『ポケモンGO』を生み出したエイプリルフール発想法にチャレンジ!

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こんにちは、アイデア総研の大澤です。

この記事を書いている2016年7月現在、世界中で孝大ブームを巻き起こしている『ポケモンGO』の待望の日本版が配信されました。

街中にはスマートフォンを片手にポケモンを探し回る人々があふれ、メディアの話題はポケモンGOで持ちきりという状況になっています。

その影響はただのゲームというレベルにとどまらず、関連株の急騰や地方創生への期待など実経済や政治にも大きな影響を与え始めています。

今後もゲームの歴史のなかで語り継がれるであろう『ポケモンGO』ですが、誕生のきっかけがエイプリルフールの企画であったことをご存知でしょうか。

今回は『ポケモンGO』の誕生秘話から、その発想のメカニズムを学びたいと思います。

題して”エイプリルフール発想法”です。

ポケモンGO誕生の秘密

ポケモンGO世界的な大ブームを巻き起こしている『ポケモンGO』は、任天堂と『Ingress(イングレス)』Niantic(ナイアンティック)社がタッグを組んで開発したゲームコンテンツです。

ベースとなったIngressは、もともとGoogleの社内プロジェクトで生まれたオンラインの位置情報ゲームです。

運営会社のNiantic社は2015年8月にGoogleよりスピンアウトし、ポケモンGOの開発に専念しています。

Ingressのサービスが正式に開始したのは2013年の12月で、2016年の時点でプレーヤーは200ヶ国以上にわたり、ダウンロード数は1400万回以上を超える大ヒットを記録しています。

日本でも配信されているのですでにプレーされている方も多いとは思いますが、ご存知のようにIngressは現実世界を舞台にした”オンラインの陣取りゲーム”といえる内容になっています。

全てのプレーヤーは2つの陣営に別れ、現実世界をスマートフォンを片手に移動しながら”ポータル”と呼ばれる拠点を取り合います。

この”ポータル”は世界中に500万箇所以上存在し、現実世界におけるランドマーク(記念碑や彫刻、公共施設など)が選ばれています。

この現実世界と仮想世界の融合こそがIngressの最大の面白みであり、ユニークなポイントとなっています。

Googleのエイプリルフール企画

毎年4月1日のエイプリルフールには世界中の企業がWebサイト上でウソの企画を発表し話題を競い合っていますが、Google社も知る人ぞ知る”エイプリルフール悪ノリ企業”のひとつです。

2008年のエイプリルフール企画”ダジャレサーチβ”は検索窓にキーワードを入れるとダジャレが表示されるというシンプルなものでしたが、年々悪ノリが激しくなり2010年には”日本語入力キーボードドラムセット”のプロトタイプを本当に作ってしまったり、2012年の”ドラクエ版グーグルマップ”はその完成度の高さで話題となりました。

そして2014年のエイプリルフール。

『Googleマップ ポケモンチャレンジ』という企画がネット上で大きな話題を呼びました。

その企画自体の面白さもさることながら、公開されたムービーの完成度と本気具合に「面白い!」「やってみたい!」「実現して欲しい!」という多くの声が世界中からあがりました。

ポケモンGOの開発元Niantic社のジョン・ハンケCEOは、インタビューで次のようにのべています。

『Googleマップ ポケモンチャレンジ』は、当時Nianticの親会社だった米Googleが、任天堂が出資するポケモンに話を持ち掛けたことで実現したという。「ポケモンとGoogleマップの組み合わせはチョコレートとピーナツバターのように相性が良く」(ハンケ氏)、人気があった。

 これをきっかけに、Nianticが任天堂とポケモンにPokemon GOのアイデアをプレゼンし、ポケモンの石原恒和CEOがIngressのハイレベルプレイヤーであったことも助けになって話が進んだという。 ”

引用元:ITmedia

55歳の若さで亡くなった当時の任天堂社長・岩田聡氏も、このプロジェクトを強力にバックアップしていたそうです。

岩田さん自身が”子供たちが外で遊べるゲームをつくりたい”という思いをこの企画にこめていたという話も残っており、そんな彼がまいた種がようやく花開いたといえるでしょう。

ここで注目したい点は、『ポケモンGO』がもともと商売をすることを前提に考えられたアイデアではないという点です。

企業が発信するエイプリルフールのネタは話題づくりのためであり、”見るものを楽しませる”というシンプルな目的のもとに考えられるものがほとんどです。

Googleのエイプリルフールの企画も、毎年のものを見る限りビジネスや実現性、費用対効果などを度外視して”ユーザーを楽しませる”ことのみを目的にしていることがわかります。

そんなアイデアのひとつとして、『ポケモンGO』は誕生したのです。

動画をみていただければわかりますが、『ポケモンチャレンジ』は『ポケモンGO』と全く同じものではありません。

”現実世界を歩き回ってポケモンを捕まえる”という基本コンセプトは共通していますが、ARのドラマチックな効果やスマートフォンの加速度センサーを使った大胆なアクションなどの点で『ポケモンチャレンジ』のアイデアを『ポケモンGO』では孝部しか再現できていません。

しかし、はたしてはじめからビジネスとして着地させるつもりで”できること”のみからアイデアを発想した場合、このような魅力的な企画が実現したでしょうか。

エイプリルフールから生まれたポテトチップ

ワロスパンチ2016年の4月に、全国のコンビニエンスストアで見慣れない奇妙なパッケージのポテトチップが発売されました。

カルビーのポテトチップ『コンソメW(ダブル)パンチ』は普段はまともなパッケージで販売されていますが、2016年のエイプリルフールのネタとして発表された『ポテトチップス コンソメW(ワロス)パンチ』の案がそのまま商品として発売され話題となりました。

\笑いが止まらない!?/ポテトチップス コンソメW(ダブル)パンチが『ポテトチップス コンソメW(ワロス)パンチ』に!世界最笑のワライダケから摂れる成分“ワライガトマランゴ” 配合!

引用元:Calbee(カルビー)公式Twitter

この商品は発売のタイミングがエイプリルフールから近かったことから、あらかじめ商品化が決まっていたアイデアであったと推測されます。

ですが、もともとはエイプリルフール用のアイデアを考える中で、どうすればユーザーに楽しんでもらえるかを考えた中ででた”悪ノリ”が、そのまま商品化になったのではないでしょうか。

あの話題の映画も元ネタもエイプリルフール?

映画ポスター2016年6月に公開された映画『貞子vs伽椰子』

ジャパニーズホラーを代表する2大ヒロイン?がまさかの競演をするということで、大きな話題を呼びました。

貞子の登場する『リング』シリーズはKADOKAWA、伽椰子の登場する『呪怨』シリーズはNBCユニバーサル・エンターテイメントと権利元が異なるにもかかわらず実現した強力タッグには、ホラー映画ファンならずとも度肝を抜かれました。

このウソのような映画も、元ネタは2015年のエイプリルフールの企画でした。

アイデアを考えたのは2015年6月公開の『呪怨 -ザ・ファイナル-』の宣伝チームです。

この映画の宣伝のためのエイプリルフール企画として、「もし呪怨シリーズの次回作があるなら何が面白いか」を酒を飲みながら談笑している場で、満場一致で決まったアイデアがきっかけになりました。

その翌日に『リング』の権利元に打診したところ快くOKが出たため、エイプリルフール向けのプロジェクトとして本物さながらのポスターやティザーサイトが作られました。

その後のあまりの反響に、では本当に作ろうかという話になって製作がスタートし、翌年にこの”世紀の悪ノリ映画”が本当に公開されることとなりました。

共通するポイント

これらの例に共通するポイントは”見るものを楽しませたい、ビックリさせたい”というシンプルな思いが出発点になっている点です。

ビジネスにおいてはスタートの時点から”ビジネスとしての成功”がプロジェクトのゴールとして設定されるケースがほとんどですので、大きな失敗しないために”実現可能な無難なアイデア”を選択してしまいがちです。

エイプリルフールのためのネタ作りという観点からアイデアを発想することで、この”無難なアイデアの壁”をブレイクスルーすることが可能になります。

では、実際にこのやり方をアイデア発想法として落とし込んだらどのようなものになるでしょうか。

エイプリルフール発想法にチャレンジ!

エイプリルフールのネタからアイデアを発想するメリットには、次のようなものが考えられます。

・常識にとらわれない”自由で創造的な発想”ができる
・純粋に”ユーザー目線”で発想ができる
・エッジのきいた”尖ったアイデア”が生まれやすい
”大きなビジョン”を描くことができる
・メンバー自信が楽しみながらプロジェクトに取り組める

これらのメリットを生かすために、以下のような進め方をしてみましょう。

エイプリルフール発想法の準備

発想法に”エイプリルフール”ということばが入っていますが、何も実際にエイプリルフールに発信するためのアイデアを考える必要はありません。

エイプリルフールのネタを考える”つもり”になって、一種のロールプレイとして取り組んでみましょう。

まず参加メンバーですが、3~4人の少人数のチームで取り組むのがよいでしょう。

人数が多いとメンバー間の意見の調整が必要になってしまうため、エッジのきいたアイデアが出にくくなってしまう傾向があります。

もし6名以上で行いたい場合には、少人数でチームをわけてコンペ方式をとるとよいでしょう。

エイプリルフール発想法の進め方

この発想法のポイントは、いったん業務であるということを忘れて、メンバー内で”バカ話”をするつもりでアイデアを出すという点にあります。

通常の会議のように決まりきった会議室で行うよりも、リラックスできる休憩室や社外のカフェ、もしくは就業時間外に飲み物やスナック菓子を用意して行うのが良いでしょう。

進め方は基本的にはブレインストーミングに準じた方法をとります。

もしミーティングが盛り上がるようでしたら、そのままアルコールの飲める店に移動してアイデア出しを続けましょう。

ポイントをまとめると

・少人数の気心の知れたメンバーで行う
・メンバー全員がリラックスした気分になれる場所を選ぶ
・ブレストに準じた進め方を行う
・冗談やバカ話、悪ノリを許容する
・盛り上がったらアルコールを取り入れてみる
・業務を忘れ、とにかく楽しい気分で行う

これらの点に注意して進行してみましょう。

大澤
ブレインストーミングの進め方については『本当に使えるアイデアを出すためのブレインストーミングのやり方を参考にしてください。

アイデア出しの内容

エイプリルフール発想法で話し合うべきアイデアの内容は”どんな嘘をつくか”という点にフォーカスされます。

その際、考えるべき”嘘のルール”をあらかじめ設定しておきましょう。

嘘のルールは次のようなものがよいでしょう。

・聞き手(ユーザー)を楽しませる、夢のある嘘

ここで考えるべき嘘は、ポジティブなものに限ります。
誰かを傷つけるネガティブな嘘は、たとえ面白くても除外しましょう。
聞き手が喜ぶ、幸せな気分になる、笑える嘘を考えましょう。

・一見本当のように見える、ウソと本当の境界線上の嘘

聞き手が一瞬”えっ、マジで!?”となるような嘘を目指しましょう。
あまりに荒唐無稽すぎても、また現実的過ぎても面白くありません。
嘘なのか本当なのか判断に迷うような、リアリティのある嘘を考えてみましょう。

・それが実現したらすごい!と思わせる嘘

だれもが夢におもうようなことの実現、だれもができないと思っていることの実現など、それができたら明らかににすごいと思われるような嘘を考えましょう。
どうせなら大きなスケールで発想してみましょう。

・社会的反響が期待できる嘘

ネット上で口コミで広がりそうな、インパクトのあるキャッチーな嘘を考えましょう。
あまりマニアックになりすぎず、ニュースバリューがありそうなものがよいでしょう。
もしリリースしたらどのような反響がありそうかについても話し合いましょう。

これらのルールに沿いながら、メンバーで楽しく”嘘のアイデア出し”を行ってください。

その後の進め方

ブレストによって”面白い嘘”のアイデアが得られたら、出されたアイデアに対してのレビューを行います。

たくさん出たアイデアの中で、”メンバーが最も盛り上がった、実現したいと思う嘘”をピックアップしましょう。

なお、この段階では実現性は一切考慮しなくてかまいません。

とにかく”面白いかどうか”のみを判断基準として選びましょう。

できればここまでを、ミーティング当日に終わらせてしまうとよいでしょう。

その後の進行は、いったん日をおいて行いましょう。

翌日以降にメンバーが集まってあらためてアイデアを見返すと”ユニークだけどどうやって実現するのか?”というアイデアが選ばれていることでしょう。

ここからは”現実モード”に切り替えます。

出された”嘘のアイデア”を実現する方法を考えましょう。

そもそもが嘘のアイデアですから、当然そのままでは予算的・技術的・人的問題で実現が難しいものになっているはずです。

そこで、出されたアイデアを100%実現することを目指さず、部分的に実現可能な点がないかを探ってみましょう。

まずはアイデアをながめて、面白さのポイントがどこにあるのかをディスカッションしましょう。

そして、その面白さのポイントをキープしつつ、それ以外の部分を別のことに置き換えて実現できないかを検討します。

技術的に難しいものは既存の技術で置き換えられないか、コストがかかる部分はスケールダウンしつつ似たようなことができないかなどについて、前向きに検討しましょう。

この段階では、マーケティング全般やプロモーション、または技術の専門家を入れて実現の可能性を探っていきましょう。

プレゼンテーション~企画の実現

社内でのプレゼンテーションを行う際には、はじめに考えたエイプリルフールの嘘のアイデアからスライドをはじめるようにしましょう。

その段階で笑いをとったうえで、”このままでは実現できませんがこのような形であれば実現可能です~”という流れでプレゼン資料を作成してみましょう。

プレゼンが通り実現化に向けて進行する運びとなったら、そのままローンチを目指すのもよいですし、実際にエイプリルフールのネタとして発信した後に具現化することで話題化を狙うのも面白いでしょう。

まとめ

企業によるエイプリルフールの話題づくりは年々過熱しており、企業によってはかなりのコストをかけた大掛かりな嘘を発信しています。

これらのアイデアの中で特に話題となったものを見てみると、どのようなアイデアがユーザーに望まれているかを知るためのよいヒントになります。

ぜひ今後の4月1日の各社の動きに注目してみてください。

また、もしあなたが普段のアイデアを物足りない、インパクトがないと感じているようでしたら、ぜひ一度エイプリルフール発想法を試してみてください。

きっとこれまでに無かった”尖ったアイデア”にたどり着くことができると思います。

 

source:GIZMODE,ITmedia,Calbee,ムビコレ

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