企画書の記事

企画書に説得力を持たせるための事実(Fact)の集め方

こんにちは、アイデア総研の大澤です。

企画書を作るとき、「なんとなくこうしたら売れそう」「自分はこれが正しいと思う」という主観だけで話を進めてしまい、上司や取引先に全然刺さらなかった——という経験はありませんか?企画書に説得力を持たせるための第一歩は、しっかりとした「事実(Fact)」を集めることにあります。今回は、企画書の基本「FPSE」フレームワークの最初のステップである、事実(Fact)の集め方について詳しく解説します。

企画書作りに必要な事実(Fact)とは?

企画書作りの基本的な流れは、次の7つのステップで進めるのが王道です。

  1. 目的の確認
  2. 事実(Fact)の収集
  3. 課題(Problem)の抽出
  4. 解決策(Solution)の検討
  5. 効果(Effect)の測定
  6. 説得ストーリーの構成
  7. 企画書の作成

まず企画書作成の「目的」を確認したあとは、「事実(Fact)の収集」のステップに進みます。「目的の確認」については企画書作成の前に確認すべき12の項目を参考にしてください。

「fact」とは文字通り「事実」のことです。事実とは自分の考えや仮説ではなく、実際に起こった事柄や存在する事象を指します。企画書に採用する事実(Fact)は、主観ではなく客観的なものでなければなりません。

主観だけでは説得できない

「企画」そのものはきわめて主観的なものですが、主観性だけでは相手を説得することはできません。聞き手を納得させるためには、疑問の余地がはさまれないような客観的なデータをベースに説明する必要があります。

たとえば「俺は世界中の料理を食べつくしたが、一番うまいのは日本食だ」という意見があったとします。賛同する人もいるでしょうが、「イタリアンこそ最高だ」という人も、「中華料理こそ世界一だ」という人もいるでしょう。食べ物の好みのように人によって評価が異なるものは、主観的な意見だけで多くの人の同意を得ることは難しいです。

客観性の重要さ

では、次のような説明ではいかがでしょうか。

「私は日本食が世界一おいしいと思います。なぜなら・・・」

  • 「第5の味覚」といわれる「うまみ」成分を含んでおり、味が複雑
  • ユネスコ世界無形文化遺産に登録されているほど権威がある
  • 日本の四季や自然に根ざした「旬の食材」が用いられている
  • 動物性油脂の少ない、健康的な栄養バランスを持っている
  • 調度品や器などにもこだわり、季節の移ろいを表現している
  • 外国人の好きな外国料理の1位が「日本料理」である※日本貿易振興機構調査(2014年3月)

これらのような「事実」をもとにした主張を客観的な説明といいます。ただ単に主観的な意見だけを述べるよりも、客観的な説明をもとにしたほうが格段に説得力が増しますよね。「事実」そのものは否定することができないからです。「事実」と「解釈」は別のものですので、解釈には疑問を挟む余地がありますが、少なくとも事実そのものは動かしようがありません。

このように「事実」をもとにした客観性のある説明を行うことで、企画書の説得力を高めることができます。

事実(Fact)の種類

事実(Fact)は「定量的なもの」「定性的なもの」に大きく分類できます。それぞれの違いを理解したうえで正しく活用していきましょう。

定量的なデータとは

「定量的」とは、数値で表現することが可能な情報を指します。次のようなものが定量的データの例です。

  • 日本の人口の推移
  • トヨタ自動車の売上高
  • 中国の経済成長率
  • 世界の都市の年平均気温
  • 太陽系の各惑星の平均半径

定量的なデータには、誰にでも同じように伝えることができるという利点があります。「重さが1キログラム」といえば、世界中のあらゆる人に対して同じ重さを指し示すことができます。

定性的なデータとは

これに対して「定性的」とは、数値で表せないものごとの性質や特性を表現するものです。美しい、おいしい、面白い、こわいなどの表現は数値であらわしにくい定性的な表現です。「今日は暖かいですね」など、通常の会話の中での表現の大半は定性的なものといえます。

ビジネスでは定量的に説明しよう

ビジネスの場においては、定性的な説明よりも定量的な説明が求められます。「暖かい気候」と聞いて30℃をイメージする人もいれば20℃をイメージする人もいるように、定性的な表現は聞き手によって解釈が異なってしまうためです。

そのため、定性的な表現は定量的に置き換える必要が生じます。たとえば「Aという商品がすごく売れている」という表現は定性的ですが、「昨年対比で○%売り上げがアップしている」「売り上げが○○円で市場のシェアが○○%である」といったように具体的な数値を入れることで、定量的な説明が可能になります。

企画書内で「おいしさ」を表現するのであれば、消費者にアンケートをとってパーセンテージで数値化するなど、定性的なものを定量的に置き換えるための工夫が大切です。マーケティングのフレームワークである3C分析SWOT分析STP分析なども、定性的なものを定量的に説明するために用いられます。

事実(Fact)を収集しよう

事実(Fact)はアイデアの発想のステップでも求められます。日常的な情報収集のコツについては驚くほど多くのアイデアを出せる!情報収集方法10のルールで詳しく解説しています。ここでは特定の目的のもとに、必要なデータを収集する方法を説明します。

おすすめの定量的データの入手先

定量的データの入手にあたっては、インターネットを活用するのがお手軽です。ここではプランナーがチェックしておくべきWebサイトを5つご紹介します。ぜひブックマークしておいてください!

総務省統計局

soumushouまずは統計データを集めるうえで外すことのできない総務省統計局のWebサイトです。国勢調査・人口推計・家計調査・労働力調査・消費者実態調査などの調査データが閲覧可能です。行政が取得した信頼性の高いデータが無料で見られますので、必ずブックマークしておきましょう。すぐに企画書で引用する予定がなくても、定期的にチェックしておくとプランナーとしての基礎力が上がります。

マクロミル

macromillマクロミルはインターネットを使ったリサーチ会社です。「トレンド公開調査データ」や「市場調査レポート」など最新の情報が定期的に更新されています。特に消費者のトレンドや流行りを知りたい場合に有用です。会員登録(無料)をすれば多くのデータが閲覧できますので、ぜひ登録しておきましょう。

公益財団法人日本生産性本部

seisanseihonbuあまり聞き覚えのない名前かもしれませんが、生産性本部が発行しているレジャー白書には聞き覚えがある方も多いのではないでしょうか。経済や社会の課題・生産性についての調査を行っており、概要や調査結果の一部が無料で公開されています。レジャー・余暇に関する企画を立てる際には特に重宝するデータが揃っています。

経済レポート情報

keizaireport経済レポート情報では、行政やシンクタンクなどで公表されたデータやレポートがまとめられています。ビジネスで使える信頼度の高い情報が毎日100件以上更新されており、累計26万本以上のレポートが登録されています。業界・テーマを絞って検索できるため、企画テーマが決まったら真っ先に覗いてみる価値があります。

生活定点

seikatshuteiten生活定点は博報堂が主催しているWebサイトです。一般的な生活に関わる情報を約1,500の項目にわたって1992年から定点調査しています。ただデータを並べるだけでなく、データの分析・回答者のコメント・似ているグラフなども表示され、眺めているだけでも楽しいサイトです。生活者の意識変化を捉えたい企画には非常に役立ちます。

どのくらい集めればいいの?

これらのWebサイトをはじめとして、書籍や社内資料なども活用すれば、比較的簡単に多くのデータを集めることができます。しかし、どれだけ多くのデータを集めても企画内容に関して100%理論武装することは不可能です。どこかの段階で収集をやめる決断が必要になります。

企画書は学術論文ではありませんので、データにヌケやモレがないかについて必要以上にナーバスになる必要はありません。むしろ、たくさんある情報の中から本当に重要なデータを厳選することが大事です。

まずは最低10程度の事実(Fact)が集まったら、いったん机の上に並べて俯瞰してみましょう。そのなかでどれが大切か、またどこが足りないかを検討し、足りないと感じる部分があればその部分を中心に再度収集を行うようにしましょう。

事実(Fact)を整理しよう

収集した事実(Fact)は、それ自体ではただの「素材」でしかありません。企画書を作るためには、その「素材」を「料理」する必要があります。事実(Fact)を整理して、バラバラな情報の中から何らかの関連性を見つけましょう。

系列や対象ごとに比較をしてみたり、性別や年齢といった属性ごとに分類してみるのも有効です。その作業の中から得られる「気付き」が、FPSEの次のステップである課題(Problem)の発見につながります。企画書の骨格は、この「気付き」から生まれるといっても過言ではありません。

まとめ

いかがでしたか。企画書に説得力を持たせるためには、事実(Fact)の収集が不可欠です。この作業は地味で面白味にかけるかもしれませんが、できるプランナーほどこの作業をおろそかにしていません。

繰り返し事実(Fact)の収集を行うことで、効率のよい集め方が身についてきます。まずはこの記事の内容を参考に作業を進めてみてください。ただし、あまり熱中しすぎて「データおたく」になってしまっては本末転倒です。肝心な企画内容を説得力を持って伝えるために、しっかりと事実(Fact)の収集を行いましょう。企画書の作り方をさらに深めたい方は企画書で解決すべき「課題(Problem)」を設定しようも続けてご覧ください。

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