アイデア発想の記事

今すぐ覚えよう!アイデアの出し方のたった2つのプロセス

こんにちは、アイデア総研の大澤です。

「企画を考えてください」と突然言われたとき、頭の中が真っ白になった経験はありませんか? 会議室でうなり続けること30分。気づけばコーヒーが3杯目。そんな経験、サラリーマンなら一度はあるはずです。

そういうとき、つい「自分にはアイデアを出す才能がないんだ…」と落ち込んでしまいがちですよね。でも安心してください。

優れたアイデアを生み出すために、天才的なセンスは必要ありません。

アイデアの出し方には「プロセス」があり、そのプロセスを理解することで、誰でも良いアイデアを生み出せるようになります。


アイデアの出し方は、大きく“発散”“収束”という2つのプロセスに分かれます。

この2つのプロセスの違いを正しく理解し、意識的に使い分けることが、アイデア発想において非常に重要です。

なぜ重要なのか? 順を追って説明していきましょう。

発散と収束

人間の思考における発散と収束は、アメリカの心理学者ジョイ・ギルフォード(Joy Paul Guilford、1897年〜1983年)が提唱した概念です。
(Wikipediaでは収束的思考拡散的思考と訳されています)
以下、引用させていただきます。

収束的思考、そして拡散的思考とはアメリカの心理学者ジョイ・ギルフォードが提唱した概念である。
人間の思考について研究を行ったギルフォードによれば、人間の思考には2つの側面があるとしている。1つは既知の情報から論理的に思考や推論を進めていき、唯一の正解に正しくそして早く到達するための収束的思考、もう1つは既知の情報から様々に考えを拡散させ(めぐらせ)、新たな物を生み出していく拡散的思考である。

引用元:Wikipedia

アイデア発想だけでなく、人間の思考全般に関わる概念ですが、企画を考えるうえで非常に重要な考え方です。

普段の生活では、この2つのプロセスを無意識に使い分けています。しかしアイデア発想においては、意識的に使い分けることが必要です。

「意識的に」というところがポイントです。意識しないと、人間は自然とこの2つのプロセスをごちゃまぜにしてしまいます。これが、アイデアが出ない最大の原因のひとつなのです。

アイデアの発散

アイデアの発散とは、さまざまな情報をもとに考えをめぐらせて、新しいアイデアを生み出す過程のことです。

このプロセスでは、自由な発想でどんどん考えを膨らませ、とにかく多くのアイデアを生み出すことを目的とします。良いアイデアかどうかの評価は、この段階では一切不要です。

アイデアの発散は、インプットしている情報をもとに行います。そのため、まずは多くの情報をインプットしていくことが大切です。

重要なのは、「テーマに直接関係する情報だけ集めればいい」というわけではないという点です。一見関係なさそうな分野の情報が、思いがけずアイデアのヒントになることは非常によくあります。

情報収集の具体的なコツについては、『企画アイデアを出すための情報収集10のコツ』で詳しく解説しています。ぜひあわせてご確認ください。

集めた情報を組み合わせて新しい視点を生み出すことで、アイデアが生まれます。このプロセスでは「質より量」が鉄則です。

アイデアの発散技法としては、ブレインストーミング(ブレスト)が最も有名です。詳しくは『本当に使えるアイデアを出すためのブレインストーミングの進め方』をご覧ください。

発散を妨げる「評価」の罠

発散のプロセスでよくある失敗が、アイデアを出しながら同時に「これは予算オーバーだな」「上司にウケなさそうだな」と評価してしまうことです。

これをやると自分の思考にブレーキをかけることになり、斬新なアイデアは生まれません。サラリーマン的に言えば、「怒られそうなアイデアを自主規制してしまう」状態です。

発散の段階では、思いついたことはとにかく全部出す。突拍子もないアイデアほど大歓迎です。その理由は、あとのセクションで具体的なエピソードとともに説明します。

アイデアの収束

発散のプロセスで大量のアイデアが出そろったら、次はそれらを整理する段階です。これがアイデアの収束のプロセスです。

多くのアイデアの中から似たものをグルーピングしたり、評価・得点化をしたり、ストーリー化したりしながら、徐々に“企画案”としてまとめていきます。

アイデアの収束技法として代表的なものには以下があります。

  • KJ法:カードに書いたアイデアをグループ化し、関連性を整理する方法。文化人類学者の川喜田二郎氏が考案しました。企画の整理整頓にとても役立ちます。
  • 親和図法:KJ法に近い手法で、アイデアや情報を「親和性(似ている・関連している)」でまとめていきます。
  • クロス法:複数の要素を掛け合わせて、新しい組み合わせを発見する手法です。
  • PMI法:アイデアのPlus(良い点)・Minus(悪い点)・Interesting(興味深い点)を整理して評価する手法です。

これらの技法を使ってアイデアを収束させることで、バラバラだったアイデアに論理的な意味づけができ、構造化されます。最終的には企画書やプレゼンテーションとしてアウトプットできる状態になります。

「発散」は料理でいえば食材を集める工程、「収束」はその食材を調理して一皿に仕上げる工程、と考えるとイメージしやすいかもしれません。どちらが欠けても、おいしい料理は完成しません。

発散と収束の使い分け

新しいアイデアを生み出すプロセスが“アイデアの発散”、アイデアを企画案として完成させるプロセスが“アイデアの収束”です。

この2つのプロセスは、最終的に新しい商品・サービス・施策を生み出すためにどちらも欠かせないものです。

発散がなければアイデアは生まれません。収束がなければ企画案はまとまりません。そして重要なのは、この2つのプロセスは本来の目的が180度異なるという点です。

発散のゴールは「アイデアの量を最大化すること」、収束のゴールは「アイデアを絞り込んで質の高い企画案を作ること」。目的が真逆なので、同時並行でやろうとするとどちらも中途半端になってしまいます。

ひとりでアイデアを考える場合でも、チームでアイデア会議をする場合でも、「今は発散のプロセス」「今は収束のプロセス」を常に意識することが非常に重要です。

では、この使い分けを意識しないと、どんなことが起きるのでしょうか? 具体例で見てみましょう。

発散と収束を使い分けないと?

突然ですが、過疎化が進む田舎の村・山奥村の話をさせてください。

山奥村の町内会で、今年の村祭りのメインの出し物についての話し合いが始まりました。議長のシゲさんがまとめ役です。

シゲさんが「遠くのほうからも若いモンが大勢やってくるような、トレンディでオシャレなアイデアはないか?」と問いかけると、ヤマさんが「テレビのワイドショーで見た外国のセレブ、えーっと…レディ・ガガって人に村祭りで一曲歌ってもらうのはどうだ? 若者が大勢押し寄せてたぞ」と提案しました。

すると議長のシゲさんは間髪入れずに「バカこくでねぇ!外国からセレブを呼ぶ金がどこにあるんだ!却下!大事な会議なんだから真面目に考えてくれ!」とヤマさんのアイデアを一蹴しました。

ヤマさんはしょんぼりしてしまいました。

こうして、ヤマさんの“村祭りにレディ・ガガを呼ぶ”というアイデアは即座に却下されてしまいました。

たしかに現実的に考えれば、このアイデアを実行するのはほぼ不可能です。予算的にも、交渉的にも。しかし、実現性の低いアイデアをその場で切り捨ててしまって、本当によいのでしょうか?

プロセスの違いを意識すると・・・

アイデアの発散プロセスでは、一切の絞り込みを行わずにアイデアをたくさん出すことだけに集中することが重要です。

では先ほどの山奥村の会議を、発散のプロセスを意識して進め直してみましょう。

シゲさんが「さっきヤマさんから”レディ・ガガを呼ぶ”というアイデアが出たけど、ほかに何かないか?」と続けて問いかけました。

サブちゃんが「レディ・ガガはよくわからんけど、マイケル・ジャクソンなら好きだぞ。田植えのときにいつも聞いてんだ。フーズ・バッド!ってなもんだ」と言い出しました。チョーさんも「おれ、ムーン・ウォークができるんだよ!見てくれ、スイスイスイ〜(ドヤ顔)」と嬉しそうに披露します。

マイケル・ジャクソンのイメージ

それを見ていたヤマさんが「マイケル本人は呼べないけど、マイケル・ジャクソンのモノマネ大会をやるのはどうだ?」と提案。サブちゃんも「広場にでっかいステージを作って、衣装も自前で用意したら盛り上がるんじゃないか」と乗り気になりました。

最終的にシゲさんも「それなら予算的にも何とかなりそうだし、その方向でやってみるべか」とまとめました。

その後、YouTubeでの告知やモノマネタレントへの出演交渉などのアイデアも次々と出て、村祭りは大成功を収めたそうです。

「レディ・ガガを呼ぶ」という実現不可能に見えたアイデアが、新たなアイデアの“ヒント”となり、最終的に良い企画案へとまとまりました。これこそが、発散と収束のプロセスを分けなければならない大きな理由です。

発散と収束を分けて考えるべき理由

あらゆるアイデアは、生まれたての段階では非常に未完成な存在です。そのままでは企画案として実行に移すことは難しいでしょう。

ですが、未完成なアイデアを最初の段階で評価して切り捨ててしまうと、将来的に大きなアイデアに育つ可能性のある芽を摘むことになります。

その結果、手元に残るのは「実現可能だが面白くないアイデア」ばかり、という悲しい状況になりかねません。社内の企画会議あるあるではないでしょうか(笑)。

もちろん、未完成なアイデアの大半は使われずに終わります。しかし、何十・何百というアイデアの中には、必ずダイヤの原石が混じっています。

その原石を捨ててしまわないためにも、”アイデアの発散”と”アイデアの収束”の2つのプロセスを分けて考えることが重要なのです。

会議でのよくある失敗パターン

職場のアイデア会議でよく起きる失敗として、以下のようなパターンがあります。心当たりのある方も多いのではないでしょうか。

  • 誰かが発言するたびに批評・批判が入る:発言者が萎縮し、アイデアが出なくなる
  • リアリティのないアイデアが即座に却下される:山奥村のシゲさん状態
  • 最初から”使えそうなアイデア”しか出さない:自己検閲で可能性が狭まる
  • 発散と収束を同時にやろうとする:どちらも中途半端になる

これらはすべて、発散と収束を混同することで起きる失敗です。逆に言えば、この2つを意識的に分けるだけで、アイデア会議の質は劇的に変わります。

ブレインストーミングの「4つの原則」との関係

有名なブレインストーミングには4つの原則があります。

  1. 批判厳禁:他者のアイデアを批判しない
  2. 自由奔放:どんな突拍子もないアイデアも歓迎
  3. 量を重視:質より量を優先する
  4. 結合改善:他人のアイデアを組み合わせたり改善したりする

この4原則はまさに「発散プロセスのルール」そのものです。ブレインストーミングは発散のための技法であり、この段階では収束の思考を持ち込んではいけません。

「批判厳禁」という原則が存在する理由も、発散と収束を混ぜてしまうという人間の本能的な癖を防ぐためなのです。

ひとりでアイデアを出すときも同じ

発散と収束の使い分けは、会議や複数人の場だけに限った話ではありません。自分ひとりでアイデアを出すときも、まったく同じことが言えます。

ひとりでアイデアを考えるとき、人間は自然と「良いアイデアだけを出そう」とします。つまり、発散しながら同時に収束しようとしてしまうわけです。これを防ぐために、意識的に「今は発散タイム」と決めて、紙にとにかく思いついたことを書き出す時間を設けることをおすすめします。付箋を使ってランダムに書き出すだけでも、発散の効果は十分に得られます。

まとめ

いかがでしたか。アイデアの出し方には「発散」と「収束」という2つのプロセスがあり、これを意識的に使い分けることが良いアイデアを生む鍵だとご理解いただけましたでしょうか。

天才的な企画センスがなくても、発散と収束のプロセスを意識的に使い分けることで、誰でも優れたアイデアを生み出せます。良いアイデアを得るためのステップは以下の通りです。

  1. 情報を収集する
  2. アイデアの発散を行う(質より量、評価・批判は一切しない)
  3. アイデアの収束を行う(整理・グルーピング・評価・企画化)

ステップ3で満足いく企画案が得られなかった場合は、ステップ2と3を繰り返してください。繰り返すたびにアイデアの質は上がっていきます。

発散と収束

突拍子もないアイデアも、発散の段階では大切な原石です。山奥村のレディ・ガガのエピソードが示すように、一見無意味に見えるアイデアが最終的に企画を動かすヒントになることは少なくありません。次のアイデア会議や企画作業のときには、ぜひ「今は発散」「今は収束」という意識を持って取り組んでみてください。きっとこれまでとは違う結果が生まれるはずです。