こんにちは、アイデア総研の大澤です。
2016年の2月、米国のレーザー干渉計型重力波検出器『LIGO』が世界で初めて重力波の観測に成功し、大きなニュースになったことを覚えていますでしょうか。
重力波は天才物理学者アインシュタインが残した”最後の宿題”といわれており、彼の発表した一般相対性理論に基づく予測のなかで唯一観測できず、これまで証明されていなかったものです。
その重力波がほぼ100年の年月をかけてようやく観測されたことで、アインシュタインの考えが正しかったことが明らかになりました。
ではアインシュタインは、今から100年も昔にどのようにして当時では測定不能であった理論を発想することができたのでしょうか。
今回はアインシュタインの行った発想法から、彼の持つ創造性の秘密を探っていきたいと思います。
アルベルト・アインシュタインとは
アルベルト・アインシュタイン(Albert Einstein,1879年3月14日 – 1955年4月18日)は、20世紀を代表する理論物理学者です。
彼の理論の中では特殊相対性理論と一般相対性理論が特に有名ですが、それ以外にも光量子仮説に基づく光電効果の理論的解明やブラウン運動の起源を説明する揺動散逸定理をはじめとする数多くの革新的理論によって、ニュートン以来の物理学を根底から覆し、宇宙のあり方に関する私たちの世界観を一変させました。
その卓越した業績によって20世紀最大の物理学者とも、現代物理学の父とも呼ばれています。
では、アインシュタインはどのようにして物理学の世界を揺るがすような革新的・革命的な理論を発想するに至ったのでしょうか。
そこには、彼の発想の源である”思考実験”というプロセスが存在します。
彼の行った”思考実験”とは何なのか、海外記事『These 5 mind-melting thought experiments helped Albert Einstein come up with his most revolutionary scientific ideas』より、詳しくご紹介したいと思います。
アインシュタインが革新的な科学的アイデアを発想するために行った5つの思考実験
20世紀最大の天才の一人であるアルベルト・アインシュタインは、私たちの常識を超えた革新的な物理理論によって、それまでの科学の風景を一変してしまいました。
アインシュタインのもっとも素晴らしい資質のひとつは、複雑な科学的アイデアを現実のシナリオにおきかえて概念化できるという驚くべき能力でした。
彼はこうした概念化の作業を”Gedankenexperiments(ゲダンケンエクスペリメント)”、すなわち思考実験と呼んでいました。
ここではアインシュタインの最も画期的な発見につながったいくつかの思考実験を紹介いたします。
光を追いかけていると想像する
これはアインシュタインがわずか16歳のときに考え始めた思考実験です。
あなたが空間を移動する光を追いかけたらどうなるでしょうか?
もしあなたが何らかの形で光に追いつくことができれば、空間で停止した光を観察することができるだろうとアインシュタインは推論しました。
しかし光は空間中では停止しません。
そうでなければそれは光でなくなってしまいます。
最終的にアインシュタインは、光は遅くなったりせず、常に光の速度で自分から離れて移動しなければならないということに気づきました。
したがって、他の何かが変化しなければなりませんでした。
そして、時間こそがそれであると考えました。
このことが特殊相対性理論の基礎となったのです。
電車の中で立っているところを想像する
あなたの友人が電車の外に立っているときに、あなたが電車の中で立っている状況を想像してみましょう。
もし雷が列車の両端に落ちた場合、あなたの友人は同時に両方の雷が落ちるところを目にするでしょう。
しかし、電車に乗っているあなたは前に向かって移動しているので、前方に落ちる雷により近いといえます。
その分光の移動距離が短くなるので、あなたは先にその雷を見ることになるでしょう。
この思考実験は、移動している人と止まっている人にとって時間の流れが同じではないことを示しています。
そしてこのことから、アインシュタインは時間と空間は相対的なものであり、同時性は存在しないという信念を固めます。
これはアインシュタインの特殊相対理論の基礎となる考えです。
ロケットに乗る双子を想像する
この思考実験は、時間の経過に関連するアインシュタインの光時計の思考実験の別バージョンです。
たとえばあなたに双子のきょうだいがいて、ほぼ同時に生まれたとします。
しかし、あなたの双子が生まれた瞬間に、彼または彼女は宇宙船に乗せられて、光速に近い速度で宇宙に打ち上げられてしまいます。
アインシュタインの特殊相対性理論によると、あなたとあなたの双子は異なる歳のとり方をします。
光速に近づくほど時間の流れが遅くなるので、あなたの双子はゆっくりと歳をとります。
やがて宇宙船が地球にもどり着地したとき、あなたの双子はちょうど思春期を迎えるころで、あなたは定年後の生活を考えている、という可能性があります。
箱の中に立っていることを想像する
あなたは浮遊している箱の中に入っているとします。
箱の外で何が起こっているかを知る手段はありません。
突然床が落ち始めます。
何が起こったのでしょうか。
箱は重力によって落下していますか?
それともロープに引かれて上方向に加速していますか?
この2つの効果は同じものです。
そしてこれらが同じ効果を生むという事実から、アインシュタインは重力と加速度の間に差はないという結論を導きました。
次に、時間と空間が絶対的ではないという先ほどの主張を思い起こしてください。
もし動きが時間と空間に影響を与え、重力と加速度は同じものであれば、それは重力が時間と空間に影響を与えることを意味します。
重力の時空をゆがませる能力は、一般相対性理論の主要な部分です。
両面コインを投げているところを想像する
アインシュタインは量子論の最大の支持者ではありませんでした。
実際には彼は常にそれを反証しようと思考実験を行っていました。
しかしそれは結果として量子論の先駆者の理論を完成に導きました。
アインシュタイン自身が”おばけのような遠隔操作”と呼んでいた思考実験は、簡単に半分に分割できる両面のコインを持っていることを想像するところからはじまります。
あなたはそれをトスし、どちらが上になったかを見ずに片面を友人に渡し、反対側を自分で持ちます。
次に友人はロケットに乗って、そのまま宇宙へ飛び立ってしまいます。
そこであなたは手の中のコインを見ます・・・表です。
そしてその瞬間、その時点であなたから数十億光年離れた場所にいる友人のコインは裏であることがわかります。
もしこれらのコインの面は不確定なままであった場合、あなたがそれを見るまで表と裏の間で繰り返し変化していると思うならば、コインは光速を無視してお互いに影響を与えているに違いありません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
このように、アインシュタインは実際に目で見て確かめることができない現象について、自分の頭の中でイメージし”思考実験”を行うことでさまざまな理論を発想しました。
このことは、科学の分野に限らず、あらゆる分野におけるアイデア発想のテクニックとして応用できます。
たとえば商品開発を行う場合は、開発のプロセスの中でプロトタイプ(試作)を作成しますが、脳内で精度の高い”思考試作”をイメージすることができれば、短時間で(しかもコストをかけずに!)何百・何千の検証を行うことが可能です。
脳内で精度の高い実験・検証を行うためには、まるでそこに本物があるかのようなリアルな造形の再現ができるまで、対象についての考えを深め、確固たるイメージを持つ必要があります。
そしてそれがうまくできるようになれば、あなたの発想力・創造力は飛躍的に進歩することでしょう。
あなたも思考実験を活用し、革新的なアイデアを導いてみましょう。
source:businessinsider.com
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思考実験は問題提起が大変難しいのではと宇高は思います。宇高は発明のメソッドを
提案してます。是は結果的には思考実験を行う事になりますが… 思考実験は開発には非常に有効ですね☺