こんにちは、アイデア総研の大澤です。
私たちが何か新しいものを生み出そうとするときに、発想が”常識”という壁に阻害されてしまい、結果としてありふれたアイデアになってしまうことがよくあります。
人が社会生活を行ううえで、”常識”を持つことは必要不可欠です。
だからこそ、常識を超えて創造的・革新的なアイデアを発想することは非常に困難です。
では、その壁を超えるためにはどうすればいいのでしょうか。
その方法を示した人物の一人が、ミュージシャンのフランク・ザッパです。
今回は海外記事『Frank Zappa Showing How To Deviate From The Norm』より、ザッパがどうやって常識の壁を超えることができたのについて学びたいと思います。
規範から逸脱する方法を示したフランク・ザッパ
フランク・ザッパは、果たして異次元からやってきた天才だったのでしょうか?
あなたもご存知のように、フランク・ザッパ(Frank Vincent Zappa, 1940年12月21日 – 1993年12月4日)は20世紀の最も革新的なミュージシャンの一人として知られています。
彼は60年代にカリフォルニアで流行したサイケデリック・ミュージックシーンを牽引し、その後ジャズやクラシックの要素を取り入れてさらに音楽性の幅を広げていきました。
彼は多作な作曲者であり、また80年代に提案された”歌詞検閲法”に反対した自由のヒーローとしても知られています。
フランク・ザッパはロック、ジャズ、そしてクラシックといった音楽の垣根をやぶろうとした最初の一人であった。60年代の後半に、彼のバンド”ザ・マザーズ・オブ・インヴェンション”はアルバート・アイラーのサックスにインスパイアされて、ストラヴィンスキーの”ペトルーシュカ”からダヴェルズの”ブリストル・ストンプ”を生み出した。
The Rolling Stone Illustrated History of Rock & Roll
スティーブ・アレン・ショーにて
最近私は1963年にフランク・ザッパがスティーブ・アレン・ショーに出演したときの古い映像に出くわしました。
ショーの中でザッパは、自転車で”音楽”を生み出し、オーケストラを指揮しています。
この映像の中には創造性に関して学ぶヒントが詰まっているので、ここでみなさんと共有したいと思います。
1963年という時代
彼がショーに登場した時代を思い起こしてみましょう。
キューバのミサイル危機(1962年)が起こった翌年であり、誰もがまだ月に到達していませんでした。
ビートルズはまだLSDを服用していませんでしたし、アメリカは今よりもいくらか堅苦しい時代でした。
あなたも映像の中で、観客がザッパの演奏を大声で笑う声が聞こえると思います。
60年代のカウンターカルチャーによる革新や冒険が生み出されるのは、まだ何年か先の話です。
映像の中に、観客がどう思おうと気にせずに演奏を続けるザッパの姿を見ることができます。
このビデオクリップを見て、創造性とはどのようなものなのか一緒に考えてみましょう。
”これでいったい何ができるのだろう?”
ザッパのかなでる音楽は、いままでのいかなる伝統的な方法にも沿っていません。
創造性という面で非常に興味深い点は、ザッパがあえて自転車のようなものを用いて、奇妙な音を発し、演奏している部分です。
これこそが、創造的なイノベーターがものごとをさまざまな角度から眺め”これでいったい何ができるのだろう”と自問自答するやり方なのです。
こういった試みは、はじめてみる人々には奇妙なものに見えますが、新たな発見を得るために必要なステップなのです。
常識を打ち破るためには、あえて誰も試したことのない方法にチャレンジする勇気を持つことが重要なのです。
ものごとの前提を疑う
ショーでのザッパの音楽を聴いて、そもそもこれ本当に音楽と呼べるのか?と疑問に思うことでしょう。
いままで聴いたことのない音楽は、音楽ではないのでしょうか?
そもそも私たちは、どんなものが音楽と呼べるのか理解しているのでしょうか?
創造的な人々は、自らの思考を広げるために物事の前提を疑います。
私たちはザッパの自転車の演奏を思い出すことで、古いやり方に対して常に疑問の目を向けることの重要さを再確認できます。
創造性に対する確固たる自信
ショーの中で、ザッパがどれほど自信を持って司会のスティーブ・アレンに自らの演奏を披露しているかを注意してみてみましょう。
彼は自信を持って自転車を”演奏”するために、2週間の練習を必要としたと話しています。
何かにチャレンジするとき、うまくやれるかどうかの確信が持てずに”恐れ”を持っている状態では、創造性を十分に発揮することができません。
失敗に対する恐れを持たないことが重要です。
ザッパは作曲家としてまだキャリアが浅いなかで、人気番組に出演し、自転車で演奏をするほど大胆不敵でした。
これは非常に象徴的なできごとです。
ザッパは偉大な自転車ミュージシャンであり続けませんでしたが、かわりに音楽の歴史を変える革新的なミュージシャンであり続けました。
本気の”遊び”
映像のながで、ザッパは自転車を演奏することを心の底から楽しんでいるように見えます。
結果が予想できない実験的な試みに対して、彼がどのように取り組んでいるかに注目してください。
このときの彼の行動こそが、新しいアイデアや可能性をもたらすことができる、創造的な”遊び”なのです。
創造性やデザインの領域では、革新的・創造的な人々が新しい可能性を探求するために、本気の”遊び”を行っているという話をよく耳にします。
本気の”遊び”とは、決して堅苦しいものではありません。
また、あなたがよりよいアイデアを見つけ出すのを手助けするでしょう。
ザッパは彼の長いキャリアを通じて、常に創造的な遊びの信奉者でした。
”遊び”とは決して怠惰で仕事を遅らせるものではありません。
実際のところ、彼は最期の数年間はスタジオにこもり1日20時間も働いていたといわれています。
働きながら、遊びましょう。
そうすることで、仕事をより楽しく、創造的にすることができるはずです。
ザッパのように規範から逸脱しようとすることで、私たちは創造性や革新性を生み出すことができるのです。
1968年ロンドンでのザッパのライブの様子
まとめ
いかがでしたでしょうか。
アーティストにとって、常識の壁を超えて何かを表現することはひとつの大きなテーマであるといえるでしょう。
私たちはアーティストでこそありませんが、”企画”という新しい何かを創造しているという点で、類似した部分があるのではないでしょうか。
ここで触れられたスティーブ・アレン・ショー以外でも、ザッパの人生は常に常識を超えようとするチャレンジの連続でした。
もし彼の音楽や人生に興味を持ったら、ぜひ彼の生み出した音楽を片っ端から聴いてみてください。
きっと創造性の息吹を感じることができると思います。
source:Think Jar Collective
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複雑で難解なサウンドでありながら大衆性を忘れない。転調や変拍子は当たり前で独自のスケール等超絶技巧を駆使していながらも敢えて大衆性を忘れない鬼才ザッパは尊敬してますね。名曲ナイトスクールとか泣けます。