研修担当者様へ

【経営者・研修担当者向け】企画力/発想力研修のやりかた

こんにちは、アイデア総研の大澤です。

本記事は企業の経営者の方と人事部門の研修企画担当者の方に向けて作成しております。

経営者の皆様は、自社の売上げ・利益を創出するという共通した目的をお持ちのことと思います。

売上げ・利益創出のカギは一にも二にも人材にありますが、人手不足が叫ばれる現在、優秀な人材を獲得することは容易ではありません。

優秀な新卒は絶対数が少ないため獲得に激しい奪い合いが生じますし、実力のある人材を中途採用するにもコストがかかります。

そうなると、やはりいまいる社員をいかに教育して伸ばすかが会社の成長のポイントになってきます。

人事部門の研修企画担当の方も、いかに社員の成長をサポートする研修を企画するかで頭を悩ましていることでしょう。

近年、ビジネス環境の急速な変化に対応するため、多くの企業が社員教育の見直しを迫られています。DX(デジタルトランスフォーメーション)の波が押し寄せる中、従来の業務スキルだけでは競合他社との差別化が難しくなっているからです。このような時代だからこそ、企画力・発想力を鍛える研修が注目を集めています。

ところで、あなたの会社ではこの一年間でどのような研修を実施しましたでしょうか。ちょっと振り返ってみてください。

企画力/発想力研修をやってみよう

企業向けの研修で主だったものには、次のようなものがあげられます。

  • ビジネスマナー研修
  • コミュニケーション研修
  • リーダーシップ研修
  • チームビルディング研修
  • マネジメント研修
  • プレゼンテーション研修
  • モチベーション研修
  • リスク管理研修
  • ライフワークバランス研修 など

あなたの会社ではこの一年間にどのような研修を実施しましたでしょうか。業種によっては、ここにあげた以外にも業界特有のスキルを学ぶ研修が存在するかもしれません。

これらの研修は業務をスムーズに行うためには有効かもしれませんが、売上げ・利益への直接的な貢献という面ではやや効果が薄いかもしれません。また、競合他社と似たような研修を行っても、はっきりとした差別化は図りにくいかもしれませんね。

ここで重要なのは、研修の「目的」を明確にすることです。単に「社員にスキルを身につけさせたい」という漠然とした目標ではなく、「企画提案件数を年間20%増加させる」「新規事業のアイデアを毎月10件以上創出する」といった具体的な数値目標と結びつけることで、研修の効果が格段に高まります。企画力・発想力研修はまさに、この数値目標に直結しやすい研修といえます。

創造的人材を育てよう

ここであらためて、あなたの会社はどのような人材が必要かを考えてみましょう。

今の時代、ただ指示を待って言われたことを忠実にこなすだけの社員は必要でしょうか。ビジネス環境がかつてないほどにハイスピードで変化するなかで求められるのは、自分の頭で考えて行動できる社員だけです。

このように「既存の仕事のやり方を踏襲するのではなく、現地現物で物事を判断したり、過去の物事を結び付けて新しい仕事を生み出す能力」を持つ社員を創造的人材と呼びます。

あなたの組織には何人の創造的人材がいますでしょうか。ぱっと頭に何人かの優秀な人材が思い浮かぶでしょうが、その割合は全社員の1割に満たない程度ではないでしょうか。

このような創造的人材の割合を高めていくことが、企業の成長にもっとも必要なことといえます。そのためには、その他大勢の社員を教育して創造的人材へと変化させていくことが求められます。

創造的人材を育てる企画力発想力研修

創造的人材が多い組織は、市場の変化に素早く対応し、競合他社にはない独自の価値を生み出し続けることができます。イノベーションで知られる企業の多くは、社員の発想力・企画力を意識的に育てる仕組みを持っています。今こそあなたの会社でも、そのような仕組みを作る第一歩を踏み出してみましょう。

そして、その手段として必要な社員教育が企画力/発想力研修なのです。あなたの会社でも、さっそく今年の社員教育計画に企画力/発想力研修を取り入れてみましょう。

自前かアウトソーシングか

研修を行うにあたり社内の人材に講師をさせて自前で研修を行うか、もしくは社外の研修会社にアウトソーシングするかの選択肢が生じます。これにはそれぞれメリットとデメリットがあります。

自前で行う場合

  • メリット・・・費用がかからない、独自の教育ノウハウが蓄積される
  • デメリット・・・講師の確保が困難、適切なカリキュラムが組めない可能性がある

アウトソーシングする場合

  • メリット・・・実績のある教育ノウハウに基づいたカリキュラムが組める
  • デメリット・・・費用がかかる、自社の課題にフォーカスしきれない可能性がある

本来であれば、ロールモデルとなるべき創造的人材本人が教育を担当するのがベターでしょう。しかしそういった人材はたいていの場合エース格としてバリバリ業務に取り込んでいるため、教育担当としてアサインするには所属部門からの猛反発をくらうかもしれません。また、天才タイプはものごとを当たり前に行ってしまうため、そのやりかたを客観的に整理して伝えることが苦手な場合もあります。

研修費用が確保できる場合はアウトソーシングすることも視野に入れながら、研修計画をたててみてください。

なお、最近では「ハイブリッド型」の研修スタイルも注目されています。外部講師に研修の設計と初回実施を依頼し、その後は社内の担当者が継続して実施するという方法です。初期コストはかかりますが、長期的にみると社内にノウハウが蓄積されるためコスト効率がよくなります。予算と目標に合わせて柔軟に検討してみてください。

企画力/発想力研修の進め方

では早速、自前で研修を行う場合にどのようなカリキュラムを組むのが適切かについて説明したいと思います。アイデア総研ではこれまで数多くの企業研修を実施しておりますが、業種にかかわらず研修の流れは次のようなものとなります。

  • ステップ1 創造力は誰もが持つスキルである
  • ステップ2 アイデアとは組み合わせである
  • ステップ3 たくさんのアイデアを効率よく生みだすためのメソッド
  • ステップ4 企画発想実習
  • ステップ5 プレゼンテーションおよび講評
  • ステップ6 創造力を鍛えるためのヒント

自前で研修を行う場合にも、この流れを踏襲することをおススメいたします。なお、それぞれのステップの名称は適宜変更して問題ありません。では、それぞれのステップについて解説していきましょう。

ステップ1 創造力は誰もが持つスキルである

アイデアマンに挙手する社員

最初のステップでは、アイデアを出すことの苦手意識を取り除くためのレクチャーを行います。まず冒頭に、自分がアイデアマンだと思う人に挙手してもらってください。私の経験上、ここで挙手する人はほぼ皆無だと思います。

そもそも、ほとんどの社員は自分の創造性に自信がないのです。そしてこの研修の最終的なゴールは、アイデアを出すことの苦手意識をなくし、自分もアイデアマンになることができると思わせることにあります。

これ以降のすべてのステップは、自分にもアイデアが出せると実感させるためのワークを順次行います。最初のワークでは、ノートや白紙に一定の時間でできるだけ多くのアイデアを書き出させてみましょう。たとえば「ダンボールの使い方を3分間でできるだけたくさん書いてください」といった課題を出します。

時間を計り、ノートにできるだけたくさんのアイデアを時間内に記入させてください。その結果をみると、30個のアイデアをかける人もいれば5個でギブアップしてしまう人もいるでしょう。この段階ではあまりアイデアを書き出せなかった人は自信をなくしてしまいます。

そこで、もっとも多くのアイデアを出した人のアイデアを、そのままホワイトボードなどに書き出してみてください。

アイデア発想の広げ方

ホワイトボードに書き出してみると、多くのアイデアを出した人はひとつの言葉に関連する言葉をたくさん出しているのがわかります。たとえば、先ほどの「ダンボールの使い方」のテーマの場合、ダンボールで服を作るというアイデアを思いついた段階で、関連する言葉を多く書き出すことができれば飛躍的に多くのアイデアがうまれてくるのがわかります。

この実例を見せてアイデアの数はその人の生まれ持った創造性ではなく、ちょっとしたテクニックで変わってくるという説明を行ってください。つまり、あまり多くのアイデアが出なかった人もコツを知るだけで多くのアイデアを出すことができるということをこの段階で理解させましょう。

もし時間があれば、もうひとつ類似のワークを行うとその成果がよくわかると思います。

この「苦手意識の壁を崩す」というプロセスが、企画力・発想力研修において最も重要なポイントです。多くの社員が「自分には無理」と思い込んでいるだけで、実際には誰もが潜在的な創造力を持っています。最初のステップでこの事実を体感させることが、その後のワークの質を大きく左右します。

ステップ2 アイデアとは組み合わせである

次のステップでは、アイデアとは何かについてのレクチャーを行いましょう。たいていの受講者は、アイデアとは天才的なひらめきであるという間違ったイメージを持っています。アイデアマンはそのすばらしいひらめきを得ることができる人間で、常人である自分にはその資質は無いと誤解しているのです。

ここでぜひ伝えていただきたいのは「アイデアとは既存の要素の組み合わせである」という大原則です。

この原則は、広告業界の名著「アイデアのつくり方」(ジェームス・W・ヤング著)の中で提唱されたものです。スマートフォンは「電話」+「インターネット」+「カメラ」の組み合わせ、コンビニのコーヒーサービスは「自販機」+「カフェ品質」の組み合わせです。このように世の中のヒット商品・サービスの多くは、既存のものを新しい形で組み合わせることで生まれています。この事例を複数紹介しながら、組み合わせによってアイデアが生まれるというイメージを持たせましょう。

この原則を理解することで、ひらめきを待つことなく機械的にアイデアを生み出すことが可能であるということをしっかりと伝えましょう。受講者が「自分にも組み合わせを考えることはできる」と実感することで、創造性への扉が大きく開かれます。

「アイデアのつくり方」は薄くて読みやすい本ですので、予算が許せば参加者全員に一冊ずつ配って後日感想文を提出させるのもよいでしょう。

ステップ3 たくさんのアイデアを効率よく出すためのメソッド

次のステップでは、ステップ2で紹介した「既存の要素の組み合わせ」を効率よく生み出すためのメソッドの紹介をしましょう。具体的には

  • マンダラート
  • 2×2マトリクス法
  • オズボーンのチェックリスト
  • エクスカーション

あたりがよいでしょう。各メソッドの概要をご紹介します。

マンダラートは、中心に書いたテーマから8つの関連キーワードを広げ、さらにそれぞれを8方向に展開する発想ツールです。野球の大谷翔平選手が高校時代に目標設定で使ったことで知られており、視覚的にアイデアを整理しやすく初心者でもすぐに取り組めます。

2×2マトリクス法は、2つの軸を設定してマトリクスを作り、4つの象限のそれぞれにアイデアを当てはめるメソッドです。「コスト×効果」「短期×長期」など、軸の設定次第で多様な視点からアイデアを引き出すことができます。

オズボーンのチェックリストは、「転用・応用・変更・拡大・縮小・代用・置換・逆転・結合」という9つの視点でアイデアを発想するメソッドです。各視点から機械的に発想を広げられるため、行き詰まったときに特に有効です。

エクスカーションは、まったく関係ないテーマや世界からヒントを得てアイデアに応用する「類推思考」のメソッドです。「宇宙から学ぶ」「自然から学ぶ」といったアプローチで、ユニークな発想を引き出すことができます。

メソッドの紹介にあたっては、実際にやり方を説明してワーク形式で実施させてください。いくつのワークを行うのかは、研修のスケジュールにあわせて設定しましょう。またワークはやりっぱなしではなく、ワークの後に4~6人程度のグループ内で共有するようにすると理解が深まります。

この段階で参加者全員が「これなら自分にもできるかも」と思わせれば成功です。なおワーク(アイデア出し)のテーマには、あなたの会社での実務に沿ったものを選定するとより効果的です。あわせてご検討ください。

ステップ4 企画発想実習

ブレインストーミングで企画を発想する

次のステップでは、ステップ3で得られたアイデアをもとに、4~6人程度のグループごとに1つのアイデアをまとめさせてください。ここで使用するメソッドはブレインストーミング(ブレスト)です。

ブレストを行う際には以下のルールを必ず守るよう指導してください。

  • 批判・否定をしない・・・他者のアイデアを批判すると参加者は発言を控えるようになり、ブレストが形骸化してしまいます
  • 質より量を重視する・・・良いアイデアかどうかは後で評価します。この段階では数を出すことを優先します
  • 他者のアイデアに乗っかる・・・他の人のアイデアをヒントに新しいアイデアを出すことを奨励してください
  • 自由奔放に発想する・・・突拍子もないアイデアこそ歓迎します。現実的かどうかは後で考えましょう

ブレストは実務の中でもっとも用いる頻度の高いメソッドですので、この機会に正しいやり方を教え込むとよいでしょう。ステップ3までの内容をしっかり理解していれば、どのグループも密度の高いブレストができると思います。

全体のスケジュールを見ながら、何時までにアイデアをまとめればよいかをきちんと指示するようにしましょう。また研修の担当者はグループを巡回しながら、全員がアイデア出しに参加できるようにうまく促してください。

ステップ5 プレゼンテーションおよび講評

グループごとにアイデアをプレゼンする

このステップでは、各グループごとにブレストで得られたアイデアをプレゼンしてもらいましょう。プレゼンの形式はホワイトボードを用いてもPowerpointやKeynoteを用いてもかまいません。ここではプレゼンの巧拙はあまり問題にしなくて結構です。

どのグループも所定の時間の間にユニークなアイデアを出すことができたという結果を得ることが一番のポイントとなります。

プレゼン後には他のチームからの質問を受け付けるなどの時間を設けるとよいでしょう。全チームのプレゼン後には簡単な講評を行いましょう。その際は決して出されたアイデアを否定することなく、発想の多様性やプロセスを評価するようにしてください。

講評では、各グループの発想のユニークさや、チーム全員が発言できていたプロセスを具体的にほめてあげることが大切です。「このアイデアは○○の視点から面白い」「全員が積極的に参加できていた」など、肯定的なフィードバックを心がけましょう。評価されることへの喜びが、日常業務でのアイデア発信意欲につながります。

ステップ6 創造力を鍛えるためのヒント

ここまでのステップが正しく行われていれば、参加者は自身の創造性に自信が持てるようになっているはずです。ただし、このまま終わってしまってはせっかく高めた創造性を身に付けさせることはできません。

創造性とは一朝一夕に身に付くものではなく、継続したトレーニングによってのみ身に付くものなのです。つまり、研修はあくまできっかけにすぎず、ここで身に付いたやりかたを業務の中で継続して行うことが肝心なのです。

自身の創造性に自信が持てるようになっていれば、きっとその能力を伸ばしたいと思う参加者がいるはずです。そういう参加者がその後も継続してアイデア出しのトレーニングを行うことで、2年後・3年後に創造的人材に育つことでしょう。

研修後の継続トレーニングとして効果的なのが「毎朝10分のアイデアノート」です。その日気になったニュースや出来事を起点に、10個のアイデアを書き出す習慣をつけることで、発想力は格段に伸びていきます。最初は難しく感じても、続けることで「アイデアを出す筋肉」が鍛えられていきます。

また、部署内に「アイデア発表の場」を定期的に設けることも有効です。月に一回、5分程度のアイデア共有タイムを設けるだけでも、社員の発想力維持に大きく貢献します。研修で学んだメソッドを日常業務に組み込む仕組みを作ることが、継続的な創造的人材育成のカギです。

残念ながら参加者全員を創造的人材に育てるのは難しいことかもしれません。しかし、ここであげたステップの研修を行うことで必ず一定の成果をあげることができるはずです。ぜひ毎年継続して企画力/発想力研修を実施し、社内の創造的人材の割合を増やしていきましょう。

まとめ

いかがでしたか。

企画力・発想力研修は、社員の創造性を組織的に高めるための最も効果的なアプローチのひとつです。今回ご紹介した6つのステップ――苦手意識の払拭、アイデアの本質理解、発想メソッドの習得、ブレインストーミング実習、プレゼンと講評、そして継続トレーニングのヒント――を踏まえたカリキュラムを作成することで、参加者は研修後も自走して発想力を伸ばし続けることができます。

このステップにしたがったカリキュラムを作成した場合、最低3時間・できれば半日~終日の時間の確保が必要となります。社内の各部門との調整も含めて、さっそく研修計画をたててみてください。

なおアイデア総研では企業向けの研修・ワークショップを行っておりますので、研修のアウトソーシングをお考えの際にはお気軽にご相談ください。くわしくは『ワークショップ・研修担当者の方へ』をご参照いただければと思います。

あなたの会社に創造的人材があふれることをお祈りしております。