイベント」ではなく、「経営の重要課題への投資」として位置づけることが、組織全体を巻き込む鍵です。

組織の企画力

まとめ

いかがでしたか。

組織の企画力を高めるための5つのアプローチをご紹介しました。ポイントをまとめます。

  • アプローチ1(心理的安全性):否定しない文化・リーダーの率先行動・失敗を称える仕組みで、発言しやすい環境を作る。
  • アプローチ2(場の制度化):定期アイデア会議・異部門横断チーム・外部刺激の導入で、アイデアが生まれる「場」を定期的に設ける。
  • アプローチ3(スキルの底上げ):フレームワークの共通言語化・ワークショップ・フォローアップで、全員の企画スキルを向上させる。
  • アプローチ4(評価の仕組み):アイデアの蓄積・評価基準の明確化・採用事例の共有で、アイデアが「活かされる」仕組みを作る。
  • アプローチ5(継続的仕組み):人事評価への組み込み・ロールモデルの育成・長期的な評価継続で、企画力を組織に根付かせる。

組織の企画力を高めることは、一朝一夕では実現しませんが、正しいアプローチを継続することで確実に変わっていきます。まず今日できる一歩として、「明日の会議でブレインストーミングのルールを宣言してみる」「アイデアを投稿できる社内チャンネルを作ってみる」など、小さなことから始めてみてください。

アイデア総研について

アイデア総研の研修風景
実際の研修・ワークショップの様子

アイデア総研は、ベイブレード(世界累計5億個)・人生銀行・夢見工房など、数々のヒット商品を生み出してきた大澤が主宰する、組織の企画力向上とアイデア発想の専門機関です。

大阪公立大学・千葉大学・筑波大学・法政大学での講義をはじめ、企業研修・ワークショップを通じて、これまでに5,000人以上のビジネスパーソンに組織の企画力を高めるノウハウをお伝えしてきました。著書『おもちゃ流企画術』(実業之日本社)も好評発売中です。

「組織全体の企画力を底上げしたい」「社員がアイデアを出せるようになる研修を探している」という経営者・研修担当者の方に向けて、組織の企画力を仕組みから高める研修プログラムを提供しています。対面・オンライン・ハイブリッドに対応しており、全国どこでも、1時間〜6時間まで柔軟にプログラムをご用意しています。

組織の企画力を変えたいと考えている方は、ぜひご相談ください。一緒に「アイデアが生まれる組織」を作りましょう。