こんにちは。アイデア総研の大澤です。
世の中には、突如として革新的な新商品やサービスがあらわれ、私たちの生活に大きな変化を巻き起こすことがあります。
それらの革新的なアイデアを見ると、アイデアの発想者はゼロから1を生み出すことができる才能を持った”天才的なアイデアマン”なのではないかと思ってしまいます。
はたして、革新的なアイデアは、何もないところから魔法のように湧き出してくるものなのでしょうか?
もしそうだとしたら、限られたアイデアマンにしか革新的なアイデアを生み出すことができないのでしょうか?
この疑問に対する答えとして、アメリカの広告業界の重鎮であるジェームス・W・ヤングが明確な答えを出しています。
彼の著書『アイデアのつくり方』より、その疑問に対する回答を見てみたいと思います。
アイデアの出し方の方程式
”アイデア”とは、与えられた課題や直面した問題を解決するための方法をさす言葉です。
アイデアの生み出される過程について、世界屈指の広告会社であるJ・W・トンプソン社で副社長を務めたジェームス・W・ヤングが、著書『アイデアのつくり方』の中で次のように説明しています。
アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何者でもない
ジェームス・W・ヤング『アイデアのつくり方』
彼は著書の中で、どのような革新的なアイデアでも、その生み出される過程を紐解けば既存の要素の組み合わせに過ぎない、と述べています。
つまり、アイデアの発想はゼロから1を生み出す錬金術のようなプロセスによって生まれるのではなく、既存の要素の組みあわせによる”足し算”で生まれるというわけです。
そうしてできた新しい組み合わせの発見こそがアイデアであると説明しています。
ゼロから1を生み出さなければいけないと考えると難しくて尻込みしてしまいそうですが、ただの足し算でよいということでしたら誰にでも簡単にできそうですね。
アイデアの発想は孝部の天才的なアイデアマンの特権ではなく、誰にでもできるものであるという彼の考えは、われわれにとって非常に勇気付けられる言葉ではないかと思います。
既存の要素の組み合わせの例
アイデアは既存の要素の組み合わせであるという視点で世の中の商品やサービスを見渡すと、確かにそのように説明ができることがわかります。
いくつか実例を挙げいきたいと思います。
ポストイット
3M社のポストイットは、いまやオフィスの必需品となっており、アイデアの発想ツールとしても非常に便利なアイテムです。
このポストイットが、じつは失敗品から生み出されたのをご存知でしょうか。
かつて3Mの研究者が”強力な接着剤”の研究をしていたところ、試作品としてできたものは”よく着くけど簡単にはがれてしまう”という失敗品でした。
失敗作は本来であればそのまま捨てられてしまうところですが、開発者が何か使い道がないかと悩んでいたところ、本に挟まれた栞を見た瞬間にポストイットのコンセプトを思いつき、”貼ってはがせるメモ用紙”という全く新しいコンセプトの商品が生み出されました。
本来失敗品であったものを、別のものと組み合わせることで新たな価値を生み出した例です。
iPhone
iPhoneは一見すると、ミュージックプレーヤーであるiPodに携帯電話機能をつけただけのものに見えます。
実際にハードウェアだけを見れば機能の単純な足し算に過ぎないのですが、この恐るべき商品は”単なる音楽プレーヤーつきの携帯電話”という枠を超え、”携帯機能を持った小型パーソナルコンピューター”として、パソコンメーカーだけではなくカメラメーカーやオーディオメーカー、さらには人々のワークスタイルやライフスタイルなどあらゆるものに大きな影響や変化を与えたことは記憶に新しいと思います。
単純な足し算によって生まれる化学反応は、時として恐るべき”破壊的イノベーション”をも生み出す、という良い例だと思います。
ドラえもん
アイデアの組み合わせの例は、なにも工業製品に限ったものではありません。
国民的キャラクターの”ドラえもん”を知らない方はいないとおもいますが、このキャラクターが生み出されたきっかけはご存知でしょうか。
NHKで放送された「プロフェッショナル 仕事の流儀」で藤子・F・不二雄先生が語ったところによると、すでに新連載が決まっていたドラえもんの主人公の姿が決まらず頭を悩ませていたときに、偶然目にした”娘が持っていた「コロンちゃん」という丸みを帯びた人形”と”鳴き声がうるさかったかった近所の野良ネコ”から”丸い形をしたネコ型ロボット”というデザインコンセプトをひらめいたそうです。
偶然のきっかけによって生まれたキャラクターが、その後何十年にもわたって世界中の子供たちに愛されて続けていると思うと、まるで必然の出来事であったかのうように思われますね。
たまごっち
90年代に発売され、世界中で4,000万個を売り上げた大ヒット玩具”たまごっち”。
”たまご型の液晶ゲームの中で生き物を飼う”というコンセプトは非常に独創的で、いったい何をヒントに思いついたのか不思議に思ってしまいますよね。
たまごっちを企画した株式会社ウィズの代表取締役横井昭裕氏は、当時孝部で流行していた、パソコンの画面の中で熱帯魚を飼うゲーム”アクアゾーン”に80年代大ヒットした液晶ゲーム機”ゲームウォッチ”の要素を組み合わせるというコンセプトを思いつき、”たまごっち”が生まれたと述べています。
デジタルの生物に”命”という概念を与え、時間がたつと”死んでしまう”という発想は、今見ても非常に新鮮なものにうつります。
もしドラ
ビジネス書としては異例の200万部を超える大ヒットとなった”もしドラ”こと”もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら”。みなさまの中にも読まれた方が多いのではないかと思います。
ドラッカーの経済書といえば、ビジネス書の中でも特に難解なイメージがありますが、これに一見まったく異質な”女子高生”を組み合わせたことで大ヒットに結びつきました。タイトルを見ただけでも、どんなストーリーなのか思わず手にとって見たくなりますよね。
ビジネス書の表紙といえば重厚で味気のないものが多い中、いわゆる”萌え絵”の女の子が描かれた装丁は店頭でも異質な存在としてひときわ目を引きました。
著者の岩崎夏海氏によると、著者自身が読んで感銘を受けた”マネジメント”と、マネージャーと呼ばれながらも実質雑用しかしていない日本の”高校野球の女子マネ”の組み合わせを思いつき執筆したということですが、ご本人もこれほどの大ヒット作になるとは予想していなかったのではないでしょうか。
まとめ
いかがだったでしょうか。
どこからみても独創的で何にも似ていないようなアイデアも、もとをただせば既存の要素の組み合わせであるということがよくわかったのではないでしょうか。
このようにアイデアが既存の要素の組み合わせであるならば、当時あなたが全く同じアイデアを考えていたとしても不思議はありませんね。
また、斬新な商品やサービスを生み出す組み合わせが全て出つくしてしまっていると考えるのは不自然です。おそらく、すばらしいアイデアにつながる未知の組み合わせが、まだまだ世の中にはあふれているのではないでしょうか。
それらの組み合わせを発見して、私たちの生活を丸ごと変えてしまうような革新的な商品やサービスを生み出すのは、もしかしたらあなた自身かもしれません。
アイデアの出し方の方程式を活用して、あなたも今日からアイデアマンになりましょう!
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