いつものブレストを進化させる”シックスハット法”がすごい

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こんにちは。アイデア総研の大澤です。

プランナーのみなさん、毎日ブレストをしていますか?

ブレインストーミング(ブレスト)は数多くあるアイデア発散技法の中でも最も有効な手段として、さまざまな場面で活用されています。

ブレストにおいて良いアイデアを生み出すためには、参加メンバーの多様性が重要なポイントなのですが、会社組織の中ではどうしても同じメンバーで行うことが多くなってしまいます。

メンバーが固定化されてしまうと発想の視点がかたよってしまい、ひとつの方向からしかものを見れなくなってしまうことがあります。

また、毎日のようにブレストをするとマンネリ化してしまい、鮮度の高いアイデアなかなかが出なくなってしまうこともあるでしょう。

そんなときに有効なのが、今回ご紹介する”シックスハット法”(Six Thinking Hats)という発想法です。

この方法を使うことで、いつものメンバーで行うブレストに変化を与えつつ、最終的に目的とするゴールにより近づくことができます。

今回は、そんなシックスハット法について詳しく説明したいと思います。

シックスハット法ってなに?

シックスハット法は、通常のブレストを発展させたアイデア発想法のひとつです。

参加メンバーの思考のパターンを決められた6つのパターンで順番にきりかえながら、強制的に特定の視点にたってアイデアを発想していきます。

基本的なルールはブレストと同様ですので、ブレストに適用されるルールはすべてシックスハット法においても適用することになります。

この記事を読み進める前に『本当に使えるアイデアを出すためのブレインストーミングのやり方』をご一読いただくことをおすすめします。

シックスハット法の概要

シックスハット法は、マルタの医師・心理学者・作家・発明家でありコンサルタントでもあるエドワード・デボノ(Edward de Bono)によって開発された思考法です。

デボノ博士は水平思考(ラテラルシンキング)の提唱者として知られており、シックスハット法も水平思考をベースに考案されています。

水平思考とは、問題解決のために既成の理論や概念にとらわれずアイデアを生み出す方法です。
Wikipediaには次のように記述されています。

デボノは従来の論理的思考や分析的思考を垂直思考(Vertical thinking)として、論理を深めるには有効である一方で、斬新な発想は生まれにくいとしている。
これに対して水平思考は多様な視点から物事を見ることで直感的な発想を生み出す方法である。
垂直思考を既に掘られている穴を奥へ掘り進めるのに例えるのなら、水平思考は新しく穴を掘り始めるのに相当する。

引用元:Wikipedia

シックスハット法では、水平思考における”多様な視点から物事を見る”ための手段として、参加メンバーが6種類の色の帽子(シックスハット)を順番にかぶって、それぞれの色ごとに視点や思考を切り替えて発想するという方法をとります。

またシックスハット法では参加メンバーが同一の視点に立って発想を行うため、メンバー間の意思決定のためのツールとしても活用されています。

シックスハット法の特徴

シックスハット法を用いたブレストでは、それぞれの色(ステップ)ごとに全員が同じ視点でアイデアを出し合います。

通常のブレストにおいては、さまざまな観点からのアイデアが同時多発的に出されることにより化学反応(ケミストリー)を生み出しますが、シックスハット法では参加者の視点をそろえることで、論点を定めたり議論の落としどころ(ゴール)を見出したりすることができます。

また、参加メンバーがネガティブな意見を出しがちなケースでも、強制的にポジティブ発想を行うことで創造的なアイデアを出させることが可能です。

大澤
シックスハット法はブレストの発展版ですが、ブレストに対して全ての面で優れているわけではありません。両者の長所と短所を理解したうえで、適宜使用するようにしましょう。

シックスハット法の進め方

シックスハット法では、通常のブレストと比較して課題の設定が極めて重要です。

通常のブレストでは、わりと広範囲のテーマで開始しつつ徐々にテーマを絞り込んでいく・・・という進行が可能ですが、シックスハット法ではあらかじめ”テーマはなにか””ゴールをどこに設定するか”を明確にしておく必要があります。

シックスハット法においてはファシリテーターの役割が非常に重要ですので、書記やタイムキーパーとの兼任が難しい場合には、あらかじめ誰かに依頼しておきましょう。

また、事前に人数分の6色(白・赤・黄・黒・緑・青)の帽子やバッジ、ネームホルダーなどを準備しておくことも必要です。

参加人数は、通常のブレストと同様に4~6人がベストです。

6色のアイテム

シックスハット法という名前どおり、本来は参加者が各ステップごとに同じ色の帽子(ハット)をかぶるのが正しいやりかたです。
ただ、実際にはカラーの帽子を人数分(6人とすると36個)準備するのは容易ではないでしょう。

実質的には帽子をかぶらずに各ステップを行うこともできますが、現実に目の前でアイテムを使用することによって得られる効果があります。
それは”ゲーミフィケーション効果”です。

ゲーミフィケーション効果とは、ゲームの要素をゲーム以外の分野に応用することで、参加者が競争を通じて楽しみながら達成感をもって取り組むことでより良い効果を得られるいうもので、ビジネスの分野においても多く活用されています。

用意できる範囲で結構ですので、参加者全員に色のついた6色のアイテムを配布するようにしたいところです。

きな子
100円ショップなどで折り紙を買って来て、参加者に6つ帽子を折ってもらうと、アイスブレイクにもなって孝石二鳥ですね。

参考:帽子の折り方(おりがみランド)

オリエンテーション

参加メンバーがそろったら、まず今回のセッションにおける課題とゴールについて説明します。

次に、シックスハット法の進めかたやブレストのルール、色ごとの観点および視点(後述)について説明します。
あわせて、帽子やバッジなどの6色のアイテムを配布します。

シックスハット法の進めかた

まず、最初の色である白のアイテムを目の前に置きます。

課題の内容について、色ごとに設定された観点から全員でブレストを行います。

各色(ステップ)ごとの観点でブレストをする際には、なかば強引に同じ視点から意見を出すことが重要になります。
慣れないうちは色の視点から外れた意見が出やすいですので、ファシリテーターがうまく誘導しつつ徐々に目線を合わせていきましょう。

ファシリテーターもしくはタイムキーパーはあらかじめ各色(ステップ)ごとに時間を3分~5分程度で設定しておき、順番に切り替えていきます。

ステップが進行することに、徐々に意見がブラッシュアップされていけば成功です。

各色の視点および効果

シックスハット法においては、それぞれ帽子の色(ステップ)ごとに、議論する内容が異なります。

それぞれの色の役割および順番は、以下のとおりになります。

白の帽子”情報” white hat “Information”

白いハット白は”情報”の帽子です。
課題に関する具体的な数字やデータなどの、事実に基づいた情報を出し合います。

ここでは仮説やアイデア提案などは行わず、必ず事実に基づいた情報のみを出すようにします。
判断や意見も行いません。

現時点で足りない情報について話し合ってもかまいません。

より正確に進めるためには、あらかじめデータを用意したり、ネット検索可能なPCを用意するなどすると良いでしょう。

赤の帽子”感情” Red hat “Emotions”

赤いハット赤は”感情”の帽子です。

直感的にどのように感じるか、本能や主観で意見を出します。
好き・嫌いといった意見でもかまいません。

自分の感情に関する説明は不要ですので、どんどん感じたことを発言しましょう。

単純に「賛成」や「反対」ではなく、「面白い」「びっくりした」「つまらない」「がっかりした」などの具体的な”気持ち”を話すようにこころがけます。

そこから、理論だけでは割り出せない問題点や可能性などを導き出すことができます。

黄色の帽子”楽観” yellow hat “Optimistic response”

黄色いハット黄色は”楽観”の帽子です。

課題の良いところに焦点をあてて、プラス思考で実現する方法を考えます。

良いポイントや可能性はどこにあるのか、課題に対する長所を出し合いましょう。

内心では実現が難しいと思うプランであっても、あえてポジティブに良い面を見つけ出してください。

そして、もしそのプランが実現したらどのようなメリット・利益・恩恵があるかについてもどんどん意見を出し合います。

その際”赤の帽子”の時とことなり、感情だけでなくロジカルに説明するように心がけてください。

黒の帽子”悲観” black hat “Discernment”

黒いハット黒は”悲観”の帽子です。

黄色とはうって変わって、ネガティブな視点で課題を見てみましょう。

論理的な問題点矛盾リスク障害になりそうなものなどの問題点を書き出して洗い出していきます。

どんなにすばらしい案であっても、あえて欠点を探し出してリスクや危険性について話し合ってください。

なお、ネガティブな感情論は”赤の帽子”に含まれますので、ここではネガティブ要素をロジカルに説明するように注意します。

緑の帽子”創造” green hat “Creativity”

緑のハット緑は”創造”の帽子です。

いよいよあなたの本領を発揮して、創造的・革新的なアイデアを発想するステップがきました。

課題をどのように実現するのかについて、通常のブレストと同様にどんどんクリエイティブなアイデアを出していきましょう。

いきなりブレストに入る場合と違って、課題に対するポジティブ・ネガティブな意見が出そろっていますので、良い面を生かす方法やリスクを乗り越える方法など、現実的で実行可能なアイデアを出すことができるはずです。

ここまでのステップと異なり自由に発言することが可能ですので、ネガティブな意見・ポジティブな意見のどちらが出てもかまいません。

またどうしても課題の実現が難しい場合には、代替案を出すようにしましょう。

場合によっては、ここで新しい課題が見つかり、はじめからやり直すこともあり得ます。

最終的にピックアップされるアイデアはこのステップ出ることが多いですので、アイデアが出尽くすまで時間をかけるようにしましょう。

青の帽子”管理” blue hat “Managing”

青いハット青は”管理”の帽子です。

ここまでのステップがうまくいっているかを、一度振り返って確認します。
その際、初めに設定した課題とゴールに対して、ここまでの議論が正しく進んでいるかを照らし合わせてください。

ここでは主にファシリテーターが中心となって確認を行いますが、必ず全員が青い帽子をかぶるようにしてください。

基本的には最後の段階で青のステップを行いますが、各ステップの途中でプロセスがうまく進行していないと感じたら、ファシリテーターが”青の帽子”を宣言して、いったん話を整理するという使い方もできます。

最終的なゴール

ここまでのプロセスを正しく進めることができていれば、あらかじめ設定しておいた課題に対するゴールとなるアイデアが出ていることと思います。

基本的には、緑のステップにおけるアイデアをブラッシュアップするという方向で、リスクや危険性と照らし合わせつつ実現可能になるように検討を進めていきます。

その際、ステップが孝周した後にファシリテーターの判断で黄や黒のステップにもどって照らし合わせてみたり、赤のステップで感情的評価にかけてみたり、白のステップでデータを照らし合わせてみたりと、ブラッシュアップに必要と思われるステップにもどってみるとよいでしょう。

シックスハット法のポイント

シックスハット法における6つのステップの順番は白→赤→黄→黒→緑→青が基本ですが、必ずしもこの順番で行わなくてもかまいません。
ファシリテーターが全体の進行を確認し、順番を入れ替えてみたり、同じステップを繰り返してみたりすることも可能です。

また、孝回のセッションで必ずしもすべてのステップを行う必要はありません。
メンバーが課題に対して十分にポジティブな場合は黄のステップは不要ですし、ネガティブな場合は黒のステップは不要です。
順調に進んでいるようであれば、青のステップも必要ありません。

時間の管理も非常に重要ですので、各ステップごとに制限時間を設定しつつ、テンポよく進行するように心がけましょう。

大澤
シックスハット法においては”ゲーミフィケーション効果”を最大化する必要がありますので、参加者が”なりきりゲーム”に参加している気分になるように、楽しい雰囲気を作っていきましょう。

シックスハット法の応用

以上が基本的なシックスハット法の進め方ですが、この手法は様々な応用が可能です。

そもそもは多角的な観点からアイデアを出すことが目的ですので、ここさえおさえておけば自由にアレンジをしても問題ありません。

基本的な進め方では参加者全員が同じ帽子をかぶっていましたが、ひとつのステップのなかであえて違う帽子をかぶってみるのも面白いやり方です。

たとえば参加者を2グループにわけて、違った色の帽子をかぶってみましょう。

白のグループと赤のグループにわけると、ロジカルな意見と感情的な意見が同時に出ることによって個々の情報が消費者(ユーザー)にどのように届くかのヒントを得ることができるでしょう。

また黄のクループと黒のグループにわけると、創造的なアイデアと問題点を同時に議論することができ、一気に内容をブラッシュアップすることが可能です。

その際、わざと参加者本来の性格と異なる帽子をかぶせてみると(ロジカルな性格の人は赤、ネガティブな性格の人は黄など)参加者自身の視点も広がり、得るものが多くなります。

もっと進めて考えると、参加者全員が別の色の帽子をかぶるという方法もあります。

この場合はファシリテーターが全員の属性を管理することが難しいため、参加者がシックスハット法に熟知しており、それぞれの色の役割を十分に把握している必要があるので上級者向けといえるかもしれません。

色を選ぶ際にくじ引きをおこなったり早いものがちで選ばせると、ゲーム性が高まりゲーミフィケーション効果をより強く得ることができます。

さまざまな観点からアイデアを出すという意味では、なにもこの6色に限定して属性を決める必要もありません。

たとえば誰もが性格をイメージできる有名人になりきってアイデアを出してみるというのはいかがでしょうか。

やり方としては、特定の人物のお面を作成し、参加者はその人物になりきったつもりでお面をかぶりながらアイデアを出します。(人物のカードを配布してもかまいません)

たとえば・・・

織田信長なら、合理主義・冷徹・新しいもの好き
豊臣秀吉なら、要領が良い・アイデアマン・お調子者
徳川家康なら、気が長い・真面目・腹黒い

スティーブ・ジョブスだったら?
ビル・ゲイツだったら?

またはあなたの会社の部長だったら?社長だったら?

どんなアイデアを出すでしょうか。

のび太くんや夜神月などの架空のキャラクターでもかまいません。

参加メンバー全員が性格を熟知している人物であれば誰でもかまいませんので、意外性のある人物をセレクトしてみましょう。

きっと思いもよらないアイデアにめぐりあえると思います。

そのほかにも、1人でのアイデア出し(1人ブレスト)の際に使用してみるのも面白い使い方です。

自分だけでアイデアを考える場合は当然一人分の脳で発想することになりますが、思考パターンを強制的に切り替えてみることで、あなた自身も驚くような意外性のあるアイデアが出るかもしれません。

発想の視点を広げる練習にもなりますので、ぜひトライしてみてください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

シックスハット法を一度やってみるとわかりますが、いつものブレストが別物のように活性化されて、熱のこもったセッションを行うことが可能です。

また、ファシリテーションを上手に行えば、通常のブレストと比較してより実効性の高いアイデアを得ることができます。

そのため、企画書作成やプレゼンまでの期限が迫っている場合には、非常に有効な手段となりえます。

アイデアの発想法(発散技法)には、実にさまざまなものがあります。

それぞれ孝長孝短がありますが、手法を変えると新鮮な気持ちでアイデアの発想ができ、そこから新しいアイデアが生まれてくることもよくあります。

もしあなたが最近アイデアがマンネリだと思うようでしたら、いろいろな手法をためしてみるとよいでしょう。

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