こんにちは、アイデア総研の大澤です。
この記事を開いてくれたあなたは、商品企画の仕事に興味を持たれている方だと思います。
これから就活を行う学生の方もいらっしゃるでしょうし、別の職種から商品企画職への転職を考えている方もいるでしょう。
中には社内異動での商品企画部への配属を虎視眈々と狙っている方もいるかもしれません。
一般に商品企画職はメーカーの花形であり、非常に人気の高い職種です。
その理由は”企画職=クリエイティブでやりがいのある仕事”というイメージがあるのが原因ではないでしょうか。
ですが、実際に商品企画の仕事はどのようなものなのか、いまひとつわからない方も多いと思います。
今回は自身の経験をもとに商品企画の仕事がどのようなものかについてご紹介させていただきます。
商品企画職ってどんな仕事?
私はB to Cの孝部上場消費財メーカーにて15年以上商品企画に携わりました。
また企画開発系社員の採用に関っていたこともあり、のべ数百人の就活生を見てきました。
その中で感じたことは、メーカーへの就職希望者における商品企画職の人気の高さです。
メーカー就活生の大半は、本人の学歴やキャリアに関係なく、商品企画職への配属を希望します。
しかし実際に話をきいてみると、商品企画の仕事がどのようなものがイメージできている学生はまれで、ただ単に”クリエイティブで楽しそう”といったイメージのみを持っている学生がほとんどでした。
では実際のところ、商品企画職の仕事はどのようなものなのでしょうか。
企画系職種にはどんなものがあるの?
商品企画職は1つの職種のジャンルとして語られることが多いですが、職種の区別は各企業ごとにまちまちです。
実際に”商品企画職”として分類されている企業もありますし、単に”企画職(プランナー)”と呼ばれることもあります。
類似している職種としては
- 開発職
- 研究職
- デザイン職(デザイナー)
- マーケティング職(マーケッター)
などがあります。
企画職と開発職が分かれるケースでは、商品の”どのようなものにするか?”を企画職が担当し、”どうやって作るか?”を開発職が担当します。
これら両者はそれぞれ独立して”企画職が考えたものを開発職にバトンタッチする”というよりは、お互いに連携して役割分担をしつつ業務を行います。
また企画職と開発職があわさり企画開発職として商品開発プロセスのほとんどを担当するケースもあります。
場合によっては企画職という職種が存在せず、商品の基礎研究と開発プロセスを担当する研究開発職が企画職をかねることもあります。
またマーケティング部門と開発部門が分かれている場合は、前者はマーケットイン・後者はプロダクトアウトの視点から、それぞれが商品企画を行います。
おおむね規模の大きなメーカーほど職種が細分化されており、小規模なメーカーではこれらすべての機能をあわせて商品企画職とする場合もあります。
もし就職や転職したい企業がある場合は、事前にその会社の職種分類について調べておくとよいでしょう。
新規事業開発と既存事業開発ってどう違うの?
メーカーの商品開発部門は、目的にあわせて大きく2つに分類されます。
1つは新市場開拓を目的とする新規事業開発、もう1つは現在ある商品ラインやブランドの新規商材を開発する既存事業開発です。
これらは同じ商品開発でも特性が大きく異なります。
前者は”どこの市場を狙うべきか”からスタートする必要があるため、市場調査に多くの予算と人員を割きます。
必要とされる企画も、戦略レベル(どこを攻めるか)のものが中心となり、また実際に商品化されて発売されるまで3~5年程度かかる場合もあります。
一方ですでにある市場に向けて”どうやってシェアを拡大するか”を考える既存事業開発では、商品機能の強化やコストダウンなど、戦術レベル(どう戦うか)の企画が必要となります。
企画から商品化までの期間も1~2年程度と短くなる場合が多く、短期的に結果が求められます。
それぞれ内容は異なりますが、どちらもメーカーにとって根幹となる重要な機能になります。
企画職に共通する役割って?
このように同じ商品企画職であっても、職種や開発部門によって業務の内容は異なります。
例えば商品開発プロセスの中でデザインが大きなウェイトをしめる場合は、企画職がデザイナーを兼ねるケースもあります。
また商品開発プロセスで技術系のウェイトが大きい場合には、企画職にエンジニアの素養が必要となる場合もありますし、新規事業開発の企画担当者はマーケッターとして消費者のニーズを探る役割をかねます。
しかし、仕事の範疇は異なっていても企画職に共通する部分もあります。
たとえば私自身はデザインを行わずデザイン業務を外部のデザイナーに発注していましたが、最終的に”どのようなデザインにするか”を考えるのは自分自身で行う必要があります。
また企画を進めるの中で技術的な課題がある場合は、社内のエンジニアに確認するなり社外の研究機関や大学などに開発協力を求めるなどの動きを取る必要があります。
どのような開発プロセスをとるにせよ、自分自身がプロデューサーとなって自分のアイデアを具現化することが最終的な目標となります。
商品企画職の最も重要な役割は?
B to Cメーカーの企画担当者は職種名や仕事の進め方に関わらず、商品企画職のコアとなる部分は共通です。
それは”ユーザー(コンシューマー)にどのような価値を提供するか?”を考えるという部分です。
そのために
- アイデアを考え
- 企画としてコンセプトに落とし込み
- 企画書を作成し
- プレゼンテーションを行う
というプロセスはどのような場合であっても共通です。
この部分の能力を磨くことが必要ですし、また商品企画職を目指す場合にも身につけておくべき必須のスキルであるといえます。
実際の現場はどんな感じ?
では商品企画職の現場はどんな仕事をしているのでしょうか。
ドラマや映画などに出てくる企画職は、自由でラフな服装をし、広々とした開放的なオフィスでMacを広げながらアイデアを練っている・・・というのが典型的なイメージだと思います。
対照的に営業職や事務系の職種は、スーツを着て毎日地味なルーチンワークをしている・・・というようなイメージで見られがちですので、メーカー志望の就活生の人気が商品企画職にかたよるのではないでしょうか。
では実際のところはどうでしょうか。
商品企画職はやっぱりクリエイティブ?
商品企画職は本当にクリエイティブで自由度の高い仕事なのでしょうか。
ネット上で商品企画職について調べると、たいていは”そんなに甘いものはない”という話が書かれています。
ですが、私のイメージとしては”当たらずとも遠からず”というところだと思います。
私自身は新市場の開拓を目的とした新規事業開発の商品企画担当でした。
パソコンこそMacではなくWindowsでしたが、ほぼ毎日ひたすら新商品の企画を考え、企画書を書き続けるという絵に描いたような企画の仕事をしていました。
私の所属部門では定期的に行われるプレゼンテーションの場で結果さえ出せば、それまでの過程は裁量に任されていましたので、勤務時間中に映画を見たりイベントを視察したりと自由に情報収集活動を行うことができました。
私は社外の人と話をする中でアイデアのヒントをもらうことが多かったので、あまり席に座らずに積極的に外に出て人と話すような企画スタイルをとっていました。
企画のスタイルは人によって異なりますので、デスクに座ってひたすらパソコンに向かう人もいますし、チームでのアイデア会議を一日中行っている部署もあります。
また企画部は社内的にもある種独特の文化が醸造されており、上下関係にゆるく自由な発言をしやすいようなムードがあります。
服装に関しても、営業職はスーツが基本なのに対し、企画職は自由であるケースが多いようです。
たいていのメーカーでは、企画職はあまり締め付けずに自由にさせておいたほうが良い企画が出やすい、ということを経験から学んでいるのかもしれません。
職場環境は会社によって異なりますが、いずれにしろ企画職が自由度が高くクリエイティブな仕事であることは確かだと思います。
企画の仕事はやりがいがある?
商品企画職を希望する方のコメントで多いものに、”仕事が楽しくやりがいがありそう”というものがあります。
実際に、企画職はやりがいのある仕事であることは確かです。
B to Cのメーカーであれば、自分の手がけた商品が市場に出てユーザーの手に渡るという、モノづくりの醍醐味を味わうことができます。
実際に店頭で販売するような商品を企画しているのであれば、企画担当者自らが売り場に立って商品を販売することもあります。
商品の企画は一つの商品を一人で担当する場合もありますし、数十人のチームで一つの商品を担当することもありますが、いずれにしろ自分の担当した商品が形になりユーザーの手にわたるという経験は最高にエキサイティングなものです。
もちろん担当した商品が市場に並ぶまでは、開発部門や生産管理部門、広報部門や営業部門といった多くの人たちの手を借りているわけですので、全てが自分たちの力だけで成り立っているわけではありません。
決して自分たちだけでモノづくりができるわけではないということを理解し、各部門とのコミュニケーションを円滑に進めることも重要です。
入社後にすぐにやれるの?
商品企画の仕事は、一般的に入社後は営業部門で経験をつんでから適正を見て・・・ということも多いようですが、こちらもケースバイケースです。
私は新卒から商品企画部門に配属され、以来企画一筋で業務を行っていましたので営業経験はありません。
それが良いか悪いかはわかりませんが、少なくとも若いうちから企画の経験を積めた点や、営業や流通を見て企画をするのではなくあくまで”ユーザー視点で企画をする”ということに早い段階で気付けた点はメリットだったと思います。
(もちろん営業職などの経験がプラスに働いているケースも多く見られます)
企画職は経験が重要な意味を持つ経理や法務といったスタッフ系の職種と異なり、実力主義で若いうちからも活躍するチャンスが大いにあります。
人によっては一年目からエース級の活躍をするケースもありますが、これも企画職ならでは特徴ではないでしょうか。
結局企画職には何が必要なの?
では結局のところ、企画職に一番必要なものは何なのでしょうか。
まず前提としてアイデアの発想力は必須です。
プロであれば1つのプロジェクトに対して数百のプラン(アイデア)を作成し、そこから絞り込んでいく・・・というプロセスを一年中続ける必要があり、これをずっと継続できるという能力が必要です。
つねに新しいアイデアを考え続けるわけですから、アイデアの発想自体がよほど好きでなければ務まりません。
また同じ商品企画職であっても、100人いれば100人が異なった能力を持っています。
社内に多くの企画職がいるなかで自分の個性を出すためには、他の人とは違うという何らかの差別化が必要です。
つまり、自分だけしか持っていない”何か”を持つ必要があります。
それは営業や開発の経験から来るものかもしれませんし、デザインスキルであったり情報収集力であったりプレゼンテーション力であったりします。
個性的な人間が多く集まる中で、さらに抜き出るための強烈な個性が必要になる職種といえるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
商品企画職はみんなの脚光を浴びてプレゼンテーションをする・・・という派手なイメージがあるかもしれませんが、業務の大部分は市場調査や企画書作成、他部署との折衝や調整といった地道で泥臭い作業が中心になります。
またアイデアの発想は業務時間内外を問わず、通勤中や帰宅後であっても休日であっても行う場合はほとんどです(常にアイデアのヒントを探し続けている状態といえます)。
そういう意味では皆さんの持つイメージと異なる部分もあるかもしれません。
決して楽な仕事ではありませんが、商品企画職がエキサイティングでやりがいのある仕事であることは間違いありません。
商品企画の仕事を目指す方は、まずはアイデアの創造力・発想力のトレーニングからはじめてみてはいかがでしょうか。
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