研修担当者様へ

タックマンモデルとは|チームの成長4段階と実践的な活用法

こんにちは、アイデア総研の大澤です。

「チームがなかなかまとまらない」「新しいメンバーが加わるたびにギクシャクする」「プロジェクト序盤はいつも混乱する」——こうしたチームの悩みは、実は多くの組織で共通しています。タックマンモデルとは、チームが成長していく4つの段階を示した理論であり、この理論を知るだけでチームの現状を客観的に理解し、適切なアクションが取れるようになります。

本記事では、タックマンモデルの各ステージの特徴と現象、リーダーや研修担当者がとるべき行動、そして実際の職場での活用法まで詳しく解説します。チームマネジメントに携わるすべての方に読んでいただきたい内容です。

タックマンモデルとはのイメージ

タックマンモデルとは何か?

タックマンモデルの誕生と背景

タックマンモデルとは、1965年に心理学者ブルース・タックマンが発表した「チームの発達段階モデル」です。タックマンは多くの小集団の研究を分析し、チームはほぼ例外なく「形成期→混乱期→規範期→遂行期」の4段階を経て成熟すると結論づけました。後に5番目の段階「解散期」も追加されています。

このモデルが画期的だったのは、「チームの混乱は自然なプロセスである」という視点を提供した点です。チームが揉めたり停滞したりすることは失敗ではなく、成長の通過点である——そのことを理論的に示したタックマンモデルは、チームマネジメントの教科書として世界中で活用されています。

タックマンモデルはシンプルでわかりやすく、研修・ワークショップ・チームビルディングの場面でも即活用できます。「今うちのチームはどの段階にいるか?」を問うだけで、チームの現状認識と次のアクションが明確になります。特に新任のマネジャーやリーダーにとって、このモデルは「チームが混乱していても焦らなくてよい」という心強い支えになります。

タックマンモデルが重要な理由

チームの成長段階を理解していないと、混乱期(Storming)の激しい対立を見て「このチームはダメだ」と早合点したり、規範期(Norming)の安定を遂行期(Performing)と誤解して満足してしまったりすることがあります。

タックマンモデルを知ることで、チームの状態を感情的にではなく客観的に判断できるようになります。「今は混乱期だから、ファシリテーターとして介入しよう」「規範期に入ったから、より挑戦的な目標を設定しよう」——こうした戦略的なチームマネジメントが可能になります。リーダーが「今どこにいるか」を把握しているだけで、チームへの関わり方の質が大きく変わります。

タックマンモデルはどんな場面で使えるか

タックマンモデルはチームビルディング研修・新プロジェクト立ち上げ・組織変更後のチーム再編・新入社員受け入れ——様々な場面で活用できます。特に、「チームが今どの段階にあるか」を全員で共有することが、メンバーの相互理解と心理的安全性を高める上で非常に有効です。「混乱期だから対立が起きやすいのは当然」という共通認識があるだけで、不必要な摩擦が減ります。また、組織の統廃合・チームの解散と再編成・リーダー交代など、変化の多い組織環境でこそタックマンモデルは力を発揮します。

タックマンモデルの4つの段階

第1段階:形成期(Forming)

形成期は、チームが結成されたばかりの段階です。メンバーはお互いをよく知らず、遠慮や礼儀が先行します。「何をすべきか」「自分の役割は何か」が不明確で、リーダーへの依存度が高い時期です。表面上は友好的ですが、本音を言い合える関係にはまだなっていません。

形成期に起きやすいこととして、各自が様子をうかがっている・目標や役割分担が曖昧なまま進む・会議での発言量が少ない、といったことが挙げられます。形成期のリーダーの役割は、明確な目標設定・役割の定義・心理的安全性の土台づくりです。早い段階でチームの存在意義とルールを共有することが、その後の成長を加速させます。

チームビルディングのアクティビティやアイスブレイクが有効なのもこの段階です。メンバー同士が「人となり」を知ることで、次の段階への移行がスムーズになります。「なぜこのチームが存在するのか」「何を目指すのか」というビジョンと目的の共有が、形成期を早期に乗り越える鍵です。

第2段階:混乱期(Storming)

混乱期は、タックマンモデルの中で最も難しく、最も重要な段階です。メンバー同士の違いが表面化し、意見の対立・役割をめぐる葛藤・リーダーへの不満などが噴き出します。「このチームは機能しないのでは」という不安や「あの人とは合わない」という感情が生まれやすい時期です。生産性が一時的に下がることも珍しくありません。

しかし、混乱期を乗り越えることこそが、チームを真の意味で成長させる最大の機会です。対立を回避せず、建設的に対話することで、メンバー間の相互理解が深まり、チームとしての独自の規範が育まれます。混乱期を経ていないチームは、表面的な協調の下に潜在的な対立を抱えたまま進むことになります。

混乱期のリーダーの役割は、対立を収めるのではなく「健全な対話の場を整える」ことです。意見の違いを「問題」ではなく「多様性の表れ」として位置づけ、全員の意見が聞かれる場をつくることが鍵です。チーム成長段階においてこの混乱期を安全に通過できるかどうかが、チームの将来を左右します。

第3段階:規範期(Norming)

規範期は、混乱期を乗り越えたチームが「チームとしての決まりごと・やり方」を確立していく段階です。メンバー間の信頼が高まり、役割分担が明確になり、共通のルールや文化が生まれます。チームの雰囲気が安定し、協力関係が自然と深まります。

規範期の特徴として、コミュニケーションが活発になる・フィードバックが建設的に行われる・「チームとしてのやり方」が共有される、といったことが挙げられます。タックマンモデルにおける規範期は、チームが本来の力を発揮する準備が整う段階です。この段階では、個人プレーより協力作業が増え、チーム全体の成果が意識されるようになります。

リーダーはこの段階で、メンバーへの権限委譲を少しずつ進め、チームの自律性を高める働きかけをすることが大切です。規範期を「ゴール」と錯覚して現状維持に甘んじると、次の遂行期への移行が遅れます。チームの成長段階を意識し、より高い目標に向けてチャレンジを促すことがリーダーの役割です。

第4段階:遂行期(Performing)

遂行期は、チームが高いパフォーマンスを発揮する成熟した段階です。メンバーが自律的に動き、相互補完し合い、リーダーの指示なしにも課題を発見・解決できます。タックマンモデルが目指す「理想のチーム」の姿がここにあります。

遂行期のチームは、目標達成への強い意志と柔軟な適応力を兼ね備えています。困難な課題にも前向きに取り組み、失敗を学習の機会として活かせる文化が根づいています。リーダーはこの段階でサーバントリーダーシップ的な役割を担い、チームの障壁を取り除くことに専念します。

ただし、遂行期は「永続的な状態」ではありません。新しいメンバーの加入・組織再編・大きな変化があると、チームは形成期や混乱期に戻ることがあります。タックマンモデルを継続的に活用し、チームの成長段階を定期的に確認する習慣が、持続的な高パフォーマンスを実現します。

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タックマンモデルを職場で活用する方法

チームの現在地を診断する

タックマンモデルを活用する第一歩は、「今のチームはどの段階か?」を診断することです。簡単なチェックリストで確認できます。形成期:メンバーがお互いを深く知らない、役割が不明確。混乱期:意見の対立が多い、リーダーへの不満がある。規範期:共通のやり方が確立されてきた、協力関係が増えた。遂行期:自律的に動き、高い成果を継続的に出している。

この診断をチーム全員でワークショップ形式で行うことで、現状認識の共有と対話が促進されます。自分では混乱期と感じているのに、他のメンバーは規範期と思っているという「認識のズレ」を発見できることも大きな価値です。チームの現在地を言語化するだけで、多くの問題が自然と整理されていきます。

段階ごとの具体的な施策

形成期:チームビルディングアクティビティ・役割定義ワーク・ビジョン共有セッション。混乱期:建設的対話のファシリテーション・1on1の実施・ルール設定ワーク。規範期:権限委譲・チャレンジングな目標設定・ナレッジ共有の仕組みづくり。遂行期:イノベーション促進・メンバーの成長機会提供・次世代リーダーの育成。

タックマンモデルはチームの成長段階ごとに求められるリーダーシップスタイルが異なります。形成期は指示型、混乱期はコーチング型、規範期は支援型、遂行期は委任型——SL理論との組み合わせで、より精度の高いチームマネジメントが可能になります。この組み合わせを意識することで、リーダーとしての行動選択に迷いがなくなります。

研修での活用法

タックマンモデルは研修コンテンツとしても非常に活用しやすいフレームワークです。チーム演習の振り返りにタックマンモデルを使うことで、「なぜあの場面で対立が起きたか」「なぜチームがまとまれなかったか」を理論的に分析できます。

私がベイブレードを開発した経験を振り返ると、開発チームはまさにタックマンモデルの各段階を経ていたと感じます。「すげゴマ」の失敗後、チーム内で方向性をめぐる激しい議論(混乱期)があり、「バトルできる・改造できる」という共通のビジョンが固まったとき(規範期)、そこから一気に「ベイブレード」という形が生まれました(遂行期)。タックマンモデルはどんなチームでも経験するプロセスを言語化したものだと実感しています。研修でこうした実例を紹介することで、参加者の腑に落ち方が大きく変わります。

タックマンモデルを使う上での注意点

段階は直線的ではない

タックマンモデルは「形成期→混乱期→規範期→遂行期」という順番を示していますが、実際のチームは必ずしもこの通りに進みません。新しいメンバーが加わる・リーダーが交代する・プロジェクトが大きく変わる——こうした変化でチームは前の段階に戻ることがあります。

「後退しても失敗ではない」という認識がリーダーに求められます。タックマンモデルはチームの状態を判断するための「地図」であり、その地図を使って今どこにいるかを確認し、次の行動を決めるためのツールです。「戻った」と気づいたら、その段階に合った関わり方に素早く切り替えることが重要です。

モデルを固定的に使わない

タックマンモデルはすべての文化・業種・規模のチームに完全に当てはまるわけではありません。チームの個性や状況によって、各段階の現れ方は異なります。モデルをあくまで「仮説の道具」として使い、現実のチームの観察と組み合わせることが重要です。モデルが先行して、実際のチームの状態を見落とすことのないよう注意しましょう。

また、遂行期に達したからといって、チームへの投資を止めてはいけません。優れたチームは、遂行期においても継続的に学び合い、互いを高め合うことで、さらなる高みを目指し続けます。タックマンモデルはチームの成長の「最終地点」ではなく「継続的な旅の地図」として活用しましょう。

解散期(Adjourning)も大切に

プロジェクトの終了やチームの解散に伴う「解散期」も、タックマンモデルの重要な段階です。達成した成果を振り返り、学びを次に活かし、メンバーへの感謝を伝える——解散期を丁寧に過ごすことが、メンバーの次の挑戦への意欲と、組織全体の知識継承につながります。プロジェクト終了後の振り返り会(レトロスペクティブ)は、この解散期を充実させるための重要な場です。次のチームへの良い出発点を生み出すためにも、解散期を軽視しないことが大切です。

タックマンモデルとチームビルディング研修の組み合わせ

研修プログラムへの組み込み方

タックマンモデルをチームビルディング研修に組み込む際は、まず理論を学んでから実際のチーム演習を行い、演習後の振り返りでモデルを活用するという流れが効果的です。「さっきのグループワーク、タックマンモデルのどの段階にいましたか?」という問いかけが、参加者の深い気づきを引き出します。

また、タックマンモデルを使った「チーム診断ワーク」は特に人気があります。各メンバーがそれぞれ「今のチームはどの段階か」を投票し、結果を比較することで、認識のズレが可視化されます。このズレ自体が重要な対話のきっかけとなり、チームの相互理解を深める貴重な機会になります。

1on1でタックマンモデルを活用する

タックマンモデルは1on1ミーティングでも活用できます。「今のチームはどの段階にいると思う?」と問いかけることで、メンバーの視点や感じている課題を引き出すことができます。混乱期にいると感じているメンバーには「何が一番大変?」と掘り下げ、規範期にいると感じているメンバーには「次のチャレンジはどんなことがしたい?」と未来志向の対話ができます。

タックマンモデルという共通言語を持つことで、チームの状態について率直に話し合える関係性が育まれます。「うちのチーム、まだ混乱期だよね」という一言で状況が共有できるようになれば、チームのコミュニケーション効率は大幅に向上します。

チームの成長段階を「見える化」する仕組み

タックマンモデルを継続的に活用するためには、チームの成長段階を定期的に可視化する仕組みをつくることが重要です。週次・月次のチーム振り返りの中に「今どの段階か?」という問いを設けるだけで、チームの状態変化を追跡できます。

スクラム開発で使われるスプリントレトロスペクティブや、プロジェクト終了後のKPTなど、既存の振り返りの仕組みにタックマンモデルの視点を加えることも効果的です。チームの成長段階を「見える化」することが、組織全体のチームマネジメント能力を底上げする最も実践的な方法のひとつです。

さらに、タックマンモデルをHRデータと組み合わせることで、組織全体のチーム健全性を俯瞰的に把握することも可能です。エンゲージメントサーベイの結果や離職率の変化をタックマンモデルの段階と照合することで、「混乱期にある部署はエンゲージメントが下がりやすい」「規範期を経たチームは離職率が低い」といった組織固有の傾向が見えてきます。こうしたデータドリブンなアプローチと、タックマンモデルという定性的なフレームワークを組み合わせることで、研修担当者はより説得力ある提言を経営層に伝えることができます。

また、タックマンモデルはチームだけでなく、個人の成長プロセスにも応用できます。新しいスキルを習得するときや新しい役割に挑戦するとき、私たちは「形成期(まだよくわからない)→混乱期(うまくいかない)→規範期(コツがつかめてきた)→遂行期(自信を持ってできる)」という段階を経ます。タックマンモデルを個人の成長支援ツールとして活用することで、メンバーへのコーチングやキャリア支援の質が高まります

タックマンモデルを職場全体で共通言語として定着させるためには、まずリーダー層への教育から始めることが効果的です。マネジャー研修にタックマンモデルを組み込み、全員が同じフレームワークを使えるようになることで、部門を超えたチームマネジメントの連携が生まれます。組織全体でタックマンモデルを活用する文化をつくることが、持続的な組織力向上につながります

チームの成長段階を正確に把握し、適切なサポートを提供し続けること——これがタックマンモデルを使いこなすリーダーの真骨頂です。

タックマンモデルとはのイメージ

まとめ

いかがでしたか。タックマンモデルとは、チームが形成期・混乱期・規範期・遂行期という4つの成長段階を経て発展していくプロセスを示した理論です。このモデルを知ることで、チームの混乱を「失敗」ではなく「成長の通過点」として前向きにとらえられるようになります。

チームの成長段階を定期的に確認し、段階に応じたリーダーシップとファシリテーションを実践することが、高パフォーマンスなチームをつくるための最短ルートです。ぜひタックマンモデルを日々のチームマネジメントに取り入れてみてください。チームの「今」を知ることが、チームの「未来」を変える第一歩です。

アイデア総研について

アイデア総研の研修風景
実際の研修・ワークショップの様子

アイデア総研は、チームビルディング・リーダーシップ研修・組織開発など、現場ですぐに活かせる体験型の研修プログラムを提供しています。代表の大澤は、ベイブレード(世界累計5億個)・人生銀行・夢見工房の開発者として知られ、これまで5,000人以上への講義実績を持ちます。大阪公立大学・千葉大学・筑波大学・法政大学でも講義を担当し、著書『おもちゃ流企画術』(実業之日本社)も好評発売中です。対面・オンライン・ハイブリッドに対応し、全国どこでも1時間〜6時間のプログラムをご用意しています。チームの成長段階に関するご相談はお気軽にどうぞ。