スティーブ・ジョブズに学ぶ!2×2マトリックス法による発想

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スティーブ・ジョブズのイメージ

こんにちは、アイデア総研の創田です。

企画に携わる人間で、スティーブ・ジョブズを知らない人はいないでしょう。

Macintosh・iPod・iPhone・iPadといった歴史に残る斬新な商品を数多く生み出し、われわれのライフスタイルをも一変してしまったイノベーターです。

彼の設立したアップル社は、ジョブズなき後も世界で最も価値のある企業としていまなお輝き続けています。

誰も見たことのない新しいコンセプト、斬新なアイデアを次々と生み出したジョブズは、はたしてどのような発想法を用いていたのでしょうか。

今回は、ジョブズのアイデア発想法をもとに、イノベーションを生み出すためのヒントについて学んで生きたいと思います。

アップル社の歴史

スティーブ・ジョブズがアップルを共同設立したのは1976年です。

その当時のコンピューターは業務用の大型のものが中心で、個人が所持するものとは考えられていませんでした。

個人向けのコンピューターはごくごく一部のオタクが趣味で部品を購入して自作していたという状況で、アップル社も設立当初はそういった層に向けて商売をしていました。

そんな中ジョブズは、”コンピューターを自作する1人のオタクに対して、そこまでの技術はないがやってみたいと考えている人は1,000人はいるのではないか”と考え、世界ではじめての完成済みパーソナルコンピューター”Apple Ⅱ”を販売します。

この商品は500万台を売り上げ、一躍アップル社の名前は世の中に知れ渡ることとなります。

その後も84年にはOS(オペレーティングシステム)に当時としては革新的なグラフィカル・ユーザー・インターフェイス(GUI)を搭載した”Macintosh”を販売し、世界中に衝撃を与えます。

ところが、翌85年には思いもよらぬ事件が起こります。

なんとジョブズは、彼の立ち振る舞いが社内を混乱させたとして、アップル社を追放されてしまうのです。

ジョブズによる改革

その後ジョブズがアップル社に復帰したのは、それから11年後の1996年の暮れになります。

当時のアップル社は技術的にも売り上げ的にも低迷を続けており、深刻な経営不振といえる状況でした。

そんな状況で暫定CEOに就任し実権を握った彼は、アップル社を立て直すべく商品ラインナップに大ナタをふるうこととなります。

まず当時アップル社が最も力を入れていたPDA”Newton”を廃止し、同時に10種類以上のラインナップが乱立していたMacintoshラインを整理します。

当時の様子は次のようなものでした。

「もういい!」

 全社的な製品戦略のセッションだった。

「あまりにバカげている」

 マーカーを手にするとホワイトボードのところへゆき、大きく「田」の字を描く。

「我々が必要とするのはこれだけだ」

 そう言いながら、升目の上には「消費者」「プロ」、左側には「デスクトップ」「ポータブル」と書き込む。各分野ごとにひとつずつ、合計4種類のすごい製品を作れ、それが君たちの仕事だとジョブズは宣言した。

引用元:ウォルター・アイザックソン『スティーブ・ジョブズⅡ』

その時ジョブズが図示したのはこのようなマトリックスです。

ジョブズのマトリックス1
ここでは縦軸に製品、横軸にユーザーがとられています。
そして、彼の示した方針に沿って開発されたランナップがこちらです。

ジョブズのマトリックス2
結果的にこれらの製品はどれも大ヒットを飛ばし、アップル社の業績はV字回復をとげます。

その後のアップル社の快進撃はあなたもご存知のとおりで、やがてiPodやiPhone、さらにはiPadを生み出し、世界一の企業価値を持つ大企業へと成長していきます。

アップル社の現在の隆盛の礎となったのは、たった一つのマトリックスだったのです。

有名なマトリックス

このように、縦軸と横軸によってエリアを分割した図(表)を”マトリックス”と呼びます。

その中でも最もシンプルで基本的なものが、2軸で構成された”4事象マトリックス”と呼ばれる2×2のマトリックスです。

4事象マトリックスは非常にシンプルでありながら、あらゆる事象を同一平面上に配置して比較することが可能なため、さまざまな局面で用いられます。

参考に、主なものをいくつか紹介したいと思います。

7つの習慣のマトリックス

7つの習慣マトリックス
スティーブン・R・コヴィーのベストセラーで、世界中で読まれている”7つの習慣”には、”時間管理のマトリックス”と呼ばれる4事象マトリックスが登場します。

このマトリックスでは縦軸に重要度、横軸に緊急度をとることで、人の時間の使い方を整理しています。

この図をみることで、私たちの生活は第一領域と第三領域ばかりに時間をとられてしまっていることがわかり、同時に”緊急ではないが重要な”第二領域活動が本当に重要である、ということに気づかせてくれます。

BCGマトリックス

BCGマトリックス

こちらも非常に有名なマトリックスですので、マーケティングをかじった方は一度はご覧になったことがあると思います。

BCGマトリックスは、名門コンサルティング企業のボストンコンサルティンググループ(BCG)の作ったマトリックスで、縦軸にマーケットの成長率、横軸にマーケットシェアをとっています。

このマトリックスは自社の製品やサービスの内訳(ポートフォリオ)を比較するために使われるフレームワークで、それぞれのポジションごとにどのような事業戦略をとるべきかを示しています。

このマトリックスが作られたのは1960年代後半ですが、今でも多くの企業やコンサルティング会社で使用されています。

ボキャブラ・マトリックス

ボキャブラ・マトリックス

最後は40代以上の方しかピンとこないと思いますが、90年代に放映されたバラエティ番組”タモリのボキャブラ天国”の中で使用されたマトリックスをご紹介します。

この番組は視聴者から投稿された作品を評価するというスタイルで進行しており、作品の評価を視聴者にわかりやすく表現するためにこのようなマトリックスが使用されました。

同じ”面白い”という表現でも”知的な面白さ”と”バカな面白さ”、”渋い面白さ”と”インパクトのある面白さ”を正反対の要素として再現したのが秀逸で、タモリの軽妙な司会もあいまって15年以上続く人気番組となりました。

マトリックス法による発想

マトリックスは分析や整理のためのフレームワークとして使われるケースが多いですが、アイデア発想の手法として用いられる場合もあります。
それが”マトリックス法”です。

マトリックス法はアイデアの発散技法の中でも強制連想法に属し、短時間でとにかくたくさんのアイデアを発想したいときに有効な手法です。

使用されるマトリックスは3×4、5×7など各軸に3つ以上の要素をとることもありますが、ここではわかりやすく2×2のマトリックスを使用した場合について説明したいと思います。

マトリックス法のやり方

マトリックス法は大勢で行うこともできますが、1人ブレスト用のツールとしても非常に有効です。

まず最初に、検討したいテーマにあわせて2つの軸をとります。

2つの軸の組み合わせが変わることで得られるアイデアが変化しますので、まずは考えられる軸の候補をたくさんリストアップし、その中からできるだけ異なる要素の軸を2つ選びます。

次に、それぞれの軸を2つに分けます。

その際、分け方がMECEになるように注意する必要があります。

創田
MECE(ミーシー、ミッシー)とは”モレなくダブりなく”の意味で、Mutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの頭文字をとったものです。
”Aである/Aでない”などの分け方をすることで、簡単にMECEな関係を作ることができます。

 

このようにしてできた4つのフィールドに対して、それぞれ強制的にアイデアを発想していきます。

アイデアを考える視点を絞り込むことで、それまで気づかなかったアイデアの発想を促進します。

発想したアイデアは、そのままフィールドに書きとめたり、ポストイットで貼り付けたりしましょう。

4つのフィールドに対してアイデアを発想し終わったら、その中でよいアイデアをピックアップしましょう。

マトリックス法のポイント

マトリックス法をするうえで、ポイントとなる点は2つあります。

ひとつめは、どのようなケースにおいても必ず4つのフィールドを埋めるという点です。

一見して可能性のなさそうなフィールドが出現することもありますが、そのようなケースでも強制的にアイデアを発想することで新しい知見(インサイト)を得ることが可能です。

ふたつめは、軸をどんどん入れ替えて発想を行うという点です。

なるべく多くの視点からの発想を行うことが重要ですので、個々のフィールドでの発想は”必ず5個以上アイデアを出す”などのルールを決めつつ、時間を区切って短時間で終えるようにするとよいでしょう。

マトリックス法によるアイデア発想の例

では、実際にマトリックス法を使ってアイデアを発想してましょう。

テーマは”新しい洗濯機”です。

ここでは縦軸に機能、横軸に価格を設定してマトリックスを作成してみました。

洗濯機のマトリックス
ここから、それぞれの領域(フィールド)に対してアイデアを考えていきましょう。

昔ながらの日本企業の考え方ですと、まず目にいくのは”多機能かつ安価”を目指す第二領域でしょう。

特に技術者の方は”機能は多いほうが良い、価格は安いほうは良いに決まっている”という考えのもと、無意識にここの領域を目指して開発を行うケースが多いと思います。

実際に、他社にマネできないレベルで”安くて多機能な冷蔵庫”が開発できれば、それだけで多くのニーズを捉えることができるでしょう。

ですが、中国や韓国、台湾メーカとの価格競争にさらされるなかで、安売り競争の土俵に乗ることなく、他社が決してマネできない独自機能を持った”超高性能な商品”に特化するという方向性も考えられます。

それが第一領域の商品です。

価格にさえ糸目をつけなければ、たとえばインターネットに接続して遠隔で操作を行ったり、中に入れた衣類の素材をスキャンして自動的に洗剤や洗濯パターンを変えたり、洗濯と乾燥のあとに衣類を自動的にたたんでくれたりする機能を盛り込むこともできるでしょう。

傷みやすい衣類をやさしく洗うために、職人の手の動きをトレースした”ロボットアームつきの洗濯機”なども考えられるかもしれません。

全く別の考え方で、”低価格・単機能”を目指す第四領域も市場性がありそうです。

キングジム社のプチランドリー”スウォッシュ”(現在は製造終了)のように、オフィスなどで”少しだけ洗いたいものを洗う”というニッチなニーズにこたえる商品も発売されており、アイデア次第でまだまだ可能性がありそうです。

毛皮のマフラー専用の洗濯機やペット用マットのための洗濯機、またはカツラ(ウィッグ)専用の洗濯機なども考えられるかもしれません。

では、最後の第三領域はどうでしょうか。

”高くて機能の少ない洗濯機”に可能性はありそうでしょうか。

通常、特にマトリクスを作成せずにアイデアを発想した場合、ここの領域のアイデアはなかなか出てこないと思います。
(フリーにブレストをおこない、マトリクスに配置してみるとよくわかります)

ですが、あえて強制的にアイデア出してみることで、通常では発想できない新しい気づきがあるかもしれません。

単に洗濯するだけのものに高額を支払うわけですから、なにか特別な付加価値があると想像できますね。

腕時計などは、時間を表示するという機能のみに何百万円も支払うユーザーがいるわけですから、単純にデザイン性を高めたり、所持することをステータスにできる洗濯機とういうアイデアが考えられそうです。

著名なデザイナーにデザインしてもらったり、前面をキャンバスに見立てて直筆のデザインがなされていても面白いかもしれません。

職人が一つ一つ手作りで板金した、美しい曲面で構成された洗濯機や、家具との調和にこだわった北欧風の木製洗濯機、あえてエコロジーにこだわり、電気を使わずに動く洗濯機なども考えられるでしょう。

このように、2つの軸を設定してすべてのフィールドに対し強制的にアイデアを発想することで、新たな発想を短時間で多く得ることができるのがマトリックス法の特徴なのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

マトリックス法による発想は、手のひらサイズの手帳に2つの軸をひくだけですぐに行うことができますので、ちょっとした空き時間にアイデアの発想を行うのに適しています。

軸の選択では、対立する2つの概念を多くあげる必要があります。

参考のため、軸の例をいくつかあげたいと思います。

単純⇔複雑 ネガティブ⇔ポジティブ  熱い⇔冷たい 男性的⇔女性的 ワイルド⇔マイルド 感性⇔理論 グローバル⇔ローカル 変化⇔安定 時間⇔空間 プライベート⇔パブリック 臆病⇔英雄 運動⇔静止 明⇔暗 意識的⇔無意識 右脳⇔左脳 個人⇔集団 快適⇔不快 健康⇔不健康 善⇔悪 進化⇔対価 冒険⇔安全 理想⇔現実 美しい⇔醜い 分割⇔統合 平面⇔立体 愛する⇔憎む 公共⇔プライベート

他にもいろいろな軸が考えられますので、良いヒントを得られる組み合わせを見つけたら、忘れずに記録しておきましょう。

あなたも何かテーマが与えられたら、さまざまな軸をもちいてマトリックス法による発想をためしてみてください。

必ずイノベーティブな発想に結びつけることができるはずです。

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