こんにちは!アイデア総研の持田です。
みなさんも子供のころに一度や二度は折り紙で遊んだことがあると思います。
日本人であれば、男性であってもほとんどの人が折り紙の”鶴”くらいは折れるのではないでしょうか。
そんな日本の伝統的な折り紙が、今”子供の遊び”という枠をこえてイノベーションを生み出すための鍵として世界中で注目されています。
今回は、折り紙をヒントにした世界のアイデアと、折り紙の持つイノベーションの可能性についてご紹介したいと思います。
世界中から注目される”ORIGAMI”
折り紙の起源は室町時代までさかのぼり、一般大衆が広く折り紙を楽しむようになったのは江戸時代といわれています。
世界で最も古い折り紙の折り方の本『秘傅千羽鶴折形』が出版されたのは、今から200年以上も昔の1797年のことでした。
明治に入ると、折り紙は幼稚園や小学校などの教育の場でも取り入れられるようになりました。
このように折り紙は日本人にとって長い歴史を持つ伝統的な遊びであり文化です。
今では世界中に知れ渡り”ORIGAMI”として海外にも多くのファンを獲得することに成功しています。
そんな折り紙が、今産業界からイノベーションを生み出す鍵として注目されています。
では早速、折り紙の構造をヒントにしたアイデア商品をいくつかご紹介したいと思います。
本当に乗れる折り紙ボートOnak(オーナク)
子供のころに折り紙の船を川に浮かべて遊んだかたも多いと思いますが、このたび本当に乗れる折り紙の船がクラウドファンディングサイト“Kickstarter”に登場しました。
本当に乗れる折り紙ボートOnak(オーナク)は、1枚の大きなシートを折ることで完成します。
通常のボートは保管に広いスペースが必要ですが、オーナクは省スペースでの保管が可能な優れものです。
組み立て方は簡単!
折り紙の要領で折り目に沿って折りたたみ、ロープで固定して完成です。
専用のキャリングケースに入れてどこにでも持ち運べ、その場で組み立ててボートに乗ることができます。
組み立て所要時間は大人の手で10から15分程度。
完成したオーナクには大人が2人乗っても大丈夫!
最大積載量は200~250Kg、重さはケースも入れて17Kgと非常に軽量です。
このプロジェクトはクラウドファンディングでの目標金額をクリアし、最短で2016年12月から出荷が始まる予定です(2016年8月現在)。
オーナクは折り紙の構造をうまく利用することで、小型化や強度の確保を実現したイノベイティブな商品です。
日本での発売が待ち遠しいですね!
折りたたみ式ドレス
折り紙の構造はファッションの世界でも生かされています。
世界的なファッションブランド『ISSEY MIYAKE』のデザイナー三宅一生氏と工学研究家の野島武敏氏のコラボレーションで誕生した”折りたたみドレス”は、折り紙の構造をヒントにしたドレスです。
野島氏が朝顔のつぼみが開花する構造をもとに編み出した”巻取りモデル”と”円錐折りたたみモデル”を構造をファッションに応用し、折りたたまれた状態からまるで花が開くようにドレスが展開します。
見た目の美しさによるファッション性もさることながら、折りたたんだ状態でコンパクトに持ち運べる点や複雑な裁縫の工程が必要ないことなどの機能的なメリットもあります。
このような折り紙構造は、今後さらにファッションの分野での応用が進むかもしれません。
折り紙×缶のアイデア
身近なところでは、キリンの缶チューハイ『氷結』の表面の凹凸も折り紙の構造がもとになっているのをご存知でしょうか。
この表面が凹凸デザインの缶はダイヤカット缶と呼ばれており、缶を開けたときに伸縮して”パキパキッ”という音が鳴る面白さや見た目のクールさから採用されています。
同じくキリンの『ファイア 挽きたて微糖』でもダイヤカット缶が使用されており、缶の強度を維持しながら従来の構造のスチール缶と比較して17%の軽量化に成功しています。
これらダイヤカット缶の構造は”ミウラ折り”と呼ばれる折り方がもとになっています。
あのNASAからも注目されているという”ミウラ折り”とは、どのような折り方なのでしょうか。
”ミウラ折り”って何?
ミウラ折りは、東京大学名誉教授の三浦公亮(こうりょう)氏が考案した紙の折り方です。
ミウラ折りは、人工衛星のパネルの展開方法を研究する過程で生み出され、身近なところでは地図の畳み方に使われている。ミウラ折り(miura-ori)の名はBritish Origami Societyで名付けられたものである。完全に畳まれた状態と平面との移行(折り畳み・展開)の途中の状態は、二重波型可展面という可展面である。折紙の数学のテーマとしては剛体折紙の分野に属する。
出展:Wikipedia
ミウラ折りの特徴としては次の2点があげられます。
- 四角いシートの対角線を伸縮させるだけでシート全体を展開・収納することができる
- 垂直に折り目を入れた場合と比較して強度があり、繰り返しても破れにくい
これらの特徴から、ミウラ折りは収納性や強度が要求される宇宙開発の分野で活用が進んでいます。
1995年に打ち上げられた日本の観測衛星・宇宙実験・観測フリーフライヤ(SFU)で折りたたんだ状態で収納された太陽電池パネルの孝端を引っ張って効率よく展開するという実験に用いられ、その後電波天文衛星「はるか」の大型宇宙アンテナなどで実用化されています。
近年ではアメリカ航空宇宙局(NASA)が、新しいソーラーパネルの構造にミウラ折りを応用しています。
ミウラ折りを応用したソーラーパネルの研究を行っているジェット推進研究所の研究員ブライアン・トゥリーズ氏は、高校時代に日本に留学し、ホームステイ先の家族から折り紙を教わったことで興味を持ち、その後独自に折り方の研究を行ったそうです。
このソーラーパネルは3mほどに折りたたまれた状態から花を開くように展開することで、直径25mほどの大きさになります。
非常にコンパクトな構造のため、小型の衛星にも搭載できる可能性があります。
このように、日本の伝統工芸である折り紙が最新のテクノロジーを探求する宇宙工学で今まさに注目を集めています。
身の回りのものから宇宙までさまざまな分野でイノベーションを巻き起こしている”折り紙”の持つ無限の可能性にあらためて驚かされます。
このような”折り紙工学”はまだ新しい研究分野で、今後日本を含め世界中でどのような技術に応用されるか注目したいと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
イノベーションとは全く新しい技術から生まれるものとは限りません。
昔からあるものが新たな分野やテクノロジーと融合したときに、これまでにない全く新しいものが生み出される可能性があります。
何百年も伝えられてきたものには、必ず伝承されてきただけの理由や良さがあるはずです。
新しいアイデアを考える際には、最先端の技術に目を向けるだけではなく、時には昔からある伝統的なものを学ぶのが近道になるかもしれません。
source:KICKSTERTER,nippon.com,The Huffington Post
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