こんにちは、アイデア総研の大澤です。
みなさんは、これまでにない新しいアイデアやコンセプトを求められたとき、どのような方法でアイデアを発想しますでしょうか。
今あるものを改善・改良するのと異なり、全く新しいものを0から生み出すことは容易ではありませんよね。
常に新しいアイデアを求められる広告代理店業界では、そのようなときにコンスタントに新規性のあるアイデアを出すためのメソッドが存在します。
今回は大手広告代理店・株式会社電通で使用されているアイデア発想メソッド”ぐるぐる思考”について詳しくご紹介したいと思います。
ぐるぐる思考を身につけ、発想力を鍛えましょう!
電通流”ぐるぐる思考”とは
電通流の発想法”ぐるぐる思考”のベースになっているのは、アイデア発想に関する古典的名著であるジェームス・ヤングの『アイデアの作り方』のなかで述べられているアイデア発想の5つのプロセスです。
ジェームス・ヤングは、彼の著書『アイデアのつくり方』の中で、以下の5つの段階を経てアイデアが生まれると述べています。
第1段階:資料の収集
第2段階:資料の咀嚼(そしゃく)
第3段階:問題の放棄
第4段階:アイデアの誕生
第5段階:アイデアの適用
これらの5つのプロセスをより実践的に、現在風にアレンジを加えて誕生したのが、電通流の”ぐるぐる思考”なのです。
ぐるぐる思考の生い立ち
ぐるぐる思考は、クリエイティブの最前線といえる広告代理店の中でも日本最大手の株式会社電通で日常的に使われているアイデア発想法です。
ぐるぐる思考は電通のクリエイティブディレクターである山田壮夫氏が電通内の現場で実際に行われるプロセスを観察し体系化し作成しました。
くしくもジェームス・ヤングも広告代理店の出身ですが、広告代理店は常に数多くクリエイティブワークを同時にこなさならないという業務の特性上、アイデア発想法の開発に熱心な業界であるといえるでしょう。
ぐるぐる思考は実務の中で育まれたメソッドですので、あらゆる業界で創造的な業務をしている方に有用な手法です。
もちろん、商品開発やWEBプランナーなど直接的に企画携わる方にとっては、今日からすぐ役立つでしょう。
ぐるぐる思考とは
ジェームス・ヤングの提唱した5つのプロセスのうち、最も特徴的なものが第3段階の”アイデアの放棄”です。
アイデアの放棄のプロセスでは、いったん検討を重ねた問題から離れて、ひらめきが生まれるのをひたすら待ちます。
このプロセス自体はアイデア発想に有効なものではありますが、いかんせん時間がかかるという欠点があります。
現在社会でわれわれがこなしている膨大な仕事量をこなすため、アイデアのひらめきを強制的におこすための方法が”ぐるぐる思考”です。
では、具体的にやり方をみてみましょう。
ぐるぐる思考の進め方
ぐるぐる思考は、次の4つのプロセス(モード)から成り立ちます。
ステップ1:”感じる”モード
ステップ2:”散らかす”モード
ステップ3:”発見!”モード
ステップ4:”磨く”モード
事前の準備として、あなたがこれから取り組むべきプロジェクトに関する”常識”について考えておきます。
あなたが考えるべきなのは従来の常識を飛び越えたイノベイティブなアイデアですので、飛び越えるべき現在の常識について知っておく必要があります。
まずはできる限りの今の常識に関して情報を集めておきましょう。
準備ができたら、いよいよぐるぐる思考のスタートです!
ステップ1:”感じる”モード
感じるモードは、プロジェクトに関する情報を集める段階です。
この段階では、情報の選り好みをせずに多角的に収集することが大切です。
考えうる限り、ありとあらゆる情報を集めましょう。
ジェームス・ヤングは、これらの情報を”特殊情報”と”一般情報”にカテゴリーわけしています。
”特殊情報”とは、今回のプロジェクトに特化した直接的な情報です。
対する”一般資料”は、プロジェクトの内容と直接的には関係ない、世の中のあらゆる情報をさします。
(詳しくは『「ユリーカ!」を生み出すためのアイデアひらめきの法則』をご確認ください)
”感じる”モードにおいても同様に、これら2種類の情報が等しく必要になります。
ここで重要なポイントは、情報のよしあしを判断しないという点です。
現時点では何に役立つかわからないような情報でも、発想を展開するうちに必要なピースになることもあります。
まずは、世の中のありとあらゆる情報を頭の中に取り入れていきましょう。
もう入りきらない!というところまで情報をインプットできたら、次のステップに進みます。
ステップ2:”散らかす”モード
次のステップは、集めた情報を頭の中であれこれと考えをめぐらします。
ただ闇雲に考えるのではなく、ここで考えるべき点は”消費者(ユーザー)の心を動かすためのにはどうすればよいか?”という点です。
消費者の心について考えるためには、あなた自身が消費者のイメージを明確につかみ、その人になりきって考える必要があります。
これは簡単なことではありません。
人の心は複雑なもので、暖かさと冷たさ、頑固さと素直さ、合理性と非合理性など、相反する要素を同時に持っています。
ですので”この消費者はこう考えるに違いない”などと直線的に考えるのは非常に危険です。
そのため、ああだこうだと頭の中で”一人ブレスト”を行い、答えをさがしていきましょう。
とにかく答えを急がずに、行ったりきたりしながら徹底的に悩みぬきましょう。
悩めるだけ悩んで頭がグシャグシャになったら、次のステップに進みます。
ステップ3:”発見!”モード
このステップでは、いよいよ散らかった頭の中から課題を解決するためのアイデアを導き出します。
まさしく「ユーリカ!(Eureka/分かった!)」の瞬間です。
ジェームス・ヤングのアイデア発想の5段階ではひらめきの訪れる瞬間を”待つ”という手法をとっていましたが、ぐるぐる思考では意図的にこの瞬間を引き入れます。
ここが両者の最大の違いです。
最初の2つのステップではプロセスを感覚的に進めていましたが、ここからは論理的に進めていくことが重要です。
キーワードは”整理”です。
もう一度あなたがプロジェクトで目指すべきゴール(目標)に目を向けてみましょう。
目標の達成のために、どんな課題が考えられるでしょうか。
目標を達成するための手段が”課題”であり、課題を解決する手段が”アイデア”です。
逆から見ると、アイデアの目的が課題、課題の目的は目標になります。
ステップ2まで頭の中でいろいろと考えていた情報を紙に書き出し、平行してプロジェクトの目標を課題を整理してみましょう。
課題を解決するための手段として適切なのはどのアイデアか、そのアイデアは実際に課題を解決することができるのかを考えながらピースを入れ替えていきましょう。
ピッタリとあてはまるピースこそが、求めているアイデアになります。
目的と課題に論理的に整合するアイデアがみえたら、いよいよ最後のステップに移ります。
ステップ4:”磨く”モード
最後のステップは、ステップ3で得られたアイデアに磨きをかけるモードです。
アイデアを具体的な実行プランとして落とし込むことを目的とします。
落としこむ形はプロジェクトによって商品であったりサービスであったりと異なりますが、アイデアと具体策をぐるぐると行ったり来たりしながら実行可能な形に徐々に磨きこんでいきます。
ここでのポイントは、プロフェッショナルの力を借りるという点です。
ステップ3までは主に個人での作業になりますが、最後のステップは各分野のプロフェッショナルの力が必要になります。
プロジェクトに応じて、デザイナーやマーケッター、エンジニア、営業担当など各分野の専門家に協力を仰ぎ、アイデアを具体的に実行できるプランにまとめていきます。
そのためには、メンバー間でアイデアやビジョンを共有できるように、わかりやすい言葉でコンセプトに落とし込む必要があります。
アイデアがイノベイティブなものであるほど、イメージの共有は難しいものになります。
あなた自身が粘り強くメンバーと意思疎通を行い、ぶれることのない一貫したコンセプトをまとめていきましょう。
決して妥協することなく磨きこみを行えば、プロジェクトを成功に導くための具体策が見つかることでしょう。
ぐるぐる思考は続く
ここまでがぐるぐる思考の4つのステップですが、このままでは”ぐるぐる”とつく意味が不明確ですね。
実はぐるぐる思考はここで終わりではありません。
ステップ4で得られた具体策を実行することで、また多くの情報、知見を得ることができますので、それをもとにステップ1の”感じるモード”に入ります。
この”ぐるぐるサイクル”を何度も繰り返すことで、アイデアやコンセプトはよりブラッシュアップされますし、あなた自身の創造性も間違いなく高まることでしょう。
これこそが電通流ぐるぐる思考の本質です。
ぐるぐる思考を活用し、あなたの身の回りにイノベーションを巻き起こしていきましょう!
まとめ
いかがでしたでしょうか。
クリエイティブの最前線の現場の観察で得られた”ぐるぐる思考”は、実践的であるという面で他のアイデア発想法と比較して優れています。
また、すぐに一人でもはじめることができますので、まずはあなたが今抱えているプロジェクトで活用してみましょう。
『今日からできる!あなたの創造性を育むための7つの方法』でも触れましたように、創造性や発想力は生まれ持って上限が定められているものではなく、後天的に伸ばすことが可能な能力です。
ぐるぐる思考は発想力を鍛えるトレーニングとして最適です。
ぐるぐる思考をアイデア発想に取り入れ、新しいアイデアがどんどん湧き出てくるような”アイデア体質”を目指しましょう!
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