企画書の記事

ところで”アイデア”と”企画”ってどこが違うの?

こんにちは、アイデア総研の大澤です。

アイデア総研ではさまざまなアイデアの発想法をご紹介しています。

これらの発想法を駆使してアイデアをひねり出したあとは、そのアイデアを企画としてまとめる必要があります。

ところで皆さんは、アイデアと企画の違いについて真剣に考えたことはありますか?

多くの会社では、この2つの言葉がほとんど同じ意味合いで使われているシーンをよく見かけます。「アイデア会議」と「企画会議」が実質同じだったり、「なんかいいアイデアない?」と「企画を出してくれ」が同義で使われていたり。月曜の朝イチで上司から「何かアイデアある?」と振られても、「それってどのレベルの話を求めてるの……?」と内心困惑するサラリーマンは多いはずです。

実は「アイデア」と「企画」は、似ているようでまったく別物なんです。この違いを理解するだけで、職場での企画立案がグッとスムーズになります。

今回はアイデアと企画の違いについて、カレーライスを例にわかりやすくご説明します。「なぜカレー?」と思ったそこのあなた、読めばわかります。

“アイデア”と”企画”

アイデアと企画の違いを考える前に、まずそれぞれの言葉を辞書で確認してみましょう。

三省堂の大辞林では、アイデアについてこう説明されています。

アイディア【idea】

思いつき。着想。アイデア。「いい-が浮かんだ」

大辞林

一方、企画はこうです。

企画

実現すべき物事の内容を考え,その実現に向けての計画を立てること。立案すること。また,その計画や案。

大辞林

一見似ているようで、定義はくっきりと違いますね。

ざっくり整理するとこうなります。

  • アイデア=「こうしたら面白そう!」という閃き・着想そのもの
  • 企画=その閃きを「いつ・誰が・どうやって・いくらで実現するか」まで落とし込んだ行動計画

職場の会話に当てはめると、「それ面白いアイデアだね」は着想を褒めているだけであって、「で、実際どうするの?」という部分はまだ企画になっていないのです。アイデアを出したあとに「あとはよろしく!」とさっそうと去っていく人、心当たりはありませんか(笑)。

アイデアと企画のスタート地点は?

まずはアイデアと企画のスタート地点について考えてみましょう。

たとえば、あなたが億万長者で、毎日好き放題に遊んで暮らせる立場だとします。

人生に何の不満もなく、100%満ち足りた生活を送っています。

そんな状況で、あなたの頭に何かアイデアは浮かぶでしょうか?

まったく不満がない人間には、そもそもアイデアは必要でしょうか?

もちろんこれは極端な例ですが、現実には誰でも日常のどこかに不満や悩みを抱えています。

  • 最近疲れがたまっている
  • 夕飯は何にしようか
  • なんか退屈だな
  • 一人でさみしいな
  • 来月の同窓会に何を着ていこう

こうした不満や悩みから、何らかの課題が生まれます。

そしてその課題があってはじめて、解決するためのアイデアが生まれるのです。

  • 疲れをとりに温泉に行こう
  • 夕飯はカレーにしよう
  • 退屈なので新しい趣味を見つけよう
  • さみしいので友達に電話しよう
  • 同窓会のために服を買いに行こう

これらはすべて課題を解決するためのアイデアの例です。

課題がないところにアイデアは生まれませんし、企画も存在しません。

つまり、課題こそがアイデアと企画のスタート地点なのです。

ビジネスの現場でも同じです。「新しい施策を考えろ」と言われたとき、最初にやるべきことは「誰のどんな課題を解決するのか?」を明確にすることです。課題が曖昧なまま出されたアイデアは、どれだけ面白くても企画には育ちにくいのです。

逆に言えば、課題を正確に言語化できた時点で、企画の半分は完成していると言っても過言ではありません。「なんかうまくいってないよね」という曖昧な問題意識を「新規顧客へのフォローアップが初回訪問後3日以内に行われておらず、成約率が低下している」とまで具体化できれば、そこから有効なアイデアが自然と生まれてきます。

アイデアから企画へ

カレーライス

たとえば「夕飯に何を食べよう」という課題に対して、「カレーにしよう!」というアイデアを思いついたとします。

そのアイデアを思いついた瞬間、魔法のようにカレーが目の前に現れる……

なんてことは、当然ありません(笑)。

実際にカレーを食べるためには、アイデアを実行に移さなければなりません。

そのためには具体的な行動(アクション)が必要になります。

  • 外食する?それとも自炊する?
  • 外食するならどのお店?予算は?
  • 歩いていく?車で行く?誰かと行く?
  • 自炊するなら何カレーにする?
  • ルーで作る?レトルト?カレー粉から?
  • 冷蔵庫の食材は使えるか?

考えなければならないことが、どんどん出てきますね。

これらの問いに対して具体的な行動を決めていきます。

  • チキンカレーを自炊しよう
  • 予算は500円以内に抑えよう
  • 冷蔵庫のじゃがいもとにんじんを使う
  • スーパーでルーと鶏肉を買ってくる
  • 16時に近所のスーパーへ買い物に行く
  • 18時に夕食をとる

このアイデアを実行するための行動計画こそが企画です。

企画を実行することで、ようやく最初の課題(「夕飯何食べよう問題」)が解決されるわけです。

ビジネスに置き換えると、「SNS施策を打とう!」はアイデアです。「インスタグラムで毎週火曜・木曜の19時にリール動画を投稿し、3か月で1,000フォロワーを獲得する。担当は山田さん、月予算は5万円」となってはじめて企画になります。この違い、なんとなく掴めてきましたか?

アイデアと企画の違いって?

ここまでで、アイデアを具体的な行動計画に落とし込んだものが企画である、というイメージが掴めたと思います。

では改めて、両者の違いを詳しく整理していきましょう。

アイデアは”わがまま”でよい

アイデアとは、課題を解決するための着想の段階です。

この段階では、具体的な実行計画はまだ必要ありません。

ですから、たとえ実現不可能なアイデアでも、まったく構いません。

良いか悪いか、できるかできないかは後回しにして、わがままにワイルドに、自由で大胆な発想をしていきましょう。

たとえば普通のサラリーマンが「気分転換に豪華客船で世界一周したい!」と思っても、時間的にも予算的にもなかなか現実的ではないかもしれません。

でも、それでいいんです。ワクワクすることを思い切り考えましょう。

奇抜なものも、ありきたりなものも、すぐできるものも、できそうにないものも、すべて等しくアイデアとしての価値があります。

アイデアを出すことに苦手意識やプレッシャーを感じている方に伝えたいのは、まさにこの点です。発想段階での自己検閲は、アイデアの芽を摘んでしまいます。ブレインストーミングの場で「批判禁止」が鉄則とされているのも、このためです。まずは自由に出し切る——これがアイデア発想の基本姿勢です。

アイデアに価値は無い?

一方で、アイデアの段階では1円の価値もないという意見もあります。

Googleの共同創業者であるラリー・ペイジは、母校ミシガン大学の卒業式スピーチでこう述べています。

素晴らしいことを思いついたら、すぐに行動。アイデアには何も価値がない。実行することが大切。

今では当たり前に使われている検索エンジンも、最初はただの「ばかげた思いつき」、つまりひとつのアイデアに過ぎませんでした。

当時も「こんなものがあれば便利なのに」と思った人はたくさんいたでしょう。しかしそれを実際に動かしたのはラリー・ペイジと仲間たちでした。その結果、世界の情報を束ねる巨大企業Googleが誕生したのです。

アイデアには世界を変えるポテンシャルが秘められています。

しかし、アイデアは企画として実行されてはじめて価値を持つのです。

特許の世界でも、アイデアそのものは保護されません。保護されるのは、そのアイデアを具体的な発明として実装したもの、つまり「企画として形になったもの」です。「あのとき私もそのアイデアを思いついてたのに!」という言葉をよく耳にしますが、残念ながらそれは企画にならなかった思いつきに過ぎないのです。

だからこそ、アイデアを出したら止まらずに企画へと動かすことが重要です。アイデアノートやメモアプリに溜まったまま眠っている閃きはありませんか?ぜひ一つ、企画書に起こしてみてください。

アイデアはたくさん必要

アイデアは企画のもとになりますが、すべてのアイデアが企画に育つわけではありません。

実現不可能なものもあれば、課題解決の手段として適切でないものもあります。

だからこそ、最初の段階でできるだけ多くのアイデアを出して、そのなかからベストの企画を選ぶことが重要です。

良い企画を生み出すには、1つや2つではなく、何十・何百というアイデアが必要なのです。

企画立案において「量が質を生む」というのは、ぜひ覚えておいていただきたい鉄則です。

発明家のトーマス・エジソンは生涯で1,093件の特許を取得しましたが、「私は失敗したことがない。うまくいかない1万通りの方法を発見しただけだ」という言葉を残しています。数を出すことを恐れないでください。

アイデアを量産するための代表的な発想法には次のものがあります。

  • ブレインストーミング……批判禁止・自由奔放・便乗歓迎・質より量でアイデアを出し合う
  • マインドマップ……課題を中心に置き、関連するキーワードを放射状に広げていく
  • SCAMPER法……既存のものを「代替・結合・応用・修正・他用途・削除・逆転」の7視点で変形させる
  • ランダムワード法……辞書などからランダムに引いた単語と課題を強引に結びつけて新たな着想を得る

どの発想法も共通しているのは「まずは数を出す」という点です。良いアイデアを1つ絞り出そうとするより、50個出して5個に絞るほうが、結果的に質の高い企画に近づけます。

企画には実現可能性(フィージビリティ)が不可欠

アイデアは「面白ければ何でもアリ」ですが、企画には必ず実現可能性(フィージビリティ)が求められます。

企画とは、実現性のある行動計画でなければなりません。

そのため、企画を考える際には実現性の「裏付け」をしっかりと取る必要があります。

予算は足りるか?スケジュールは現実的か?人材は揃っているか?技術は?法的な問題は?——考えうる限りの観点から実現性を検証しましょう。

そして、アイデアの内容と行動計画をまとめたものが企画書になります。

企画書を書く際に盛り込むべき基本的な要素を整理すると、次のようになります。

  • 背景・課題……なぜこの企画が必要なのか。解決すべき課題は何か
  • 目的・目標……この企画で何を達成したいのか。数値目標があればなお良い
  • ターゲット……誰のための企画か。対象者を具体的に絞り込む
  • 施策・内容……具体的に何をするのか。アイデアの中身を詳述する
  • スケジュール……いつ・何を・誰がやるのかをガントチャートなどで可視化する
  • 予算・費用対効果……いくらかかるか。投資に見合う効果が見込めるか
  • リスクと対策……想定されるリスクは何か。そのときどう対処するか

この7項目を揃えるだけで、上司や関係者への説明が格段にスムーズになります。「なんとなくいい感じの企画書」から「意思決定できる企画書」へと格上げされます。ぜひ次回の企画書作成で試してみてください。

企画には思いやりが必要

アイデアは「わがまま」で問題ありませんでしたが、企画はわがままなままではいけません。

そもそも、企画で解決すべき「課題」を抱えているのは誰なのかを考えてみましょう。

BtoCの企画なら消費者・お客様、BtoBなら法人ですが、その先には必ず生きた人間がいます。

プライベートな企画や、自分自身のための企画の場合もあるでしょう。

いずれにしても重要なのは、課題の先には必ず誰かがいるということです。

企画は、その誰かの課題を解決するためのものです。

つまり企画とは誰かの役に立つものであり、相手への「思いやり」が込められていなければなりません。

アイデアはわがままに、企画は思いやりをもって——この2つのスタンスを使い分けることが大切です。

マーケティングの世界では「ユーザー視点」や「顧客インサイト」という言葉が使われますが、これもまさに「思いやり」の話です。自分が作りたいものではなく、相手が本当に必要としているものを届ける——これが企画の本質です。

たとえば「新しいコーヒーメーカーを開発しよう」というアイデアを企画に落とし込むとき、「自分が好きな豆を挽いて飲みたい」という自分視点ではなく、「忙しい朝でも本格コーヒーを5分で楽しみたい30代の共働き夫婦」という相手視点で考えると、機能設計から価格設定、販売チャネルまでが一気にクリアになります。「誰の課題を、どう解決するか」——この問いを忘れない限り、企画は正しい方向に進み続けます。

アイデアを企画に育てる3つのステップ

ここまでの内容を踏まえて、アイデアを企画に育てる実践的なステップをまとめておきましょう。仕事で企画書を書く機会がある方は、ぜひこの流れを参考にしてみてください。

ステップ1:課題を言語化する

「なんとなく問題がある」という感覚を、具体的な言葉に落とし込みます。「誰が・何に・どのくらい困っているのか」を5W1Hで整理すると、課題が明確になります。課題が明確であればあるほど、その後のアイデア出しが効率的になります。ここを曖昧にしたまま進むと、後から「そもそも何のための企画だっけ?」という迷走が起きます。

ステップ2:アイデアを量産する

課題が明確になったら、解決策のアイデアをできるだけたくさん出します。この段階では「できる・できない」「良い・悪い」の評価は禁止です。質より量を意識して、まずは20〜30個を目安に出し切りましょう。一人で詰まるようなら、チームでブレインストーミングをするのも有効です。

ステップ3:企画として絞り込み・磨き上げる

量産したアイデアの中から、①課題解決への有効性、②実現可能性、③ターゲットへの思いやり、の3軸で評価し、最有力候補を1〜3つに絞ります。絞り込んだアイデアに対して予算・スケジュール・担当者・KPIを設定すれば、企画書の骨格が完成します。このステップを踏むだけで、会議での説得力がまるで変わってきます。

まとめ

いかがでしたか。

今回は「アイデアと企画の違い」について、カレーを例にしながらご説明しました。改めて整理すると、こんな関係になります。

  • 課題……アイデアと企画、両方のスタート地点
  • アイデア……課題を解決するための着想。わがままに自由に発想してOK
  • 企画……アイデアを実現可能な行動計画に落とし込んだもの。思いやりが必要

アイデアと企画の違いを意識するだけで、企画立案のプロセスがグッとクリアになります。まず「課題」からスタートし、わがままにアイデアを広げ、最後は思いやりをもって企画に仕上げる——このステップを踏むことで、課題を本当に解決できる企画にたどり着けます。

「アイデアを出せと言われても……」と毎週月曜に困っているサラリーマンの方も、「そうか、まず課題から考えればいいんだ」と思っていただければ、かなり気持ちが楽になるはずです。また、アイデアを出したあとに「企画まで持っていく力」が身につけば、職場での評価もきっと変わります。「アイデアマン」から「企画を実現できる人」へのステップアップを、ぜひ目指してみてください。

さまざまな発想法を活用して生み出したアイデアを、ぜひ一つでも多く企画としてアウトプットしてみてください。あなたのアイデアが誰かの課題を解決する日が、きっと来ます。